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【シューズが10g軽くなると、どのくらい速くなる?】シューズの軽さとタイムの関係

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ

読んで頂いてありがとうございます!
たくや/ランナーです。都内で医師&ランニングコーチをしています。

今回はシューズの重さと、タイムの関係についてまとめます。
・短時間で理解・対策ができるようまとめました。
・時間のない方は、白板だけでもOKです。
・深く知りたい場合は、Noteも読んで下さい。
では早速いってみましょう!!
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みなさんシューズの重さは気にしますか?

マラソンを始める方で、まず驚くのがシューズの軽さと言います。
重厚で厚いソールに加え、足を包み込むアッパーの質感がありながら、
持ってみると意外と「軽っ!」ってなるんです。

そしてこの軽さを、結構気にしている方が結構多い気がします。

シューズの重さを気にしている方、多いですよね!

スポーツ店のシューズコーナーには重量計のあるところが多いですし、新作のシューズ紹介のYou Tubeでは、重量を測定しているものをたくさん見かけます。

では軽さ・重さはランニングにどこまで影響があるのでしょうか。
論文を元に書いていきたいと思います。

実際に論文を調べてみると

論文は2016年のアメリカのコロラド大学のものです。
5kmを20分以内で走れるランナー18人で調べました。全員男性で、平均年齢24歳、平均体重64kgだったそうです。
靴の重さを三段階変えて、週1回3000mのタイムトライアルをしています。その間、食事や睡眠などは極力同じ条件で調べたそうです。

シューズはNikeのZoomStreak5で、シューズ自体の重さは202-225g(サイズによって異なります)。そして負荷は(片方につき)+0g、+100g、+300gとしています。

「シューズの重さとタイム」論文の結果①

そして結果ですが、
100gの負荷でタイムは平均+0.65%(±1.36%)、
300gの負荷でタイムは平均+2.37%(±2.09%)。

以上の2つの結果の間をとると、
シューズが100g重くなるごとにタイムが+0.78%となったということです。

つまり例えば新作のシューズが10g程度軽かったとしたら、重さ自体は、タイムに-0.078%の影響が出ます。具体的な時間で表すとフルマラソン3時間のランナーで8.5秒、4時間のランナーで11秒程度速くなるわけです。

「シューズの重さとタイム」論文の結果②

タイムだけではなく、代謝率もアップします。要は重いシューズだから代謝も上がって疲れやすくなりますよね。

この研究では、100gにつき1.11%代謝が上昇したようです。この数字の考え方が難しいのですが、安直に考えると10g軽くなると、30kmでガス欠するランナーの場合、その33m先まで頑張れるわけです。

その他、文献に書いてあったこと

週1回の実験であったからか、ほとんどのランナーはシューズが約200g→300g→500gへと重くなったのに気づかなかったそうです(500gのシューズとか気づきそうなものですけどね・・・)。意外とシューズの重さは意識しないと気づかないのかもしれません。

また重いシューズの時は、軽いシューズのときと同じペースで走り出して失速するのではなく、全体的にペースが落ちていたとのことです。軽ければ軽いなり、重ければ重いなりのペースで走ることができるようです。

「シューズの重さとタイム」まとめ

以上の結果をまとめていきます。
靴が軽くなったときのパフォーマンスの向上は、タイムは0.078%/10g、代謝率は0.111%/10gでした。つまりはフルマラソン4時間のランナーなら11秒程度速くなり、46.8メートルバテるのが遅くなるということです。
そして靴の重さは、体重が軽くて筋力のないランナーの方が影響が出やすいと思われます。

どうでしょうか、おそらく皆さんが考えるより靴の軽さの影響は小さいものだったのではないでしょうか。こういう研究は以前から度々なされていますが、大きな違いはないように思います。
シューズの軽さにこだわらずに、自身にあったシューズを選ぶのがよいのではないかと思います。

以上、最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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<参考文献>
・ランニングエコノミーの変化と長距離パフォーマンスの変化
HOOGKAMER et al. Altered Running Economy Directly Translates to Altered Distance-Running Performance. Medicine & Science in Sports & Exercise 48(11):p 2175-2180(Wolters kluwer

たくや/ランナーについて
中学・高校・大学と陸上競技部で、そして卒業後もランニングを続けています。フルマラソンのベストは2時間50分。
今は都内の病院で勤務をしつつ、ランステでコーチをしています(日比谷ライドのコーチ紹介)。
発信はおもにNoteでしています(ビアランニングドクターのNote)。

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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