三井住友「Olive」にデメリットも 気になる注意点を解説
三井住友フィナンシャルグループの「Olive(オリーブ)」が始まったことで、SNS上にはさまざまな反響が上がっています。
その中で、ポイント還元などに期待する声がある一方、注意点の多さにためらう人も少なからずいるようです。本記事ではOliveで注意すべき点を解説します。
メリットよりも注意点が多い?
Oliveを提供する目的としては、アプリを中心に据え、実店舗の統廃合といったコスト削減、資産運用の相談など付加価値の提供につなげていくといった狙いが語られています。
これは日本で進むスマホ最適化のトレンドに合致しているとはいえ、ユーザーにとって具体的にどのようなメリットがあるのかは気になるところです。
まずはアカウントやアプリ、カードが「1つ」にまとまるという点でしょう。SMBC IDでログインした三井住友銀行のアプリからは、カード、証券、保険といったサービスにアクセスできます。
現時点では、「ポイント払い」機能のように別のアプリへのリンクにとどまっているものがあり、今後の統合を期待したいところです。物理的なカードは1枚となり、何枚も持ち歩く必要がなくなるのはメリットといえるでしょう。
ポイント還元については、コンビニやファストフードを中心とした対象店舗であれば、最大15%という高い還元率をうたっています。
このように、たしかにメリットはあるとはいえ、それを上回る量の注意点があり、既存ユーザーにはデメリットになり得るものも含まれています。特に気になる点を以下に挙げていきます。
クレジットは必須
Oliveの銀行口座とクレジットカードは一体となっており、申し込みの際に「クレジット機能なし」という選択肢はありません。
ただし審査の結果によって、もしくは18歳未満の人は、クレジット機能なしでの利用になります。
三井住友銀行では、個人向け口座としてOliveをすすめていくようですが、従来型の普通預金口座を開くことも引き続き可能です。
カードを選べるのは申し込み時
Oliveフレキシブルペイでは、カードのランクに「一般」「ゴールド」「プラチナプリファード」の3種類があります。これを選べるのは新規の申し込み時のみとなっています。
普通のクレジットカードのようにOliveカードを2枚持ちすることはできず、切り替えたい場合はいったん解約してから新規申し込みとなるようです。
→【Olive】プラチナプリファード、ゴールドにランクアップしたい
なお、Oliveの発表時には、三井住友カード ゴールドNLの利用者がOliveゴールドを発行する際、年会費が永年無料となる「100万円修行」がやり直しになるという注意点がありました。
この点については、年会費永年無料を引き継げる救済措置が用意されました。その背景については、「SNSなどで多くのお声をいただいたことを受け、実施することにした」(三井住友カード広報部)と説明しています。
また、プラチナプリファードの場合、年間100万円利用ごとに1万ポイントの継続特典が無効になります。その代わりとして、Olive側からポイント付与を実施し、さらに「50万円ごと」にハードルを下げる配慮が加わっています。
審査に落ちても年会費
クレジットの審査に落ちた場合でも、「ゴールド」や「プラチナプリファード」の年会費はかかります。理由としては、空港ラウンジなどの付帯サービスは使えるためと説明されています。
SMBCデビットはすぐ無効に
既存の銀行口座をOliveに切り替えても、銀行の店番号や口座番号はそのままです。Oliveのカード番号はアプリで確認でき、デビットモードはすぐに使えるようになりました。
ただし、これまでのデビットカードは最短でその日から利用できなくなります。筆者のカードは切り替えの翌朝に無効になりました。引き落としの予定がある場合は注意が必要です(この後も、ICキャッシュカードとしては利用できました)。
→【Olive】既に口座やカードを持っている場合、Oliveフレキシブルペイは申し込めますか?
コンビニATMの無料回数に変化
普通預金口座の手数料優待「SMBCポイントパック」はOliveへの切り替えで解約となり、Oliveの優遇措置が適用されます。
その中で、これまでコンビニATMの手数料無料回数は「最大3回」でしたが、Oliveでは「選べる特典」を使って1回(プラチナプリファードでは最大2回)となり、ほかのネット銀行と比べるとやや物足りない印象です。
→【Olive】選べる特典(ATM手数料無料・Vポイント等)について知りたい
2年以上使わないと手数料がかかる
最近、休眠口座に手数料を課す銀行が増えています。三井住友銀行は2021年4月から「デジタル未使用手数料」を導入したものの、Web通帳やアプリを利用していれば回避できるものでした。
しかしOliveでは新たに「未利用口座管理手数料」が設けられ、「残高1万円以上」や「定期預金口座がある」などの条件を満たす必要があります。手数料は年間1100円で、事前にメールで通知が届くとのこと。三井住友銀行をメインに使っていくのであれば、まず問題ないでしょう。
引き落としは三井住友銀行で
Oliveフレキシブルペイの引き落とし口座は、三井住友銀行のみとなっています。これも三井住友銀行をメインに使っている人なら問題ないと思われますが、これまでカードの引き落としに別の銀行を使っていた人は、注意が必要です。
Olive解約時の注意
Oliveフレキシブルペイを解約することで、普通預金口座に戻すことができます。注意したいのはVポイントの扱いで、新規にOlive口座を開設した場合は「SMBCポイントパック」に引き継がれますが、普通預金からOliveに切り替えていた場合、Vポイントは消滅すると説明されています。
ベースはデビットカード
三井住友カードの説明によると、Oliveフレキシブルペイはデビットカードがベースになっているとのことです。
デビットカード特有の制限はクレジットモードで回避するという建て付けです。デビットカードに慣れていない人は戸惑うかもしれません。
→【Olive】カード番号を、毎月の継続的な支払いが発生するサービスに登録できない
iDでの支払いは必ずデビットモードになるなど、支払い方法によってはモードが固定されています。また、アプリ側でモードを切り替えても、請求のタイミングがずれることで意図したモードにならない場合があるようです。
→ ご利用時と異なる支払いモードに明細が表示されている|Olive フレキシブルペイ
不正利用もフレキシブル?
カードを不正利用された場合、デビットモード、クレジットモードはそれぞれの補償が適用されるようです。ポイント払いモードの不正利用は補償対象外となっています。
→【Olive】紛失・盗難・事故・不正利用は補償されますか?
モード切り替えは一長一短
実際に使ってみた印象としては、支払いの際に「どのモードに設定していたか」分からなくなることがありました。
現在のモードはアプリから確認できるとはいえ、三井住友銀行のアプリを開き、Face IDで認証してモードを確認し、もう一度Apple Payに戻ってくるまでに15〜30秒ほどかかります。
この手間を省くには、メインで使うモードを決めておき、別のモードに切り替えた後はメインのモードに戻す、といった使い方が中心になりそうです。
Oliveのさらなる「差別化」はあるか
こうして見ていくと、メインの口座やカードをOliveに移行するのは、しばらく様子を見てからでも遅くはないように思えてきます。
ただ、三井住友カードによるポイント還元のキャンペーンでは、通常では最大500円分のところが、Olive会員は最大1500円分と差が付けられています。
今後、幾多の注意点を乗り越えてでもOliveを使いたくなるような差別化が進んでいくか、注目したいところです。