立憲民主党と国民民主党の違いが際立った代表質問
やはり、拙速な合流はしなくてよかったと多くの人が思ったのではないだろうか。
1月22日、衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表による代表質問が行われたが、両党の違いがよくわかる質問内容であった。
政権追及を重視する立憲民主党
立憲民主党の枝野代表は、冒頭から安倍晋三首相主催の「桜を見る会」やIR汚職、辞任した2閣僚に関する「政治とカネ」の問題を重点的に追及。
後半で政策的諸課題についても触れてはいるが、「支え合う安心」、「豊かさの分かち合い」、「責任ある充実した政府」といった抽象的なビジョンにとどまり、それらを実現するための具体的な政策、裏付けはほとんど語られず、将来的な与党候補である野党第一党としては物足りない内容であった。
もちろん、「桜を見る会」などの追及も重要ではあるが、代表質問で約3分の1も時間を割く価値はあったのか、追及は「桜を見る会」問題の火付け役である共産党に任せればよかったのではないか、疑問は拭えない。
社会保障制度改革においては、「高所得高齢者について、税を原資とする部分の支給制限、いわゆるクローバックの仕組みを検討すべき」にまで踏み込んだのは高く評価できるが、全体的には具体性に欠け、「対決」を重視する立憲民主党らしい内容であった。
具体的提案を重視する国民民主党
一方、国民民主党の玉木代表は、冒頭でIR汚職について少し触れた後は、個別のエピソードも交えながら、女性や子ども・若者に関する問題への具体的提案を訴えた。
こちらも、従来から「対決よりも提案」を重視してきた国民民主党らしい内容であり、両者のスタンスの違いがよくわかったのではないだろうか。
より直接的に言えば、ずっと「野党」であり続けるのか、(今は野党だとしても)あくまで「与党候補」であるのか、その意識の違いである。
「反安倍」なのか、「新しい政権」なのかと言い換えても良い。後者であれば具体的な政権構想を打ち出すのが前提である。
そして、こうした根底にある哲学的な違いを踏まえれば、それらを無視した拙速な合流はやはり無理があり、途中で瓦解するのは誰の目にも明らかである。
本当の意味で「一つの大きなかたまり」を目指すのであれば、個別の政策以上に、どういうスタンスの政党を目指すのか、すり合わせが重要であろう。
党首討論の定例化・夜間開催の実現を
ただ、こうした両党の「違い」が国民に伝わっているかというと、そうではない。
今回の代表質問を生中継で見たり、テキストで全文読む人は稀であるのに加え、現状のスキャンダル重視のマスコミ報道では、なかなかこうした内容が報じられることは少ないからだ。
昨年の臨時国会では一度も党首討論が行われなかったが、やはり各党の違いを見るためには党首討論は重要であり、政治情勢に左右されない党首討論の定例化、特に多くの国民が見やすい夜間での開催を期待したい。
すでに超党派「平成のうちに」衆議院改革実現会議が「党首討論の定例化・夜間開催の実現」を提言しており、与野党の国会対策委員長同士の「合意」が待たれる。