【台風10号】28~31日に列島縦断か…なぜ進路が変わる?「警報級」のタイミングは?:気象予報士解説
強い台風10号は26日夜の時点で、南の海上を西進していて、今週末31日(土)頃にかけて列島を縦断し、長時間にわたって影響を及ぼすおそれが出てきました(進路図は記事中ほどに掲載)。
上陸のおそれがある九州だけでなく、四国~関東の南または東に開けた斜面を中心に、雨の量が多くなりそうです。
また、台風周辺からの暖湿気流入が強まり、26日も引き続き広範囲で雷雨のおそれも。気象予報士が解説します。
(※台風の新しい進路については筆者の最新の記事をご覧ください。)
26日は沖縄~北海道まで雷雨のおそれ
暖かく湿った空気の流入が強まる影響で、26日は25日よりもさらに広範囲で「雷を伴った激しい雨」の予報が出ています。
午後に発雷確率が高い地域が多いものの、一部では朝から降るところもあるほか、低気圧が近づく北海道~東北北部は雨が降る時間が長くなりそうです。
また西日本の日本海側を中心に厳しい暑さでしょう。
台風10号は31日にかけて列島を縦断か
台風10号は26日18時の時点で「強い」勢力を保っていて、27日(火)~29日(水)朝にかけては一時的に「非常に強い」勢力にまで発達しながら奄美地方付近をゆっくり通過する見通し。
そのあと多少勢力は落としながらも、「強い」勢力で29日(木)以降に九州に上陸するおそれがあります。
「強い」勢力の台風の中心付近では、走行中のトラックが横転するような風が吹きます。
さらにそのあと、31日(土)にかけて、列島をゆっくり縦断するおそれが出てきました。
このコースだと、西日本だけでなく東海や関東でも雨の量かなり多くなるほか、北陸や北日本でも直接的な影響が大きくなりそうです。
なお、実際に雨や風が強まるタイミングについては、後述する「警報級」の可能性の図を見てください。
なぜ進路が変わった?
今回、台風10号の進路予報の中心が西へずれて、奄美や九州にかなり接近する予想になってきているのは、「高気圧」と「寒冷渦」の影響があります。
「高気圧」の影響というのは日本の東の海上から高気圧が大きく張り出していることで(冒頭の天気図参照)、この張り出しに押されるような形で進路が徐々に西寄りになってきています。
一方、「寒冷渦」というのはやや専門的ですが、上空で寒気の塊が低気圧のような渦を形成しているもので、衛星画像だとやや黒っぽい筋の入った渦が見える部分です。
(寒冷渦には北側から乾いた空気が巻き込むように流入するため、上図のような水蒸気量を見るタイプの衛星画像では、それが黒っぽく見えるのです。)
「寒冷渦」は台風と同様、偏西風から独立した渦なのですが、こういった渦が近く(おおむね1,000km以内)にあると互いに影響し合って変則的な移動をすることがあります。
今回の台風10号だけでなく、台風の進路が「寒冷渦」との相互作用で変わることは過去にもたびたび見られる現象です。
なお、台風は転向点(東に曲がる地点)でも進路や移動速度が変わりやすい性質があるため、予報円は今後も変わる可能性があり、最新の情報が重要です。
大雨・暴風が「警報級」になるタイミングは?
台風の進路が変わったことにより、大雨や暴風の警報が出る可能性がある地域やタイミングも、これまでの予想からズレてきています。
大雨の危険が去ってから暴風がやってくる地域もあり、台風の進路図だけでなく実際の雨・風が強まるタイミングをしっかり確認しながら備えましょう。
台風通過後は猛暑日予想が増加
台風10号が通過したあとは、同時に猛暑が戻ってきそうです。
数日前の予報と比べ、台風通過後に猛暑日予想の地点が増えているため、通過後に延期していた夏のレジャーを楽しむ人もいると思いますが、最新の気温予想を見るようにしましょう。
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