ドラフト会議で指名された最も珍しい名字の選手は誰か
今年も10月24日にプロ野球のドラフト会議が開催され、本指名69人、育成指名54人の計123人が指名された。
これらの選手の実力や、ドラフト指名としての成功不成功についてはそれぞれの専門家が論考しているので、ここでは指名された選手の名字に注目してみたい。
なお、本稿では新旧字体の違いは同じ名字とする一方、読み方が違う場合は清濁の違いを除いて別名字としている。
本指名の選手たち
まずは、本指名を受けた選手たち。
指名された69人のうち、カタカナ名字のモイセエフ・ニキータ選手(ヤクルト2巡目)と、台湾出身の林冠臣選手(西武4巡目)、陽柏翔(楽天6巡目)を除く66人についてみてみよう。
筆者は、全国ランキングで5000位以内を普通の名字、1万位以下を珍しい名字とし、2万位以下をかなり珍しい名字と考えている。ここでは、2万位以下の名字についてみてみたい。
今回、最も名字が珍しいのは楽天5巡目指名の吉納翼選手。「吉納」(よしのう)は愛知県北部にごくわずかあるのみで、2万位どころか3万位以下。この名字は育成指名まで含めても最も珍しい。吉納選手は春日井市の出身。
次いで、中日4巡目の石伊雄太選手の名字が珍しく、こちらは岡山県を筆頭に、三重県や奈良県、広島県などに点在する。
この名字は「石井」から漢字が変化したものだ。江戸時代以前は、分家した際などに同じ読み方で漢字を変えるというのはよく行われていた。石伊選手は三重県尾鷲市の出身である。
そして3番目が阪神2巡目指名の今朝丸裕喜選手で、「今朝丸」(けさまる)という名字はもう野球ファンにはおなじみ。
ここまでが2万位以下の「極めて珍しい名字」である。
因みに、楽天1巡目の宗山塁選手の「宗山」(むねやま)は16000位台で、広島と北海道に集中している(宗山選手は広島県三次市の出身)。
また、DeNA5巡目の田内真翔選手の名字は「たない」と読む。この名字、「たうち」と読むことが最も多く、次いで「たのうち」「たない」の順。しかし最も少ない「たない」でも15000位以内に入っている(「たうち」と「たのうち」はともに5000位以内の普通の名字)。
育成まで広げると
では、育成指名選手までみるとどうだろうか。
育成で指名された54人のうち、カタカナ名字の西武育成3巡目ラタナヤケ・ラマル・ギービン選手と、同7巡目ウメビンユオ・オケム明選手を除く52人の選手の中で最も珍しいのは、ソフトバンク育成10巡目指名の漁府輝羽選手の「漁府」。これで、「ぎょふ」と読む。香川県や岡山県にある名字で、やはり2万位を大きく下回り、3万位以下。
次いで、育成指名の最後に指名された、ソフトバンク育成13巡目の塩士暖選手の「塩士」(しおじ)も2万位以下。石川県や北海道にあり、とくに石川県輪島市に集中している。門前高の塩士選手も輪島中の出身である。
昨年のドラフトでは、2万位以下の「極めて珍しい名字」が本指名には1人もおらず、育成を含めても長水啓真選手だけだった。今年は例年通りかなり珍しい名字の選手が指名されており、初めて見た名字というのも多かったのではないだろうか。