コンサルタントが考える「夫婦円満」の秘訣とは? ビジネスの基本原則を徹底活用せよ!
ある25歳の男性から「夫婦円満の秘訣を教えてください」と言われた。もうすぐ結婚するから、ぜひ知りたいとのこと。
私は営業コンサルタントであり、もちろん「夫婦仲」については専門外だ。とはいえFacebook等で家族に関する投稿をするせいか「夫婦仲がいい」「子育てが上手」「理想的な家族」というレッテルを貼られている。同世代の経営者、マネジャーから「見習いたい」と20年近くも言われてきた。
そこで勝手ながら、私が考える「夫婦円満」の秘訣を書きたい。子育てにも、ビジネスにも直接役に立つ実践的な方法だ。それをコンサルタントならではの視点で解説する。
もちろん専門外の分野だから再現性はないだろう。しかし、本記事を読み終えたときには、「すぐマネしたい」と思う人も多いことだろう。ぜひ最後まで読んでもらいたい。
■私はどれぐらい夫婦円満か?
まず最初に私たち夫婦はどれぐらい円満かを書いてみたい。(私は54歳、妻は46歳)
・ほぼ毎日2人でドラマや映画を鑑賞する
・週末の土日は必ずカフェでデートする
・3日に1回は1時間ほど一緒にウォーキングする
・年に5回程度、2人で旅行に出かける
・大学生の息子、高校生の娘から「仲良すぎ!」とたまに叱られる
一応書いておくが、私はそんなに暇な人間だとは思わない。コンサルティング会社の社長をしながら、自分自身も企業の支援に入っている。メルマガをメインに、YouTube、X、Facebook、TikTok、ネット記事で発信も続けている。適度に出張はあるし、家を留守にすることも多い。
ちなみに体は丈夫なほうではない。リハビリのために定期的にメンテナンスしないと、維持できないほど体は弱い。だから食事・運動・睡眠に関しては人一倍、気を遣っているという自負がある。
それでも妻との時間は優先的に確保する。それでは、どんなことを私は常に心がけているのだろうか?
■「夫婦円満」の秘訣になっていない秘訣
「夫婦円満」の秘訣をネットで探すと、だいたい
・相手を尊重する/感謝する
・会話を大事にする
・スキンシップを心掛ける
・家事を手伝う
・二人の時間を大切にする
このようなことが書かれてある。これらの秘訣は、以下に記す「できる営業」の秘訣によく似ている。
・お客様の立場に立って考える
・素早い対応を心掛ける
・商談の準備をしっかりする
・お客様を尊重する
・約束は必ず守る
断言しよう。私が講演やセミナーで、このような秘訣を言ったとしても誰も関心を示さない。
「そんなことはわかっている」
「単なる精神論だ」
「もっと具体的なテクニックを教えてほしい」
と言われる。当然だ。秘訣とは、他人には知られていない特別な方法、秘伝のテクニックのこと。誰だって知っている抽象論、精神論を言われても納得する人などいない。
だから、私はもっと具体的で実践できる手法を紹介したい。
■ビジネスの基本「●●●」を意識しよう!
もちろん「コレさえやっておけば大丈夫!」というテクニックはない。それはビジネスの世界でも同じだ。
ただ、「ハーズバーグの二要因理論」はお客様や職場での人間関係のみならず、夫婦や子どもとの関係を良好にするうえで、とても役立つと考えている。
二要因理論「衛生要因・動機付け要因」のうち、重要なのは、断然「衛生要因」だ。
・衛生要因 → 満たされても満足しないが、満たされないと不満を覚える
(会社の方針と管理、上司との人間関係、労働条件、個人の生活……等)
・動機付け要因 → 満たされると満足するが、満たされなくても不満ではない
(達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進、成長……等)
分かりやすい例を書こう。
どんなに好きな仕事に就いたとしても、会社の方針がおかしかったり、上司との関係がギクシャクしていたり、個人の生活を脅かすほど労働条件が悪かったりすると、ほとんどの人は続けられない。
「好きな仕事に就いたんだから、ガマンしろ!」
と言われても、そうは思えないのだ。
若者でもそうだ。上司の管理がイマイチ。方針がコロコロ変わる。そんな状況で、たまに
「君は凄いねえ。頑張ってるよ」
と褒められても、
「君がやりたいことは何だ? 今後のキャリアについて話し合おう」
等と言われても、心は動かない。正しい管理をしてもいないのに、部下の承認欲求を満たそうとしたり、やる気を上げようと動機付けばかり考えても空回りするばかりだ。
大事なことは「点数を上げる」ことではなく「点数を下げない」ことだ。「夫婦円満」の秘訣も同じである。
「相手の満足を増やしたい」
と考えるのではなく、
「相手の不満を減らそう」
と考えるべきだ。そこで私が提案したいのは「報連相」である。
■夫婦間の「報連相」とは?
