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百均のバケツと軽のバッテリーでポータブル電源を自作してみた!キャンプで必要最小限の電源確保に役立つ

たびんちゅや節約キャンプ研究家

ポータブル電源があれば停電時や車中泊でも家電が使えるので便利ですよね。

しかし、荷物が少ないミニマム スタイルのキャンプだと あまり必要性を感じないこともあります。

キャンプの電源で必要なのはスマホやランタンの充電くらいですからね。

そこで、軽自動車用のバッテリーと百均のバケツを使ってミニマム キャンプで使える小型のポータブル電源を作ってみました。

自動車のオーディオやドライブレコーダーを自分で取り付けができる方なら さほど難しくはない作業だと思いますので ご参考までに。

必要な材料

市販のポータブル電源って とっても価格が高いのがネックですよね。

理由は内蔵されているリチウム電池が高価なことに加え、昇圧回路(AC100V)、降圧回路(DC5V)、安全制御回路(BMS)、チャージコントローラー(ソーラーパネル充電器)など様々な機能が備わっているからです。

そこで、今回は以下の材料を使って製作したいと思います。

※写真ではバッテリー端子のカバーを予め外していますが、製作作業の直前まではショート防止の為に外さないように。

【必要な材料】
・軽自動車用バッテリー
・座れるバケツ
・バッテリー直結型ソケット
・100Vインバーター
・バッテリー端子カバー
・12V用電圧計
・車用バッテリー充電器

物価高の影響で軽自動車用のバッテリーも価格が上昇しています。

今回使用するバッテリーは、2020年11月の購入時点で価格が4,440円でしたが、現在は2倍以上の価格になっています。

なので、ご予算内で購入できるバッテリーを選ぶと良いでしょう。

座れるバケツはダイソーで550円(税込)で購入しました。※2024年7月の情報

このバケツの内寸を図ってみたところ、底面が約19センチでしたので試しに軽自動車用のバッテリーを入れてみました。

すると、B19 サイズがピッタリとフィット!

