騙しのテクニック満載の不快なデマゴーグ政治
フーテン老人世直し録(79)
皐月某日
15日に行われた集団的自衛権を巡る安倍総理の記者会見はフーテンに、「この国には侍がいなくなった。いるのは騙しのテクニックで国民を愚弄する政治リーダーだけだ」と思わせた。これほど不快な気持ちにさせられた会見も滅多にない。
国民を騙すテクニックの第一は「集団的自衛権の行使承認ありきの人選」と見られていた安保法制懇の報告書を全面採用せず、一部を却下してみせた事である。そのことで「安倍政権は国民の生命と財産を守るが、決して武力行使を優先するものではない」ことを国民に印象付けようとした。
報告書から却下されたのは、「国連決議に基づいて多国籍軍が武力行使する集団安全保障への参加」である。ベトナム戦争もイラク戦争も、アメリカは嘘情報に基づいて戦争に踏み切り、惨めな失敗に終わったが、国連決議に基づく戦争はそれとは異なり国際社会が一致して認めたという意味で大義ある戦争である。
安倍総理はその大義ある戦争への協力を「武力行使の戦争」と印象付け、嘘にまみれたアメリカの戦争を「国民の生命と財産を守る戦争」であるかのように装った。湾岸戦争とイラク戦争をアメリカ議会の議論を通して見てきたフーテンには驚きのレトリックである。世界の常識とも反する。
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