計画運休はいつ始まり、どんなときに実施されるのか#専門家のまとめ
台風7号、台風10号と2024(令和6)年8月は日本に接近または上陸した台風に翻弄されました。強風や大雨の影響を受ける鉄道に対し、鉄道会社各社はあらかじめ列車の運転見合わせを事前に告知し、決められた期間中に列車の運転を完全に見合わせる計画運休を実施しています。自然災害の多い風土において、日本の鉄道はしばしば列車の運転を妨げられ、車内に長時間閉じ込められる立ち往生を余儀なくされました。突発的な事象はやむを得ないものの、高い確率で予報可能な台風や大雪といった自然災害については何とか避けられないかという動機で始められたのが計画運休です。その計画運休を知るための記事を集めてみました。
ココがポイント
▼計画運休とは何か――。 JR以外の鉄道会社が所属する鉄道の団体が作成した計画運休についての定義です
▼日本の鉄道で初めて実施された計画運休についての記事です。鉄道が突然運転を取りやめるという点が大きく扱われています
・JR西、台風で初の全線予告運休 48万人に影響(日本経済新聞社 2014年10月13日22時29分付)
▼計画運休の是非について国土交通省が検証しました。その結果、計画運休には効果があり、社会の混乱も防止できたとのことです
・「計画運休」、鉄道各社がタイムライン作成へ~鉄道の計画運休のあり方について最終とりまとめ~(国土交通省)、同「最終取りまとめ(本体)」
エキスパートの補足・見解
関東地方に2024年8月16日に接近した台風7号は予想よりも東にそれた進路を取っています。このため、計画運休を実施した東海道新幹線の沿線の一部では好天となり、列車が運転されないのは何事かとの批判もありました。そのせいか、またはまだ台風が遠い九州に中心があったこともあり、今度は台風10号の接近に際して同年8月29日には東海道新幹線では計画運休が実施されてはいません。しかし、静岡県内での大雨により、列車の運転を見合わせざるを得なくなり、結果として最大で11時間も車内に閉じ込められた事例が発生しました。こうした点から、まだ計画運休についての理解が少ないと筆者は嘆かざるを得ません。と同時に、計画運休についての説明やその効果を繰り返し発信しなければならないと考えております。