ただし、バケツの高さ寸法が少し低いのが難点なのです。

これだとフタが閉まりません。

そこで、バッテリー端子がバケツの中心に位置するように向きを変えてみました。

この状態でもフタはバッテリー端子に当たりますが、何とか閉まります。

逆にフタでバッテリーが押さえられているので、自動車に積載している時にバケツの中で動かないことが利点です。

あと、このバケツの耐荷重については不明ですが容量が9リットルなので最低でも水9キロの耐荷重があるのではないかと思います。

今回使用するバッテリーの重量が9.5キロなので持ち運ぶ際は取っ手ではなく本体を両手で持つ方が安全ですね。

製作方法

まずはバッテリー直結型ソケットを「+」と「-」を間違えないようにバッテリー端子に接続します。

そして、100Vインバーターをソケットに接続すればポータブル電源の完成です。

小型のインバーターは価格が安く、ファンレスで作動音が静かなこともメリットです。

冷却ファンの うるさい作動音は夜の静かなキャンプ場では目立ちますからね。

昇圧回路

このインバーターは前面に最大瞬間出力が38ワットの AC 100V 電源が備わっています。

バッテリー電源の直流12ボルトを交流100ボルトに変換する昇圧回路です。

消費電力が30ワット以内で交流モーターを使用しない家電ならキャンプでも使えます。

降圧回路

そして、側面には DC 5V が取り出せるUSBポートが2か所あります。

バッテリー電源の直流12ボルトを直流5ボルトに変換する降圧回路です。

2ポートで最大出力の合計が 2.1A ですが、携帯電話やランタンの充電なら十分でしょう。

安全制御回路

この100Vインバーターの電源プラグには 5A のガラス管ヒューズが内蔵されています。

5アンペア以上の電流が流れた場合は即座に電源を遮断する安全制御回路です。

バッテリー直結型ソケットの最大電流容量が 15A なので、ソケットから取り出す電流も余裕をみて 10A 以下にする方が良いですね。

あと、バッテリーのプラス端子には必ずバッテリー端子カバーを取り付けます。

危険性が高い電極間のショートを防ぐに為には端子カバーが有効です。

そして、バッテリーの使い過ぎをチェックするために電圧計も取り付けます。

自動車用のバッテリーは電圧が下がりすぎると劣化が早まりますからね。

私の場合はバッテリーの電圧が11ボルトを下回らないように使っています。

シガープラグタイプの電圧計を使う場合はシガーソケット分配器(ヒューズ内蔵)を利用すると良いでしょう。

もし、電源端子にバッテリーターミナルを接続して配線する場合は電源端子間に届く長さのスパナは使わないようにします。

電源端子のボルトを締めている時に反対側の電源端子にスパナが当たるとスパークして大変危険です。

チャージコントローラー

自作したポータブル電源を充電する際は、車用バッテリー充電器を使います。

この充電器が 12V バッテリーの充電を制御するチャージコントローラーとして機能します。

自動車のメインテナンスを自分で行う方なら既に持っているかも知れませんね。

車用バッテリー充電器には様々な種類がありますが、おススメなのはパルス充電ができるタイプです。

車のバッテリーは長時間の使用状態が続くと内部の電解液に溶け込んでいる硫酸鉛が結晶化して電極板に固着する現象が起こります。

これはサルフェーションと呼ばれています。

このサルフェーションを除去するために用いられるのがパルス充電です。

ただ、車用バッテリー充電器に付属しているパルス充電機能では完全にサルフェーションを除去することは出来ませんが、バッテリーの延命には役立ちます。

なお、充電中はバッテリーから水素が発生します。

古いバッテリーや内部の電解液が減っている状態だと稀に硫化水素も発生する場合があるので大変危険です。

鉛電池の充電や保管は必ず換気の良い場所で行ってください。

キャンプでの使用

夏のキャンプは「あつい&かゆい」です!

そこで、扇風機と液体蚊取り器を自作のポータブル電源で使ってみました。

まずは扇風機から使用します。

この扇風機には12ボルトで使えるDCモーターが内蔵されているので、そのまま12ボルト電源が使えるのがメリットです。

そして、今回は消費電流と消費電力を計測するためにデジタルメーターを取り付けています。

バッテリー電圧が13.08 V から開始します。

最初にDC 扇風機の風力を「最弱」の状態で計測してみます。

電 圧:13.5V
電 流:0.09A
消費電力:1.1W

扇風機の風量が最弱だと微風過ぎて野外だと涼しくありませんね。

次に風力を「中間」にします。

電 圧:12.99V
電 流:0.39A
消費電力:5W

風力が「中間」なら普通に涼しいです。

そして、風力を「最大」にしてみます。

とっても涼しいです。夜だと肌寒いくらいでしょう。

これなら、扇風機の風圧でヤブ蚊も近づけないと思います。

電 圧:12.89V
電 流:1.15A
消費電力:14.8W

ここで、風力を最大にしても約15ワットしか電力が消費されていないことに気付きました。

この扇風機の最大消費電力は20ワットのはずですが…

そこで、首振り機能を作動させてみると消費電力が16ワットにアップしました。

他にもタイマー機能やモード機能をフル作動させると最大消費電力近くまでアップするのかも知れません。

とりあえず、最大風力だけの状態で1時間ほど使用した結果。

電 圧:12.68V
総消費電力量:15W

2時間後だと。

電 圧:12.43V
総消費電力量:29W

3時間後だと。

電 圧:12.54V
総消費電力量:43W

バッテリーの電圧降下は一時間平均 0.116V ほどです。

そして、一時間あたりの使用電力量は14.3Wほどです。

内部抵抗などの電力ロスもあると思いますが扇風機を最大風力にしても意外と消費電力が少ない結果になりました。

ちなみに、車用バッテリーには固有の時間率容量があるので使用時の目安になります。

今回使用している車用バッテリーの5時間率容量は 36Ah なのでバッテリー電圧が 10.5V に下がるまで 7.2A の電流を5時間も流せる計算になります。

そんなに電圧が下がるまでバッテリーを使うと劣化してしまいますが、自分で11V に下限を決めておくと良いでしょう。

DC 扇風機が消費する少ない電流なら就寝時の長時間使用でも問題ありません。

そして、液体蚊取り器の方はと言うと。

電 流:0.8A
消費電力:9.9W
インバーターの待機電力:1.1W

意外に消費電力が大きいです。

DC扇風機の中風よりも電力を消費しています。

というのも100Vインバーターは昇圧する時に変換ロスが発生するので通常よりも多くの電流を消費するのです。

ちなみにインバーター自体の待機電力は 1.1W でした。

なので、バッテリーを長時間使いたいなら直接12ボルト電源で使える電化製品を持っていくのがベストです。

最後に

今回製作したポータブル電源を自動車に積載して移動する時はフタが衝撃で開かないようにベルトで固定します。

更にベルトで座席等にも しっかりと固定して、窓を少し開けて換気にも心掛けて下さい。

車で走行中に急ブレーキや衝突事故を起こすと大変危険ですからね。

その他の守るべき安全対策について、以下にまとめてみました。

【安全対策】
・濡れた体や雨の中で作業、使用しない
・電源端子に必ず絶縁カバーを付ける
・電極間に届かない長さの工具を使う
・配線内に必ずヒューズを組み入れる
・密閉された車内で充電や保管しない
・火のそばにバッテリーを近づけない

私は電気工事士の資格を持っており、家では12Vのソーラー発電システムを自作したりしています。

もし、電気の知識にあまり自信が無い方は、電気の専門家の指導を受けて一緒に製作すると良いでしょう。

節約キャンプ研究家

お金を掛けずにキャンプや車中泊をしながら旅を楽しむ方法や旅のトラブル対策などを紹介しています。 他にも自作のキャンプ道具やキャンプ・車中泊の裏技なども発信しています。

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