「え? 夫婦円満の秘訣が報連相?」
と受け止めた人、多いだろう。ガッカリした人もいるのではないか。報連相を徹底するだけで夫婦円満になるのなら、誰も苦労しない! と思う人もいるはずだ。もちろんそうだ。
冒頭に書いた、
・相手を尊重する/感謝する
・会話を大事にする
・スキンシップを心掛ける
・家事を手伝う
・二人の時間を大切にする
といったことも同時に心掛けたい。
それでは、そもそも「報連相」とは何かについて触れたい。報連相は、報告・連絡・相談の略だが、次の順番で覚え、実践するようにしよう。
●連絡 → 事実や情報を関係者に伝えること(発生型)
●報告 → 進捗や結果を関係者に伝えること(設定型)
●相談 → 迷ったときにアドバイスやヒントをもらおうとすること(設定型)
報連相の中で、最も心理ハードルが低く、絶対に欠かせないのは「連絡」だ。
「来週の月曜日に緊急の朝礼を行うと、メンバーに連絡しておいて」
「お客様に9時半には到着すると、連絡してくれないか」
このように言われて連絡を怠ったら、間違いなく叱られる。葛藤するようなことではないし、誰だってできるわけだから、ついつい連絡を忘れてしまうような人は信頼されない。
夫婦間でも同じだ。
・何時に帰るのか
・いつ飲み会があるのか
・いつ出張するのか
・週末に予定があるのか
こういった基本的なことを連絡せずにいたら「減点」されるに決まっている。
「いつものように7時に帰ると思って夕食を用意していたのに」
「あれ? 飲み会があるって言ってなかったっけ? 大事なお客様なんだからしょうがないだろ」
何も連絡せず、夜の10時に帰宅しておいて、
「悪い悪い。今度、君の誕生日には高級レストランに連れていくから」
と挽回しようとしてもダメだ。衛生要因ではなく、動機付け要因ばかり気にしている人は、「あなたは人の気持ちがわからない」と言われるようになっていく。
■正しい報告をするための2つのポイント
次に報告だ。
進捗はもちろん「変化」「結果」を意識することだ。たとえば出張の例を書こう。
「来週の火曜日に、仙台へ出張だ。夜は何時になるかわからない。たぶん夜の10時には帰ると思うけど」
これが連絡である。それでは、報告とは?
「想像していたよりも早く仕事が終わった。夜7時の新幹線に乗れそうだ」
これが進捗報告である。
「新幹線のチケットがとれず、7時半になりそうだ」
これも進捗報告である。「変化」があるたびに報告しよう。
「無事に7時28分の新幹線に乗れた。夜の9時半ぐらいには帰るよ」
これが結果報告である。報告には主に「進捗」と「結果」の報告がある。
「あれ、どうなったの?」
と質問される前に、先回りして報告することが重要だ。これはビジネスにおいてはもちろんのこと、家庭においても、とても重要だ。
■相談は相手への報酬と考えよ!
そして最後が相談だ。
相談することがなくても、相談しよう。ビジネスにおいて相談は「上司への報酬」と捉えるべきだ。上司は部下から相談されると嬉しいものだ。解決を目的にしてしまうと、
「ネットで検索したほうが早い」
「ChatGPTで事足りる」
と思うかもしれない。しかし相手と良好な関係を築くためと考えればいい。
「うちの部長と課長が仲が悪いのよね。あなたならどうする?」
「取引先でこんな商品が売り出されたんだけど、君なら買うかな?」
こんな他愛もない相談でいいのだ。真剣に問題解決しようとせず、会話のきっかけ作りに使えると受け止めたらいい。
「自分の意見を尊重してくれる」
「私を頼ってくれるんだ」
このように思ってもらえることが目的だ。
■「報連相の鬼」になれ!
最後にまとめよう。
連絡は「発生型」だ。連絡すべきことが発生したら、すぐに連絡しよう。反対に、報告と相談は「設定型」。みずから設定しないとできないので、強く意識すべきは報告と相談だ。
私は自分に対しても、部下に対しても、クライアント企業の営業にも「報連相の鬼になれ!」と伝えている。
上司や部下に対してはもちろんのこと、お客様に対しても「報連相の鬼」になってコミュニケーションをとるのだ。
世の中には、いろいろな「話し方」「伝え方」「コミュニケーション」のテクニックが紹介されているが、私は「報連相」が基本だと思っている。
どんなに口下手でも、聞き上手じゃなくても、報連相さえしっかりしていれば、人間関係を悪くすることはない。たかが報連相、されど報連相だ。意外とみんな「できていない」ので、「報連相の鬼」になるだけで、大きな強みを手に入れられるものと受け止めたい。