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京葉線の新しいダイヤはなぜ非難を浴び、なぜ再度変更されたのか #専門家のまとめ

梅原淳鉄道ジャーナリスト
2024年3月のダイヤ改正まで運転されていた京葉線の通勤快速 筆者撮影

 JR東日本が2024(令和6)年3月16日に実施したダイヤ(時刻)改正で、京葉線を走っていた通勤快速は廃止、快速は大幅に削減されました。この新しいダイヤが2023(令和5)年12月に発表されるや否や沿線の自治体から批判が寄せられます。利用者からの評判もいま一つであったようで、同社は2024年9月1日に京葉線のダイヤを一部見直すと発表しました。改善後のダイヤの詳細は不明ですので、発表されたら論評するとして、ここで今回の京葉線をめぐる騒動をまとめておきたいと思います。

ココがポイント

▼東京の都心と郊外とを結ぶ主要な通勤路線である京葉線で、料金無料の速達列車がほぼ姿を消すことがいかに異常であるのかがまとめられ、改善策が提示されています

通勤快速廃止で炎上、京葉線ダイヤ「3つの疑問」(北村幸太郎氏、東洋経済オンライン)

▼京葉線のダイヤ改正が発表された直後に起きた沿線の反発を集めた記事です。記事には筆者のコメントがあり、予想されるトラブル、そして解決案を提示しました

他路線も混雑、路線価に影響も 「生活基盤壊される」JR京葉線のダイヤ改正で強まる反発(浅野英介記者、産経新聞 2023年12月28日付)

▼今回、沿線の自治体の反発が遅いとの批判がありました。しかし、JR東日本はいままでダイヤ改正の内容を事前には沿線に伝えていませんでした。2017年3月のダイヤ改正での状況を筆者は沿線の自治体、JR東日本の両者を取材してまとめました

JR内房線ダイヤ改正「列車本数削減」の裏事情(東洋経済オンライン)

▼京葉線ではダイヤの再変更が行われることが決まりました。再変更に至るまでの経緯、そして再変更後のダイヤに残された課題が理解できます

JR京葉線ダイヤ異例の再変更へ…「快速復活」求める千葉の声で平日計7本増、支社長「課題は残る」(読売新聞オンライン)

エキスパートの補足・見解

 東京駅と蘇我駅とを結ぶ京葉線の長さは43.0kmあり、同じJR東日本の中央線で言うと東京駅と豊田駅との間に相当します。中央線には快速や特別快速が運転されており、「京葉線における快速の大幅減や通勤快速の廃止に反対するのは沿線のエゴ」という批判が的外れである点に気づくでしょう。

 JR東日本は京葉線のダイヤ改正について、混雑率の平準化を掲げました。しかし、利用者の多い駅を選んで停車する快速、通勤快速が各駅停車よりも混雑するのは当然で、利用者の納得は得られづらいのです。仮に混雑率の平準化に効果があるのならば、他の通勤路線からもすべての速達列車が姿を消しているはずで、そうでないからこそ、京葉線のダイヤの再変更が行われたとも言えるでしょう。筆者は今後も京葉線の動向に注視し、各方面への取材を通じて記事を寄稿していきます。

鉄道ジャーナリスト

1965(昭和40)年生まれ。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)に入行し、交友社月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000年に鉄道ジャーナリストとして活動を開始する。『新幹線を運行する技術』(SBクリエイティブ)、『JRは生き残れるのか』(洋泉社)、『電車たちの「第二の人生」』(交通新聞社)をはじめ著書多数。また、雑誌やWEB媒体への寄稿のほか、講義・講演やテレビ・ラジオ・新聞等での解説、コメントも行っており、NHKラジオ第1の「子ども科学電話相談」では鉄道部門の回答者も務める。2023(令和5)年より福岡市地下鉄経営戦略懇話会委員に就任。

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