パリ五輪代表の珍しい名字は「四十住」と「素根」が双璧
パリ五輪の開会式が現地時間の26日夜に行われた。ただし、一部の競技はすでに24日から試合が始まっており、サッカー男子は幸先の良いスタートをきっている。
今回は多くの球技が予選を勝ち抜いたことから日本選手団は400人を超え、国外開催の夏季五輪としては2008年北京五輪の339人を上回って史上最多の規模となっている。
これらの選手のうち、カタカナ名字の選手と、国籍変更した際にカタカナに漢字をあてた選手を除いて、珍しい名字の選手を調べてみた。筆者は名字ランキングで1万位以下を珍しい名字、2万位以下を極めて珍しい名字と考えている。
なお、本稿では新旧字体は同じとする一方、読み方の違いは別の名字として扱っている。従って、陸上の真野友博選手の「真野(しんの)」と、競泳の真野秀成選手の「真野(まの)」は別の名字とした。ちなみにこの2つの名字の場合、「真野(まの)」はメジャーな名字であるのに対し、「真野(しんの)」は広島県東部に集中している1万位以下の珍しい名字である。
「四十住」は「あいずみ」と読むのが多数
さて今大会出場している選手のうち、名字が最も珍しいのは柔道の素根輝選手と、スケートボードの四十住さくら選手の2人。
東京五輪で金メダルを獲得した素根選手の「素根」という名字は極めて珍しく、おそらく親族しかないと思われる。「曽根」から漢字が変化したものだろう。
スケートボードの四十住(よそずみ)選手も東京五輪で金メダルを獲得しており、その時「四十住」は珍しいものの、富山県にはそこそこあるという報道もあった。しかし、氷見市を中心として富山県に集中している「四十住」は「あいずみ」と読む。初見ではまず読むことのできない難読の名字だ。
これには富山県など北陸に広がっている「四十物」という名字が関係している。
北陸地方には「四十物」と書いて「あいもの」と読む名字は意外と多く、同地では「あいもの」と読める人は多い。そこから「四十物」で「あいもの」なら「四十」の部分は「あい」と読む、という認識が広がり、「四十崎(あいざき)」「四十沢(あいざわ)」「四十田(あいた)」「四十谷(あいたに)」など、次々と難読名字が誕生した。「四十住」もその1つで、これで「あいずみ」と読む。
富山県では「四十」を「あい」と読むのはなんとなく許容されているが、他県ではまず読むことができない。「四十路」と書いて「よそじ」と読むように「四十」は「よそ」とも読む。そこで、他県に移った際に読み方を「あいずみ」から「よそずみ」と改めたものだ。因みに四十住選手は和歌山県の出身。
次いで珍しいのが、競泳の花車(はなぐるま)選手、陸上の筒江選手の2人。続いて、ラグビーの津岡選手、競泳の村佐選手、柔道の新添(にいぞえ)選手、体操の牛奥選手の名字が珍しい。そして、セーリングの飯束(いいつか)選手、ブレイキンの大能(おおの)選手までが2万位以下の極めて珍しい名字である。
これらの名字のうち、ルーツがはっきりしているのが「牛奥」である。ルーツは甲斐国山梨郡牛奥(現在の山梨県甲州市塩山牛奥)。清和源氏武田氏の庶流といい、戦国時代には代々武田氏に仕えていた。一族は江戸時代に旗本となっている。
意外と多い名字
一方、珍しそうで意外と多いのが、バスケットボールの比江島選手の名字。宮崎県に集中しており他県にはほぼいないが、名字ランキングでは1万位以内。
同じく女子の赤穂選手の名字は「あかほ」と読む。この名字、赤穂(あこう)市のある兵庫県ではほぼ「あこう」と読むが、その他の県では読み方が「あこう」と「あかほ」にわかれる。赤穂選手は石川県の出身で「あかほ」と読む。全国を合計すると「あかほ」と読むのは3割ほどに過ぎないが、それでも1万位以内に入っている。