飲茶や生演奏にシャンパーニュ!? 好きなだけ飲めるホテルの新フリーフローが人気の理由
新しいフリーフローが登場
2020年の夏も猛暑の日々が続きました。8月17日に静岡県浜松市で41.1度となり、国内最高気温を記録したことは記憶に新しいです。9月の残暑も厳しく、10月の気温も全国的に平年より高いと予想されています。
こういった時期には、シャンパーニュやスプマンテなどのスパークリングワイン、白ワインやロングカクテルがおいしいものですが、値段が気になるので、そう何杯も飲めません。しかし、フリーフローであれば定額なので、気にせずに好きなだけ楽しむことができます。
ホテルでは以前からフリーフローが行われているので、目新しさがなくなったように感じられるかもしれません。しかし、最近になってまた新しい価値を携えたフリーフローが登場しているのです。
新しく始められたホテルの人気フリーフローとその背景を紹介しましょう。
フォーシーズンズホテル東京大手町「PIGNETO」
2020年9月1日にオープンしたフォーシーズンズホテル東京大手町のイタリア料理「PIGNETO(ピニェート)」では、18時から20時の時間帯にルーフトップテラスで「APERITIVO(アペリティーボ)」が提供されています。
APERITIVO 4,900円(税・サ別)
- 料理
アンティパストセレクション(アンティパスト、コールドカット)
- フリーフロー
スパークリングワイン、白ワイン2種、赤ワイン2種、ビール、カクテル5種、ノンアルコールカクテル2種、ソフトドリンク
料理はシェフの木川欣宏氏が手掛け、フリーフローにはイタリアンらしくプロセッコが用意されています。カクテルは5種類もあるので、飲み比べてみるとよいでしょう。
広々とした最上階のテラスからは東京タワーなどの都心を一望できて非常に開放的。雨が降ってきたら店内のテーブルに案内されるので安心です。ラグジュアリーホテルにもかかわらず、手頃な値段で利用できるのも嬉しいところ。
PRエグゼクティブ小島朋子氏は「素晴らしい眺望や広々としたルーフトップテラスを気軽に楽しみ、1日の疲れを癒やしていただきたい」と話します。
「ピザを注文していただくこともお勧めしたい。ピザ大学を卒業したピザ職人がオープンキッチンで焼き上げるので絶品」と、より楽しめる方法を教えてくれます。
ルーフトップテラスは日本でも広がりをみせていますが、気持ちも弾むフリーフローによって、さらに価値が高められているのではないでしょうか。
グランド ハイアット 東京「オーク ドア」
グランド ハイアット 東京のステーキハウス「オーク ドア」では、2020年9月5日から土日祝日のランチ限定で「オーク ドア グランド ブランチ」が始められました。前菜とデザートは好きなだけオーダーでき、メインディッシュは1品選ぶことができます。
オーク ドア グランド ブランチ 10,900円(税・サ別)
- 料理
前菜5種、メインディッシュ5種、デザート5種、コーヒーまたは紅茶
※前菜とデザートは好きなだけオーダー可能、メインディッシュは1品選択
- フリーフロー
シャンパーニュ、白ワイン、赤ワイン、オリジナルカクテル2種、ビール、モクテル、ソフトドリンク
日本でもよく知られている「ペリエ ジュエ グラン ブリュット」や金木犀が香るオリジナルカクテル「桂花スプリッツァー」がフリーフローで楽しめると非常に人気です。
広報の小山真弓氏は「海外旅行にもなかなか行けない今、週末くらいは日頃の忙しさやストレスを忘れて、開放的なレストランで優雅で非日常的なブランチタイムを楽しんでいただきたい。まるで海外にいるような気分に浸れるバンドやDJの生演奏とともに、ラグジュアリーホテルならではの体験を堪能いただけたら」と話します。
全ての料理は「オーク ドア グランド ブランチ」のためだけに新しく考案されたものなので、ここでしか体験できません。
オススメはメイン料理の「USプライムビーフのサーロインステーキ」。約170グラムものステーキに目玉焼きとフレッシュトリュフのスライスがのせられています。
デザートの一部はホテルのペストリーチームが担当しており、見た目も可愛らしい「キャロットケーキ」「マカロンアイスクリームサンド」が好評。
小山氏は 「季節ごとにメニューが新しくなる予定で、いつ訪れても新しい味に出合える」と話します。感染防止策も講じられているので安心してリピートしたいです。
フレイザースイート赤坂東京「MOSS CROSS TOKYO」
2020年8月7日にオープンしたフレイザースイート赤坂東京の「MOSS CROSS TOKYO」では、9月中旬からランチコースに「シャンパーニュフリーフロー」を合わせられるようになりました。
MOSS CHAMPAGNE LUNCH 8,000円(税・サ込)
- 料理
前菜、麺、選べるメインディッシュ、デザート、食後の飲み物
