今季の打率は.349! 元DeNA倉本寿彦の野球への情熱は変わらず。NPB復帰へ「諦めず前を向く」
「挑戦」をキーコンセプトに掲げて今年からプロ野球(NPB)の二軍、ウエスタン・リーグに参加した新球団、くふうハヤテベンチャーズ静岡。1年目のシーズンはリーグ優勝の福岡ソフトバンクホークスから43ゲーム差の最下位という結果に終わったものの、チーム打率リーグワーストの打線にあって、ひと際高いアベレージを残した選手がいる。2022年まで横浜DeNAベイスターズで8年間プレーした倉本寿彦(33歳)だ。
「マイナスっていうよりはプラスに物事を捉えるようになれた」
「こういう(くふうハヤテの)新規参入の機会に携われて、それは本当に感謝してますし、なかなかない経験をさせていただいて僕自身はすごいよかったなと思ってます。(シーズンが)スタートしてケガもあったりとか、うまくいかないこともあったんですけど、その都度1つずつ乗り越えて、最後まで戦えたんでよかったかなと思います」
古巣の社会人・日本新薬を経て新生・くふうハヤテの一員となった今シーズンを、倉本はそう振り返る。序盤は一時、リーグの打率トップに立つなど出足は悪くなかったが、故障のために4月下旬から離脱。それでも7月に入って戦列に復帰すると、そこからの41試合で打率.356をマークした。シーズンを通しては65試合の出場で175打数61安打、25打点、打率.349、出塁率.383。規定打席には遠く及ばないとはいえ、打率、出塁率はいずれもチームトップの数字である。
「(試合に)出た時はいい結果が出たんで、僕自身もビックリはしてますけど。まあホントにいい結果で終われたのは良かったと思いますし、これを自信にしてまた今後、頑張りたいなとは思ってます。僕自身もここ(くふうハヤテ)に入って成長できていることもありますし、一歩踏み出せるようになったというか、マイナスっていうよりはプラスに物事を捉えるようになれたっていうのも、1年間通してすごい勉強になったかなと思ってます」
「前向きにさせてもらえたんで、ファンの方には感謝」
8月には21日の阪神タイガース戦(ちゅ~るスタジアム清水、略称ちゅ~るスタ)で試合を引き分けに持ち込む代打同点二塁打、24日の広島東洋カープ戦(ちゅ~るスタ)では途中出場で土壇場の9回裏2死二塁から同点タイムリーを放つなど、勝負強さも発揮した。その倉本に今シーズン、最も記憶に残っているシーンを尋ねると、返ってきたのは「感謝」の言葉だった。
「初めて勝った試合(3月22日の阪神戦)もそうですし、初めてヒットを打った試合(3月15日のオリックス・バファローズとの開幕戦)もそうですし。最後(9月29日の阪神とのシーズン最終戦)も多くのお客さんに来てもらえて声援をいただいたんで、僕自身すごくスタンドから声をかけてもらって背中を押されたというか、そういうふうに感じてるんで。打席に入る時の『打てよ!』って声だったりで何とか打てるようにと前向きにさせてもらえたんで、ファンの方にはホントに感謝してます」
野球に対する情熱は「変わることはないかなと思います」
くふうハヤテへの入団時に「僕自身ももう1回新たな挑戦をしたいなっていう気持ちでいるところにこういう挑戦の場ができたので、迷いもなくすぐやりたいと思って決意させてもらいました」と話していた倉本は、一貫して一軍を持つ既存のNPB球団との契約を見据えてきた。シーズン中の契約はならなかったものの、今月24日のドラフト会議を経て各球団の戦力外などが出そろえば、来季の戦力として声がかかる可能性もある。
「(NPB球団に)戻るってことはね、そこは(シーズン中には)つかめなかったんですけど、まだまだ可能性がある限りは諦めずにしっかりやるべきことをやっていきたいと思ってます。そのためにこっちに来てるんで、諦めずに前を向いて、僕個人はそこを目指して頑張りたいなと思います」
来年の1月には34歳になる。それでも野球に対する情熱は「最初から最後まで変わらずプレーできましたし、そこは変わることはないかなと思います」という。長いシーズンの戦いを終えたのもつかの間、10月7日からは秋季教育リーグの「第21回みやざきフェニックス・リーグ」に帯同。NPB球団への復帰という目標に向け、倉本の「挑戦」は続く。
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