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シャトルでGO! 選手とのふれあいも? 静岡新球団くふうハヤテの本拠地・ちゅ~るスタの”歩き方”

菊田康彦フリーランスライター
くふうハヤテの開幕戦では、開場前から300人あまりのファンが列をつくった

 静岡を拠点として今シーズンからプロ野球(NPB)の二軍、ウエスタン・リーグに参入した新球団、くふうハヤテベンチャーズ静岡。開幕からなかなか勝てない日々が続いたものの、3月22日の阪神タイガース戦(鳴尾浜)で7試合目にして歴史的な公式戦初勝利を挙げ、今日26日からはホームグラウンドのちゅ~るスタジアム清水(略称ちゅ~るスタ)に戻って中日ドラゴンズと3連戦を行なう。

 さて、このちゅ~るスタ。開幕前の拙稿(「今日からホーム3連戦。静岡の新球団、くふうハヤテの本拠地・ちゅ~るスタに車ナシで行ってみた」)に記したとおり、車がなくても行けるのだがちょっと不便というのが率直な印象だった。ところが3月15日のウエスタン・リーグ開幕からは、最寄りのJR清水駅と球場を往復するシャトルバスが運行されるようになった。

開幕戦から清水駅と球場間の無料シャトルバスが運行

球場へのシャトルバス乗場は清水駅東口(みなと口)を出てすぐ左手にある
球場へのシャトルバス乗場は清水駅東口(みなと口)を出てすぐ左手にある

 そこで筆者もオリックス・バファローズとの開幕カードで、このシャトルバスを利用してみた。まず、先の記事で紹介した路線バスと比べても、乗り場が非常に分かりやすい。1つしかない清水駅の改札口を出るところまでは同じだが、そこから路線バスの乗り場とは反対に右へ進んで東口(みなと口)を目指す。サッカーJ2リーグ、清水エスパルスの大きなエンブレムを目の前に階段もしくはエスカレーターを下りると、左手にすぐ「HAYATE シャトルバス乗場」の看板が見える。

 清水駅とちゅ~るスタを結ぶこのシャトルバスの運行は地元の観光会社の協力により実現したもので、料金は無料。バスは大型ではなく20人乗りのマイクロバスで、池田省吾球団社長は「大きいバスを借りると(席が)埋まるまでお待たせすることになる。それはお客さんにとって良くないので、なるべくマイクロバスの台数を多めにして運行する方向です」と話す。

 シャトルバスは試合開始の3時間前、もしくは2時間半前から随時の運行で、週末と祝日を基本に、平日も状況によって運行していくという。3月17日の開幕3戦目は日曜日ということもあってか朝9時30分発の始発便はほぼ満員の乗客で埋まり、球場に到着するまでの所要時間はおよそ15分と非常に快適だった。運行開始時刻などのスケジュールは試合日によっても変わるので、利用する場合は球団公式ホームページ(リンク)で確認してほしい。

球場内のショップには「ここでしか買えない」くふうハヤテグッズが

球場内のショップに並ぶくふうハヤテグッズは、現在はここでしか手に入らない
球場内のショップに並ぶくふうハヤテグッズは、現在はここでしか手に入らない

 くふうハヤテの試合のチケットは、一部のエリアを除く自由席が大人1500円、小中学生1000円(未就学児は無料)。これに1000円の追加S席券を購入すると、バックネット裏中央の“特等席”で試合を見ることができる。チケットはインターネット(チケットぴあ)やコンビニエンスストア(セブン-イレブン)で事前に入手することも可能だが、「追加S席券」は球場でしか扱っていないため、S席で観戦するには試合当日に入場券売場でこの券を追加で購入する必要がある。

 チケットはプレーボールの1時間半前から販売され、開場も同じく1時間半前から。開幕3連戦では球場入口近くの入場券売場、そして入場口となる一塁側ゲートA前に朝早くから並ぶ熱心なファンも数多く見られた。

