一時帰国の留学生に対し奨学金返還要請。「奨学金難民を助けてください」再び学生から上がる声
3月23日に取り上げた、日本人留学生への奨学金停止問題。
その後、各関係者に動いて頂き、日本学生支援機構による「奨学金の継続」はすみやかに決まった。
(ただし、自費帰国、自費隔離の問題は解消されておらず、早急に改善されることを求めたい)
学内の奨学金で一部返還要請
他方、大学独自の奨学金に関して、一時帰国の留学生に対し、奨学金の一部返還を求める動きが起こっている。
早稲田大学では3月24日、途中帰国した学生(留学先以外でのオンライン授業履修の学生を含む)に「奨学金の一部返還」を求めるメールを通知。
「皆さんが受給されているのは留学のための奨学金です(留学先学費、生活費、渡航費など)」として、一部返還を求めている。
しかし、ただでさえ緊急帰国により渡航費がかかる上に、留学先の学費や滞在費(住んでいなくても契約期間は家賃を支払わなければならない)を払い続けなければならない状況に変わりはない。むしろ、日本(もしくは他の帰国先)国内での滞在費もかかり、二重で費用が膨らむと言っても過言ではない。
その上、あくまで「留学生」であることから、非留学者向けの「早稲田大学学内奨学金」に採用される可能性も低く(特に外国人学生は「留学中」学内奨学金の申請ができない)、奨学金を一部返還されては、留学先の学費や滞在費を支払えない、と学生から悲鳴の声が上がっている。
「2019年8月末からスペインに留学していた。留学期間は6月末までだが、コロナの蔓延及び大学側からの勧告により3月末に急遽帰国。留学費用として一括給付型奨学金110万円を受給していた。
日本でスペインの大学のオンライン授業を通常通り受講予定だが、早稲田に25.5万円ほどの返還を求められている。
一時帰国のため、荷物はスペインにあり、いずれ帰らなければならない。
実家は貧しく、何百万円もの学費は貸与型の奨学金によって賄っている。しかし留学中の身分のため、学内奨学金は選考が不利な状況であり、生活が厳しい状況に置かれている。」(留学中の早稲田学生)
「アメリカの大学に留学していましたが、3月18日帰国するように指示されたので、母国の韓国に3月23日、帰りました。
現在韓国で大学のオンライン授業を受講中。すでに支払った大学の寮費は、まだ返金される様子がない。
その上、早稲田に留学奨学金を一部返還してくださいと言われ、金銭的に余裕がありません。」(留学中の早稲田学生)
奨学金一部返還措置の停止を
こうした状況に対し、早稲田大学の学生からは改善を求める声が上がっている。
change.orgを利用した署名では、文科省の方針通りに、留学先以外の場所で留学先大学のオンライン授業を受講している学生を「返還対象から外すこと」もしくは「特例措置としてすべての学内奨学金の採用資格を与えること(また、採用された場合、金額を変更しないこと)」を求めている。
大学からのメールの回答期限になっていた本日3月31日、学生は署名を提出する予定だそうだが、早稲田大学から奨学金の「一部返還」を求めるメールが送られたのは、文科省が奨学金停止の方針を変更する前であり、一刻も早く、早稲田大学も方針を見直し、オンライン授業受講者に対して奨学金の一部返還措置を止めるべきだろう。