【認知症】ゴミをため込み捨てられない。その原因と対応法【介護福祉士が漫画でわかりやすく解説】
↓YouTubeのショート動画で音声つき漫画を見られます。
家庭で認知症に気づくきっかけには、いくつかのパターンがあります。
今日は、ゴミや不要な物をため込むようになったことから認知症が疑われたケースを、いつものように漫画形式でご紹介します。
調理ゴミをしまい込む
わたしが以前、訪問介護でうかがったAさんのお話です。
(プライバシー配慮のため、若干の創作を加えてあります)
わたしが使用済みのプラ容器を捨てようとすると、声がかかりました。
Aさんが強く怒ってしまったので、その日はそのまま帰りました。
次の訪問日に、キッチンの戸棚を見てみると…
洗っていない使い捨て容器などが増えていました。
再利用される様子はありません。数が増えていく一方です。
汚れた容器は衛生的によくないと判断し、Aさんが見ていない間に、さりげなく処分しました。
「Aさんが、なくなった容器を探し出すのでは…」
と心配しましたが、全く気にしている様子はありませんでした。
あれだけ強く「捨てないで!」とこだわったプラ容器のことも、すっかり忘れているようでした。
判断力・理解力の低下
認知症の初期症状に『判断力・理解力の低下』があります。
Aさんは、わたしがヘルパーとして通い始めた頃は、ゴミをため込むことはありませんでした。
その後のある時期から、捨てるものと保存するものを、適切に区別することができなくなっていきました。
記憶力の低下
認知症に気づくきっかけで多いのは『記憶力の低下』です。
Aさんは、使用済みのプラ容器を捨てることを強く拒みました。
しかし、その容器を戸棚にしまったことは忘れてしまい、その後使うこともありません。
自分で戸棚を開けたときに、
「こんなのいつ入れたかな?」
と話すこともありました。
行為を否定せず、気持ちを想像する
もともと、どんな物も大切に使っていたAさん。
そんなAさんだからこそ、
「まだ使えそうだから、今度また使おう」
という気持ちが、認知症の進行とともに極端に強くなったのだと思われます。
衛生的に問題のあると考えられるものは、わたしが処分しました。
それと同時に、Aさんの『物を大切にする』気持ちは否定しないようにしました。
戸棚を定期的に一緒に整頓したり、間仕切りや箱を用意して、捨てるものと保存するものを、わかりやすくするのもおすすめです。
孤独や不安から、収集癖の症状が現れることもあります。
一見不可解な行為も頭ごなしに否定せず、その裏に隠されている気持ちを想像しながら寄り添うことで、その人を理解できることもあります。
認知症の人と生活の場を共にする介護職だからこそわかることもあります。
そんな介護現場での気づきを、これからも漫画を通してお伝えできたらと思っています。
↑認知症の人の気持ちを否定しないケアの方法を紹介しています。