 一塁側ゲートAから球場内に入るとコンコースの左手にグッズショップがあり、ここも試合前は多くのファンで賑わう。「HAYATE」のロゴが入った応援用のVメガホン(1500円)、選手名入りのマフラータオル(3000円)、ホーム&ビジターのキャップに練習用のキャップ(各6000円、子供用は5000円)、レプリカユニフォーム(1万5000円)に選手が着用するものと同じオーセンティックユニフォーム(4万円)、選手名鑑(1000円)といったグッズは、今のところここでしか買うことができない。

 グッズの中でも人気だったのがキャップで、グレーを基調としたビジター用は3連戦の最終日には一時的に完売となっていた。マフラータオルやユニフォームはNPBの一軍でも活躍した福田秀平(前千葉ロッテマリーンズ)、田中健二朗(前横浜DeNAベイスターズ)、倉本寿彦(元DeNA)らを中心に一部の選手のみの扱いだったのだが、担当者によると今後、扱う選手を増やしていく予定だという。

球場内でご当地グルメ「静岡おでん」を堪能

静岡市のご当地グルメといえば「静岡おでん」。盛り合わせ5種で700円
静岡市のご当地グルメといえば「静岡おでん」。盛り合わせ5種で700円

 野球観戦の楽しみといえば、その1つに球場内での飲食、特にご当地グルメがある。この球場では一塁側ゲートB付近に地元・静岡市のおでん店が出店しており、静岡おでんの盛り合わせや、おでん出汁を使ったおにぎりなどが楽しめる。静岡県東部で生まれ育った筆者もこの2つを併せて購入し、プレーボール前のランチとしていただいた。

 静岡は県内に新幹線の駅が6つもあるように東西に広く、古くは東から伊豆国、駿河国、遠江国という3つの国に分かれていたこともあって、それぞれの地域で文化が異なる。黒はんぺんや串に刺さった牛すじの入った静岡おでんには、筆者が子供の頃から慣れ親しんだおでんとは違った旨さがあった。

 この開幕3連戦では他にキッチンカーも多数出店していて、駿河湾名物を使った桜海老丼、釜揚げしらす丼、さらに富士宮焼きそばや三島コロッケなどの県内グルメにも、大いに食欲をそそられた。

開幕3連戦では試合後に選手による”お見送り”も

3月15日からの開幕3連戦では連日、試合後に選手による”お見送り”が行われた
3月15日からの開幕3連戦では連日、試合後に選手による”お見送り”が行われた

 くふうハヤテは開幕からここまで、公式戦8試合を戦って1勝6敗1分け。ホームのちゅ~るスタではまだ勝てていない。ただし、開幕3連戦を終えて赤堀元之監督が「素晴らしい応援をしてもらえましたし、本当に良かったと思います。そういう声援を選手も本当に意気に感じていると思うので、まだまだ応援に対して応えられてない部分はありますけども、これからもっともっと声援に応えられるようにやっていきたいと思います」と話していたように、球場に駆けつけるファンの応援は熱い。

 そうした後押しに対する感謝の一環として、開幕3連戦では試合終了後にゲートで一部の選手による”お見送り”が行われ、ファンからのサインや写真撮影などの求めにも快く応じていた。プロである以上、勝利こそが何よりのプレセントであることは間違いないが、応援するチームが試合に敗れても、このような選手とのふれあいを良い思い出に家路に就いたファンも多かったはずだ。この”お見送り”は、今後も状況を見ながら予定していくという。

 なお今日、3月26日からの中日との3連戦は、12時30分試合開始の26、27日はシャトルバスの運行が午前10時から(清水駅発)で、球場での当日券の販売および開場は11時から。12時プレーボールの28日はシャトルバスの運行が9時30分からで、当日券販売と開場は10時30分からの予定になっている。

 昨年11月の球団トライアウトでゼロの状態から選手集めを始めてまだ5カ月弱のくふうハヤテは、これからもそう簡単には勝てないかもしれない。それでもこの記念すべき初年度の奮闘を、1人でも多くの野球ファンに球場で目に焼き付けてほしい──。それが静岡県で生まれ育った野球好きとしての願いである。

(文中の価格はすべて税込み、写真はすべて筆者撮影)

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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