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親に相続放棄してほしいと言われました。相続放棄しないといけませんか。

親に「相続放棄をしてほしい」と言われたらどうすればよいでしょうか。

例えばこんなケースです。

<例>

父が入院中なのですが、「母のために今すぐ相続放棄をしてほしい」と言われました。
父は自分が亡くなったあとの母の生活を心配しているようです。
母の今後の生活を考えると、父の財産は全て母が相続することに反対はしませんが、今すぐ相続放棄をしないといけないのでしょうか。

私は司法書士会での電話相談の仕事もしていますが、たまにこのような相談があります。このような場合、どう対応したらよいのか一緒に見ていきましょう。

相続放棄は誰かに強制されてするものではない

相続放棄とは、家庭裁判所に相続放棄の申述をすることです。家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されて初めて相続放棄をしたことになります。

この家庭裁判所での手続きは、被相続人となる方の生前はすることができません。

なぜなら、生前に相続放棄を可能としてしまうと、今回のケースのように無理やり放棄させられてしまう可能性があるからです。

相続放棄とは相続人の一身専属権であるため、その権利行使は本人の自由な意思に基づくものでなければなりません。

放棄しますという書面を書いた場合

相続放棄の手続きは家庭裁判所で行うことになっていますが、相談者の方にこう言われることもあります。

「もうすでに相続を放棄します、という念書を書いてしまいました。」

この場合、この書面は法律上有効なものとは言えません。

なぜなら先ほどもご説明したとおり、被相続人の生前に相続放棄はできないからです。

そのため、生前にこのような念書を書いたとしても、被相続人が亡くなった後に法定相続分があることを主張することはできます。

希望通りに相続してもらうためには遺言書を書く

今回の例では、お父様は自分が亡くなった後、自分の妻にすべての財産を相続してほしいという希望を持っていらっしゃいました。

このような場合、子供に事前に相続放棄をさせるのではなく、遺言書を活用することで問題を解決することができます。

つまり、妻にすべてを相続させると遺言書を書くことで問題は解決するのです(遺留分の問題は残ります)。

入院中の場合でも、公証人による遺言書の作成は可能です。万が一に備えて遺言書を残しておくようにお願いするのが問題解決への第一歩となるでしょう。

司法書士とは不動産などの大切な権利を守るための専門家です。司法書士の視点から不動産、相続、終活を中心にわかりやすく役に立つ記事をお届けします。AFP2級ファイナンシャルプランナーでもあり、行政書士、宅建士の有資格者です。

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