生きること、死ぬこと:100日後に死ぬワニと新型コロナウイルス、そして一人の少女の死
<現代人は死を隠すことで上手く生活しようとして、かえって生き方に迷っている。死に対する現代の問題は何か。死生観の心理から考える。そして、私が体験した一人の少女の死からも。>
■生きることばかりを考えている現代人と「100日後に死ぬワニ」、「一度死んでみた」「2分の1の魔法」、新型コロナウイルス
現代人は、死を見えないようにしています。
「いまの世では生ばかりが強調されて、往生際がすこぶる悪い」と語る専門家もいます(上田正昭 著「死をみつめて生きる:日本人の自然観と死生観 」:角川選書)。
その中で、新型コロナウイルスが世界に蔓延しました。日本で死の恐怖を感じている人はあまり多くはないかもしれませんが、イタリアでは「本当に恐怖を感じる」と語る人々がいます。
ネット上では、「100日後に死ぬワニ」が話題です(今回の感染症を予測したのではないでしょうが)。
<私たちはみな「100日後に死ぬワニ」:死を意識することで見える世界>
映画の世界では、「一度死んでみた」(出演:広瀬すず 吉沢亮 松竹映画)。コミカル映画ですが、娘に「死んでくれ!」と父親が「一度死んで2日後に生き返る薬」を飲んで巻き起こす騒動を描いています。
「リメンバー・ミー」「トイ・ストーリー」のピクサー・アニメーションが作った新作アニメは、「2分の1の魔法」。亡くなった父親が魔法によって半分だけ復活。その父親を完全によみがえらせるため奮闘する兄弟の物語です。
偶然なのでしょうが、死を扱った物語が続いています。
ちなみに、「リメンバー・ミー」はメキシコの祝日「死者の日」の物語です。「トイ・ストーリー」も「トイ・ストーリー3」では、ゴミ処理場に運ばれた主人公たちが死の恐怖を味わいます。
これらの物語は、死を扱いながら、生きる意味を問うています。
NHKで昨年放送されたドラマ「ゾンビが来たから人生見つめ直した件」でも、漫然とした生活をしていた主人公の町で、ゾンビ騒動が発生し、生きる意味を再考することになるコミカルなドラマです。
生きることばかり考えていた現代人に、反動がきているのかもしれません。
死と向き合い、良く生きるためは、何が問題で、何が必要なのでしょうか。
■現代人にとっての死とは:「死のタブー視」「死の風化」「死の管理化」「死の野生化」「死の無個性化」
現代人は、死を軽んじています。死を見えないようにしたり、逆に妙に演出してドラマのようにもします。
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