カーバッテリーはポータブル電源として使えるのか?【検証】メリットとデメリットについて
非常時の備えとしても人気が高いポータブル電源。
キャンプや車中泊でも電気製品が使えるので一台は欲しいところです。
しかし、価格が高い!
そこで、価安の軽自動車用のバッテリーを使ってポータブル電源を作ってみました。
実際に自動車用バッテリーをキャンプで使ってみた感想を紹介いたします。
自動車用バッテリー
使用するのは軽自動車用のバッテリーです。
軽自動車用のバッテリーを使うと以下のメリットがあります。
価格が安い
自動車バッテリーの中では軽い
リチウムバッテリーより熱に強い
廃バッテリーを使えば費用はかかりませんが、劣化しているので使用時間が極端に短くなります。
なので、価格も安くて電圧の高い新品を使う方が良いと思います。
揃えるもの
市販されているポータブル電源の内部はどうなっているかと言うと。
大きく分けて、バッテリー・チャージコントローラー・インバーターの3つの機器で構成されています。
なので、チャージコントローラーの代わりにバッテリー充電器、12ボルトを100ボルト電源に変換する車載用インバーターを用意します。
あとは、バッテリーを入れるケースが必要になります。
今回は「ドカット4500」という工具箱を利用しました。
組み合わせ
まずは簡単に実験。
工具箱の中にバッテリーを入れて、バッテリー直結型ソケットを装着すれば12ボルト電源が使用できます。
そして、インバーターをソケットに接続すると家庭用の電気製品も使えるようになります。
そして、充電する際は自動車用の充電器を使います。
大まかに説明すると、この3点が揃えばポータブル電源として使うことが出来ます。
安全対策
ここからが重要です。
上記で紹介した使い方では以下の危険が伴います。
①剥き出しの端子はショートの危険がある
②過電流が流れると断線や使用機器が破損する
③電圧が低下し過ぎるとバッテリーが劣化する
④バッテリーの充電中は水素ガスが発生する
⑤バッテリーが転倒すると希硫酸が漏れる
そこで、以下の安全対策を行います。
①バッテリー端子が剥き出しの状態だと、金属棒が触れた時に危険です。
もし、スパナなどの工具がバッテリーのプラス端子とマイナス端子に当たってしまうとショートして大惨事になります。
なので、ショート防止にターミナルカバーが必須です。
②電気機器の破損を防ぐために電源の取り出しケーブルにヒューズを取り付けます。
取り付けるヒューズのアンペア数は配線ケーブルの許容電流、または使用する電気製品のワット数によって選んでください。
③自動車用の鉛バッテリーはセルモーターを回す為に短時間に大電流を流せる仕様になっています。
使用可能な電圧範囲が狭い為、バッテリーの電圧が11ボルトを下回るような使い方をするとサルフェーションが発生して劣化します。
電圧計を取り付けて、使用中は電圧を監視する必要があります。
④自動車の鉛バッテリーは充電中に水素が発生します。
充電中は風通しの良い場所に置いて換気に気を付けなければなりません。
⑤もし、移動する自動車の中でバッテリーが転倒すると希硫酸が漏れ出して危険です。
自動車に積載する時は、しっかりとケースを荷台やシート等に固定します。
カーブやダートを走行してもケースからバッテリーが飛び出して転倒しないようにする必要があります。
実際の使用時間
実際に新品の軽自動車用バッテリーをポータブル電源として使って検証しました。
実験開始時のバッテリー電圧は12.9Vで気温は5度。
まずはLED照明の電源として使ってみます。
消費電力が6Wの12V用LED電球なので流れる電流は0.5Aほどです。
クリアタイプの電球色なので、キャンプではとても良い雰囲気。
電球を点灯させるとバッテリー電圧は12.7Vまで降下しました。
その後、19時から夜中の1時過ぎまで6時間以上点灯しましたが電圧は12.5Vまでしか下がりませんでした。
インバーターを使って100Vの照明を使うという方法もありますが、インバーターは起動させているだけで電力を消費するので、なるべく12ボルトのままで使う方が効率が良いです。
お次は、モバイル機器を充電してみます。
バッテリーは満充電の12.9Vの電圧からスタートします。
各機器に流れる電流を計測してみました。
スマホ小:1.40A
スマホ大:1.11A
タブレット:1.28A
デジカメ:0.46A
すべて合計すると4.25Aの電流が流れるので、単純に計算すると21.25Wの消費電力ということになります。
充電開始時には12.4Vまで電圧降下しましたが、3時間40分後の充電完了時には12.5Vまで回復しました。
今回も まだまだバッテリーに余力がある状態です。
最後は電気毛布を使ってみます。
12ボルト電源で使用する電気毛布ですが、最大消費電流は(約)4.2Aで消費電力は50.4Wです。
早速、シュラフの中に電気毛布を敷いてハイモードで使用してみます。
気温5度、電気毛布のスイッチを入れると電圧は12.9Vから11.9Vまで一気に下がりました。
この電気毛布は5~10分おきに電流値が変わるようで、11.9V → 12.6Vへ変化しています。
そして、45分後に安全装置で自動切断すると電圧は12.6Vに。
その後、ミドルモード(約3.2A:38.4W)で45分の実験。
ミドルモードの場合でも11.8V → 12.6Vへ電圧が変化しています。
最終的にはバッテリーの電圧は12.5Vになりました。
1時間半ほどの使用でも充分に体が暖まりました。
消費電力が大きい電気毛布は「就寝前のシュラフを温める」といった使い方が最適だと思います。
このことから、バッテリーを酷使しなければキャンプ程度で使う電力なら意外とまかなえるということが分かりました。
最後に
自動車用のバッテリーを流用した自作のポータブル電源のメリットとデメリットを挙げてみます。
メリット
- バッテリーの価格が安い
- 製作が簡単
- カーインバーターで100Vも使える
- 12Vのままで使うと長持ちする
デメリット
- 使用時間が短い
- 転倒すると液漏れする
- ショートする危険性がある
- 水素ガス発生の危険性がある
- 電気の知識が必要
私は電気工事士の資格を持っており、家では12Vのソーラー発電システムを作ったりしています。
もし、電気の知識にあまり自信が無い方は、電気の専門家の指導を受けて実践される方が良いでしょう。
〈 関連記事 〉
※外部サイトへ移動します。