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“めざせパラリンピック!”日本パラリンピック委員会が選手発掘事業スタート。

矢萩邦彦アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

2020年の東京開催を視野に、日本パラリンピック委員会は、パラリンピックに興味のある10歳から25歳の肢体不自由児・者及び視覚障害児・者を対象に“めざせパラリンピック!可能性にチャレンジ2014”と題した選手発掘事業を始め、8月に東京・神戸でイベントが開催されます。この企画について、日本パラリンピック委員会の木下隆幸さんにお話しを伺いました。

◆まずはスポーツに触れるきっかけを作って欲しい

木下さんは、「これを切っ掛けにスポーツを始めて、パラを目指して頂ければ」とプロジェクトに期待を寄せます。すでに「今までスポーツなどしたことがなかったが、自分には何が出来るでしょうか」という問い合わせも来ていて手応えを感じているといいます。そのような問い合わせに対して木下さんは、障害の種類や程度、年齢などを聞いた上で地域の全国の障害優先のスポーツセンターなどを紹介しています。

全国のスポーツセンターには、スポーツ相談事業があり、見学なども受け付けています。「実際にスポーツをやっている光景を目の当たりにすることで、気づきや具体的なモチベーションに繋がる」と、木下さん。

◆障がい者スポーツの活動費問題

選手のご家族からよく聞かれるのが「遠征費がかかるためなかなか大会に出られない」「家族が応援に行くことも負担、応援団なんてとんでもない」という意見です。競技によって差もありますが、選手として活動するための年間自己負担は平均で140万円を超えるといいます。日本パラリンピアンズ協会のアスリートや関係者300人に向けた聞き取り調査でも64%が「費用」が競技を継続するうえでもっとも大きな問題だと考えているという結果が出ています。

木下さんは、「経済面については今のところ直接支援が出来るわけではありませんが、門戸を広げることで、今まで環境があるのに参加できていなかった選手候補にアプローチできれば」と期待します。

今年ソチパラリンピックを訪れた森喜朗会長は「日本としてはパラリンピックを五輪と同じような扱いとしてやっていきます」と伝え、今までパラリンピアン用には作られていなかった国立のナショナルトレーニングセンターを準備する方針を表明しましたが、具体的な支援にはまだ時間がかかりそうです。

◆まずは知ることから

“めざせパラリンピック!可能性にチャレンジ2014”のイベントが平成26年8月23日(土)に東京都障害者総合スポーツセンターで、8月30日(土)にオージースポーツ神戸福祉スポーツセンターで行われます。まずは知ることで可能性を探ってみることで、開ける未来があるかも知れません。

実際パラスポーツを取材していて感じるのは、選手も応援する家族もとても生き生きしているということです。もちろん大変なこともありますが、プールで泳ぎ切った息子さんをみて「あんな楽しそうに笑っているのを初めて見たんです。本当に水泳に出会えて良かった」と、涙ながらに話してくれるお母さんもいました。パラリンピックを目指すかどうかは置いておいて、そういう笑顔の可能性を探すことはとてもポジティヴで建設的な気がします。

今回のイベントでは、パラリンピック競技の紹介や体験、パラリンピックアスリートらによるデモンストレーション、JPC強化委員会・医科学情報サポートスタッフによる各種相談等のプログラムが予定されています。申込期限は平成26年7月25日(必着)とのこと、詳細は公益財団法人 日本障がい者スポーツ協会のホームページにアクセスして下さい。一人でも多くの方に、新たな希望や目標ができ、また純粋に楽しみを見つける機会が出来ればと期待します。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE)

アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

1995年より教育・アート・ジャーナリズムの現場でパラレルキャリア×プレイングマネージャとしてのキャリアを積み、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究するアルスコンビネーター。2万人を超える直接指導経験を活かし「受験×探究」をコンセプトにした学習塾『知窓学舎』を運営。主宰する『教養の未来研究所』では企業や学校と連携し、これからの時代を豊かに生きるための「リベラルアーツ」と「日常と非日常の再編集」をテーマに、住まい・学校職場環境・サードプレイス・旅のトータルデザインに取り組んでいる。近著『正解のない教室』(朝日新聞出版)◆ご依頼はこちらまで:yahagi@aftermode.com

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