夏の甲子園に出場している珍しい名字の選手達・東日本編 最も珍しいのは小松大谷高の「田西」
7日から甲子園球場で高校野球選手権大会、いわゆる夏の甲子園が始まった。全国47都道府県から49の高校が参加することから、中には見たことのない珍しい名字の選手がいることも少なくない。今回も出場する選手達の中から珍しい名字の選手をみてみよう。
なお、選手名簿はAERA増刊号「甲子園2024」を使用、本記事では漢字の新旧字体は同じとみなした上で、読みによってランク付けしてある。
日本人の名字の総数は10万以上、筆者はランキング1万位以下が珍しい名字で、2万位以下になるとかなり珍しいと考えている。今夏の甲子園大会に出場登録されている49校980人の選手の中から、外国をルーツとするものを除いて2万位以下の名字の選手を中心に紹介したい。
まずは東日本編から。
もっとも珍しいのは小松大谷高の「田西」
東日本の全校で最も珍しいのは、小松大谷高の田西選手の名字である。
「田西」ならみたことある、という人も多いだろう。
というのも「田西(たにし)」という名字は名字ランキングでは12000位あたり。珍しい名字には違いないが、各地に点々とあり極めて珍しいというわけではない。しかしこの名字、石川県小松市では「たさい」と読み、小松大谷高の田西選手も「たさい」である。「たさい」と読む「田西」はかなり珍しい。
次いで珍しいのが、早実の唐箕(とうみ)選手と内囿選手、花巻東高の戸刺(とさし)選手の3人の名字。
唐箕とは、玄米に混ざっているもみがらや、藁くずを選別するのに用いる農具のこと。中国で発明されたことから「唐箕」という。
内囿選手の「囿」という漢字は見たことがない人も多いだろう。「囿」は「苑」と同じ意味の漢字で、名字では「園」や「薗」の異表記として使われる。「うちぞの」は鹿児島県の名字で、指宿市では「内園」、南九州市では「内薗」と書くことが多い。そして、薩摩川内市では「内囿」とも書く。「その」とは、米以外の野菜や果樹、草花などを栽培する場所のことである。
「戸刺」は岩手県陸前高田市の名字で、戸刺選手も陸前高田市の出身。全国的な強豪として知られる同校だが、ベンチ入りメンバーの大半は県内出身の選手である。
「比嘉」の異表記、「日賀」
東海大相模高の日賀選手、花咲徳栄選手の額川選手、青森山田高の乕谷(とらたに)選手の3人の名字もなかなか珍しい。
「日賀」は沖縄県に多い「比嘉」の異表記で、沖縄県の浦添市付近に集中している。日賀選手も浦添ボーイズの出身。
「額川」は関東から静岡県にかけて点々とある名字で茨城県水戸市付近に最も多く、額川選手も水戸市の出身。「乕谷」選手の「乕」という漢字は「虎」の異表記。「乕谷」は関東、関西、福岡県などに点在する。
以下、新潟産大付高の仙海選手、金足農の腰丸選手、鶴岡東高の小早瀬選手、金足農の水戸瀬選手、小松大谷高の胡摩選手、健大高崎高の下重(しもしげ)選手、霞ヶ浦高の真仲選手、鶴岡東高の億田選手までが極めて珍しい名字だ。「下重」は「しもじゅう」が多く、「しもしげ」はかなり珍しい。
意外と多い「古宇田」
少なそうにみえて意外とあるのが、聖光学院高の古宇田選手の名字だ。
茨城県の筑西市とつくば市に集中している名字で、名字ランキングでは6000位台と珍しい名字ではない。筑西市には「国府田」と書いて「こうだ」と読む地名があり、「国府田(こうだ)」という名字も多い。「古宇田」はここから漢字が変化したものだろう。この付近には「幸田」「鴻田」など、「こうだ」と読むいろいろな書き方の名字がある。