4年ぶり『a-nation』に宿っていた音楽の爆発力 サプライズ出演でダンスホール化したスタジアム
コロナ禍を経て4年ぶりとなった、エイベックスによる夏フェス『a-nation 2024』が9月1日、東京・味の素スタジアムにて開催され、サプライズ出演を含む豪華11アーティストが圧巻のパフォーマンスを繰り広げた。
なかでも、レーベルの垣根を超えて出演したNiziUのキュートなダンス&歌唱、暑苦しいアイドルを自認するWEST.とお笑いコンビ・ナインティナインの競演に、会場は大きく揺れた。
後半は、伝説のダンス&ボーカルユニット・TRFのサプライズ出演でスタジアムが一瞬にしてダンスホールと化し、日本を代表する歌姫・浜崎あゆみのエンターテインメント性の高い圧巻のパフォーマンスに魅了される。
そんな充実したステージが繰り広げられる、音楽の爆発力を肌で感じさせるフェスになっていた。
アウェイ会場を自分たちのカラーに染めたNiziU
トップバッターのNCT WISH、2番手のMAZZELに続いて登場したNiziUは、NiziUバンドを従えたバンド演奏でのパフォーマンスとなった。レーベルの垣根を超えて『a-nation』初参戦となった彼女たちは、デビュー曲「Make you happy」でスタート。
キュートな曲調の「SWEET NONFICTION」、ヒット曲メドレーと続け、「JUMP」では会場が一体となって彼女たちとジャンプ。観客の半分ほどが彼女たちのライブが初めてというアウェイの会場で、しっかりとハートをつかんだ。
ベスト的なセットリストで臨んだNiziUのステージからは、彼女たちの楽曲のよさとパフォーマンスのクオリティの高さを超えたスター性がにじみ出ていた。いくつもの夏フェスに参戦している彼女たちだが、場数を踏みながらフェスの空気を自分たちのカラーに染める力を身につけているようだ。
WEST.はナインティナインとの競演でお祭り騒ぎ
続いて登場したのは、バンド演奏のラウドサウンドに乗って「暑苦しいアイドル、WEST.参上!」とシャウトし、いきなりステージ中を駆け回ったWEST.。彼らの勢いに引き込まれ、会場はアリーナもスタンドもオールスタンディングのライブハウスと化した。
そんな彼らのステージに、お笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史と矢部浩之が飛び入り参加。「ホルモン」を全員で一緒に歌って踊って大騒ぎ。フェスの“お祭り”の側面を最大に引き立てる、WEST.のエンターテイナーらしいステージパフォーマンスが光った。
エイベックスの音楽性を体現した歌姫・倖田來未
後半は、『a-nation』常連のスターたちが続々登場。倖田來未は「キューティーハニー」のオープニングから観客のテンションを最高潮に引き上げる。リズムの効いた「め組のひと」「WON’T BE LONG」、EDM調にアレンジした「BE MY BABY」などで会場をひとつにした。
彼女の歌もキャラクターもビジュアルもすべてが『a-nation』ファンに圧倒的な支持を受けていることを感じるステージだった。エイベックスの音楽性を体現する歌姫のひとりであることを示す堂々たるパフォーマンスだった。
会場を揺さぶったTRFのサプライズ出演
そして、この日いちばんの音楽の爆発力を感じたのが、TRFのステージ。出演アーティストに名前のないサプライズ登場に、会場中に大歓声が沸き起こる。「BOY MEETS GIRL」のイントロとDJ KOOのMCが響くと、スタジアムが一瞬にしてダンスホールと化した。
続く「EZ DO DANCE」でも歓声は止まらず、伝説のグループの生パフォーマンスを目の当たりにしたファンの興奮がビンビンに伝わってくる。3曲目の「survival dAnce 〜no no cry more〜」では、観客の溢れ出る感情はダンスだけでなく合唱にもなり、大きなエネルギーとなってスタジアムを揺らした。
小室哲哉サウンドど真ん中のTRFの楽曲は、エイベックスが一時代を築いた90年代の多くの音楽ファンのツボに刺さるだろう。当時の音楽には、いまも変わらず心を揺さぶる力がある。そんな曲たちに、会場を埋めた出演アーティストそれぞれの幅広い世代のファンがライブで触れて、自然に体を任せる。世代を超えてヒット曲が引き継がれていく場になっていた。
日本を代表する歌姫の健在ぶりを示した圧巻パフォーマンス
そして、圧巻のパフォーマンスで女王の健在ぶりを示した浜崎あゆみは、間違いなくこの日のステージでもっとも輝いていた。
『a-nation』史上最多19回目の出演となる彼女は、A(あゆ)マークが描かれたフラッグを掲げるダンサーがステージの左右を埋めるなか、観客のカウントダウンの大歓声に包まれて登場。
「Boys&Girls」でのスタートから、まばゆいばかりのスターの姿と歌声に圧倒される。「evolution」「BLUE BIRD」などのヒット曲のほか、アップテンポなナンバーとバラードを織り交ぜながら、「WOW WAR TONIGHT」といった変化球も入れて、観客を楽しませた。
浜崎あゆみのステージは、単独ツアーのそれと比べても同等かそれ以上と思わせるほどのステージ演出による、日本最高峰のエンターテインメントショーになっていた。そんなベテランらしい、この日のメインアクトにふさわしいパフォーマンスで、会場はブルーのライトの渦に飲み込まれた。
1時間ほどのステージは、彼女のプライドを感じさせる妥協のない全力のパフォーマンスだった。それが観客の心にしっかり響いていたのは間違いない。自信に満ち溢れる浜崎あゆみの姿からは、日本を代表する歌姫の圧倒的な貫禄が漂っていた。
『a-nation』ならではのフェスの次のステップに期待
4年ぶりに戻ってきた『a-nation 2024』は、出演アーティストのラインナップやそれぞれのパフォーマンスはもちろん、企画性としても充実したフェスになっていた。
とくにサプライズが効果的に観客に刺さり、音楽が人の感情を揺さぶる大きな力と、それによる会場の大きな揺れを目の当たりにした。そんな音楽の爆発力は『a-nation』ならではのものかもしれない。
かつては全国公演を行っていた『a-nation』。今回の成功が、次のステップにつながっていくことが期待される。
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