- フリーフロー
シャンパーニュ3種、シャンパーニュカクテル10種、白ワイン、赤ワイン、ビール、ソフトドリンク
総料理長を務める増山明弘氏のスペシャリテ「SHOKADO-9 前菜9品盛り合わせ」や自社農園「CROSS Farm」の茄子を用いた長崎県産雲仙素麺を味わうことができます。
フリーフローでは、ロゼも含めた3種のシャンパーニュやシャンパーニュカクテルが目玉。和魂洋才をテーマとした料理と上品なシャンパーニュの相性は抜群です。
支配人兼シェフソムリエの兒玉一樹氏は「生産者が増えているので、様々なシャンパーニュを味わっていただきたいと以前から考えていた」と述べます。
特にこだわったのは、乾杯する楽しみを高めようと考案された、10種類のシャンパーニュカクテル。ゲストの反応を尋ねると「シャンパーニュカクテルの種類が豊富なので、とても喜んでいただいている」といいます。
季節によってシャンパーニュの種類が新しくなるので、シャンパーニュ好きには目が離せないフレンチのランチコースになることは間違いありません。
ストリングスホテル東京インターコンチネンタル「チャイナシャドー」
ストリングスホテル東京インターコンチネンタルの中国料理「チャイナシャドー」では、今秋から平日のランチ限定で「ディムサム アフタヌーン」が始まりました。飲茶コースにフリーフローが付いています。
ディムサム アフタヌーン 7,500円(税・サ別)
- 料理
飲茶13種
- フリーフロー
シャンパーニュ
飲茶に中国茶や紹興酒ではなく、シャンパーニュを合わせたのが新しいところ。「チャイナシャドー」の点心はとても繊細なので、上品なシャンパーニュによって味わいが際立ちます。
「ディムサム アフタヌーン」が始められたのは、ゲストからのリクエストでした。マーケティングコミュニケーションズ部長の徳田依子氏は「もともと点心のコースは中高年の女性を中心に人気があった。夏にシャンパーニュのフリーフローを行ったところ大人気で、点心でのご要望もいただいた」といいます。
飲茶は、焼売から蒸し餃子、大根餅や麺、甘い点心2種など季節で変わる全13種。徳田氏は 「点心はバラエティに富んでおり、フルコース仕立て。全てが手作りなので、優しい味わいながらも旨味がある」と自信をもちます。
旬の果物を使った甘い点心を取り入れるなど、新しくしていくので、飲茶とシャンパーニュのマリアージュがますます楽しみです。
人気の共通点
ここまで、新しく始められたフリーフローを紹介してきましたが、人気となっている共通点があります。
1つ目は、どれも早い時間帯に開催していること。「PIGNETO」は夕方の時間、他の3店はランチタイムとなっています。コロナ禍にあって、以前より外食する機会は減っていますが、外でお酒を自由に飲みたいという気持ちはあるもの。夜遅い時間はまだ気が引けますが、早い時間からであれば利用しやすいです。
次は開放的な空間であること。「PIGNETO」と「オーク ドア」はオープンエアで、「MOSS CROSS TOKYO」はテラスに面し、「チャイナシャドー」は広い窓をもっています。外食するのであれば、狭い自宅のダイニングとは異なり、広い空間で過ごしたいと思うもの。それも、開放的な気分となるフリーフローであれば、なおのことでしょう。「新しい生活様式」にもマッチしているので安心です。
最後はスパークリングワインと、それに相応しいマリアージュがあること。日本ではスパークリングの消費量が伸びており、非常に人気。特にフランスのシャンパーニュやイタリアのプロセッコは知名度が高いです。「PIGNETO」ではプロセッコ、他の3店ではシャンパーニュが飲めます。
スパークリングワインは高級なイメージがあるだけに、フリーフローであればお得に感じられます。ただ単にスパークリングワインがあるだけではなく、それに合わせたおいしい料理があることも重要。「PIGNETO」ではプロセッコに合うアンティパスト、「オーク ドア」ではステーキハウスらしい豪快な料理、「MOSS CROSS TOKYO」はフレンチのコース、「チャイナシャドー」は多彩な点心があるのです。定番から新しい試みのスパークリングワインのマリアージュが楽しめるので、人気がでないはずはないでしょう。
定額で自由に飲めるフリーフローは魅力
最近では料理に合わせて、ワインをはじめとしたペアリングが流行しています。
確かに、料理と最高のマリアージュを実現するお酒をソムリエに選んでもらうことによって、新しい組み合わせを発見できるのは、とても嬉しいことです。ただ、自分が好きなものを好きなように好きなだけ飲めるフリーフローは非常に気楽で心地よいものです。
コロナ禍で外食に出かけようという雰囲気が落ち込んでいますが、おいしい料理と気軽に飲めるお酒を求めて、人々が飲食店に訪れてもらえることを願っています。