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”2位” 川崎フロンターレに欠けているバルサ的こだわり

杉山茂樹スポーツライター
ルヴァンカップ決勝でまさかの敗戦を喫した川崎フロンターレ(写真:田村翔/アフロスポーツ)

 ルヴァンカップ決勝。前評判の高かった川崎フロンターレが、セレッソ大阪に0−2で敗れた。開始50数秒に失点。終了間際に追加点を奪われるという、番狂わせを許す典型的なパターンで、だ。川崎の鬼木達監督は、メンバー交代がうまくできなかったこと、崩しに多くの人を割き、ゴール前に力を注げなかったことを悔やんだ。こちらの視点とは若干違っていた。

 川崎といえばパスサッカーであり、繋ぐサッカーだ。台風22号が接近する中で行われた柏戦(10月29日)は、そのチームカラーを象徴するような一戦だった。

 試合中止が妥当な判断だと言いたくなるほど、ひどいピッチコンディションの中で、川崎は前半、パスを繋ぎに行った。前線で構える3人の外国人に、ロングボールを蹴り込む、超シンプルな戦い方をした柏と比較することで、その特色は浮かび上がった。柏に2点先取され、さすがにこれではマズいと思ったのだろう。後半は、柏と同じようにピッチコンディションに適合したサッカーに転じたが、引き分けに持ち込むのが精一杯。首位を行く鹿島を楽にさせる結果を招いた。

 ルヴァンカップ決勝でも、繋ぐサッカーを全開にして戦った。開始早々、一瞬の隙を突かれ、先制点を許すと、C大阪が引き気味に構えたことも手伝い、その後はボールを一方的に支配した。

 問題は、後半なかば過ぎからのサッカーにある。後ろを固められ、次第にパスで中に入り込めなくなると、川崎はそれに伴い、放り込みを始めた。チームカラーを放棄するサッカーをしだしたのだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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