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任天堂「はじめてゲームプログラミング」は、ゲーム開発を真の人気職業にできるか

徳力基彦noteプロデューサー/ブロガー
(出典:任天堂ウェブサイト)

任天堂がNintendo Switch向けソフト「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」を6月11日に発売すると発表し、ネット上で話題になっています。

発表後程なく公開された動画のツイートは、すでに1万リツイートを突破。

一時期は、「ゲームプログラミング」や「ナビつき」という関連キーワードがツイッターのトレンド入りもしていたようです。

紹介動画を見る限り、かなり分かりやすくプログラミングを学ぶことができそうですし、子ども向けのプログラミング教育ソフトとしてはもちろん、大人向けにも人気が出そうな印象です。

プログラミングを学ぶソフトというと、すでに多様なものが存在していますが、今回の任天堂のソフトは明確に「ゲームプログラミング」をうちだしており、Switchがあればすぐにはじめられるという点で、確実にプログラミングの裾野を広げてくれるのは間違いないでしょう。

作ったゲームをインターネットに公開可能

さらに「はじめてゲームプログラミング」で注目なのは、作ったプログラムをインターネット上に公開する機能が実装されている点です。

(出典:任天堂ウェブサイト)
(出典:任天堂ウェブサイト)

あくまで、つくったゲームを、インターネットで公開したり、ダウンロードするには有料の「Nintendo Switch Online」への加入が必要になるようですが、それでも自分のゲームを手軽に公開することができる仕組みが、Switchと連動して実装されているのは画期的。

自分が開発したゲームを手軽にSNSにシェアする機能も実装されているようですから、開発したゲームがネットで話題になり、ゲーム開発会社から声がかかる、なんていうことも全くの夢物語ではないということになります。

日本の「ゲーム」の位置づけを変えられるか

特に個人的に、今回の「はじめてゲームプログラミング」に期待したいのは、このソフトが日本におけるゲーム開発の敷居を大幅に下げてくれ、ゲーム開発の地位を向上してくれる可能性がある点です。

ゲーム開発者というと、小学生が将来なりたい職業ランキングでは、トップ10の常連の職業です。

(出典:ベネッセ 教育情報サイト)
(出典:ベネッセ 教育情報サイト)

参考:小学生がなりたい職業ランキング「ユーチューバー」は男子2位、女子4位

ただ、一方で日本で「ゲーム」というと、何かと教育の敵扱いされやすい傾向もあり、香川県ではゲーム規制条例が導入されることになってしまったほど。

参考:香川県のゲーム規制条例、効果はあったのか? 施行から間もなく1年

ゲームをあまりプレイしない親世代をはじめとして、まだまだ「ゲーム」というものに対して、敵対視する人が少なくない印象もあります。

一方で、プログラミングの重要性は社会的にも認知度を増しており、小中学校でプログラミング教育が必修になります。

当然、そうしたプログラミング教育において、「はじめてゲームプログラミング」のようなソフトが存在感を増せば、ゲームの教育効果にも焦点があてられるようになるでしょう。

任天堂が長年取り組むゲームプログラミング教育

実は任天堂の歴史において、こうしたゲームプログラミング教育は、何度も挑戦されてきているテーマでもあります。

源流となるのは1984年6月に発売された「ファミリーベーシック」でしょう。

参考:ファミコンの周辺機器“ファミリーベーシック”が発売された日。BASICでゲームを自作して遊べた夢広がるツール【今日は何の日?】

「ゲーム制作体験のためのBASIC」というコンセプトで、ファミリーコンピュータの周辺機器の1つとして、キーボードや教本とセットで発売され、40万台以上売れたといわれています。

また、2015年には「スーパーマリオメーカー」というマリオのゲームの世界を自由に作れるソフトを発売。

マリオのゲームコースを誰もが手軽につくれるソフトとして人気を博し、世界で400万本以上を販売。

2019年には「スーパーマリオメーカー2」も発売されました。

最近では2018年に「NINTENDO LABO」という、自分でコントローラーをつくってあそぶ、というコンセプトのアナログとデジタルを融合させたキットを発売。

このソフトにもプログラミングの機能が実装されています。

任天堂では、自らこの「NINTENDO LABO」で製作した自主ゲームのコンテストを開催。

自社のイベントでも展示するなどの取り組みをしていました。

参考:文具をひたすら無駄にしたり、3つのゲームを同時に遊ぶ変わりダネ!「#ラボ作品コンテスト」の優秀賞作品をプレイ

当然、「はじめてゲームプログラミング」でも類似の取り組みがされることになると期待されます。

こうした取り組みから未来のゲーム開発者が多数生まれてくるはずです。

ファミリーベーシックから、実に足かけ37年。

今回の「はじめてゲームプログラミング」は、任天堂のこうした一連のゲーム開発の裾野を広げる取り組みの、1つの集大成となるかもしれません。

まずは、発売日を座して待ちたいと思います。

noteプロデューサー/ブロガー

Yahoo!ニュースでは、日本の「エンタメ」の未来や世界展開を応援すべく、エンタメのデジタルやSNS活用、推し活の進化を感じるニュースを紹介。 普段はnoteで、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNSの活用についての啓発やサポートを担当。著書に「普通の人のためのSNSの教科書」「デジタルワークスタイル」などがある。

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