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性嗜好障害に詳しいカウンセラーが【再犯(痴漢や盗撮や下着泥棒などの性犯罪)する人の特徴】を解説。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

私のカウンセリングルームには、痴漢や盗撮や下着泥棒などの犯罪を起こし、「警察に捕まってしまった」とおっしゃる性嗜好障害のクライアントが、幾人も通われています。多くは、再犯の人です。「初めて捕まった」とおっしゃる人が、私のカウンセリングルームに来ることは少ない…というのが実情です。

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何故なら、多くの性嗜好障害の方は、自分が警察に捕まったあと、深く反省し、親兄弟や配偶者からきつく叱られ、「もう2度としまい…」と誓い、それでやめられると、本気で、安易に、考えてしまうからです。

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そう言った理由から、初めて捕まった人が、カウンセリングルームに来ることは少ないです。再び性犯罪を起こし、「俺は、おかしい。ひょっとしたら自分の力だけで治すのは無理なのかも?」 そう思って初めて、カウンセリングを利用するようになるようです。

性嗜好障害は、一種の心の病ですから、本人の反省や周囲のお説教などで簡単に治るものではありません。その事実は、再犯率の高さからも窺えます。
詳しくは、「性犯罪加害者の家族(親)やパートナー(妻・奥さん・恋人)が出来ること。」および「性犯罪と性暴力。加害者の味方? 加害者を援助? 性依存症の治し方について。」をご覧ください。

多くの性犯罪加害者は、警察に捕まったあと、慌てふためいて、弁護士のところに行ったり、私のカウンセリングルームに来たりするのですが…、警察の取り調べが終わり、検察官や裁判長から刑を言い渡され、罰金を支払い終わると…、心底ホッとし、通っていたカウンセリングルームに行くのをやめ、やがてまた性犯罪に手を染めるようになります。

違うんです。
本当にカウンセリングルームに通ったほうがいい時期というのは、犯罪をして警察に捕まった直後ではなく、刑を言い渡され、罰金などを支払ったり、執行猶予期間が過ぎ去ったあと、検察官やら裁判所や家裁などから解放されたあと…、なのです。ちなみに、警察の取り調べ中、もしくは検察官からの呼び出し待ち中のときに再犯する人は、さすがに少ないです。←これは、考えてみれば当たり前ですよね。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」の諺で言えば、まだ熱さは喉元にあるわけですから、やらないのは当たり前です。
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ときおり、刑が確定し、罰金を支払い終えてから、私のカウンセリングルームに本格的に通い始める人がいらっしゃいますが、そういう人は大変に珍しく、会うと私も感動します。

性嗜好障害者にとっては、罪を償ったあと、「やれやれ、やっと終わったか」という安堵の気持ち、安心感が、危ないのです。性嗜好障害者の持つ、「痴漢や盗撮をしたい」という衝動は、そんな心のすきまを狙ってくるのです。

私が、「継続的に、定期的に通ってください。年単位で通ってください」とお願いするのは、そういう訳です。「気が向いた時に行こう」とか「暇が出来たら、また行こう」とかいう態度では、良くなるものも良くなりません。

私は、私のカウンセリングルームをたまたま発見し、せっかく通うようになったクライアントが、自分の勝手な判断で通うのをやめ、そののち、「また警察のお世話になりました」という報告を聞く度に、非常に残念な気持ちになります。

私は、女性のスカートの中身、下着を見たいという欲求を満たしたいがために、たくさんのお金と時間と労力、および、職(仕事)と家族(配偶者や子ども)を失った人を幾人も見てきました。新聞に載り、引越しを余儀なくされた方も大勢知っています。本当に馬鹿らしいくだらないことです。

よって、繰り返しになりますが、性嗜好障害の方は、しっかりカウンセリングルームに通ってください。私は、「毎週来なさい」なんて無茶なことは言いません。あなたのお金と時間の労力の許す限りでいいので、根気よく、末永く通っていただければと思います。

性嗜好障害には、完治はありません。
あるのは寛解(やらない状態を維持し続けること)だけなのです。

昨年も大勢のクライアントが私のカウンセリングルームを訪ねてきました。そして、多くのクライアントは、途中から、来なくなりました。理由はさまざまです。「カウンセリング料がもったいない」「仕事が忙しい」「来月の予定がちょっとよくわからない」「もう治った」等々。

私は、そんなクライアントを、カウンセリングに通うよう、説得したり、強引に引き止めたりすることはありません。もう性犯罪をしないよう祈るだけです。
私の祈りが通じれば、加害者が増えなくなり、その結果、性犯罪の被害者も減り、私としては、万々歳です。

再犯する人の特徴

1.自分の一人の力で、どうにかしようとしている人。
  専門家の力を借りようとしない人。

2.自己判断で「治った」「もう2度と、絶対にやらない自信がある」等と言う人。

3.専門家のところへ通うのを、自己判断で勝手にやめた人。

再犯する可能性が限りなく少ない人の特徴

1.自分の危うさから目を背けない人。

2.被害者の痛みに共感することが出来る人。

3.専門家と良き関係を、長きに渡って続けられる人。

上記の2について解説します。
多くのクライアントは、「もうあんな思いはしたくない」「もうあんな面倒くさい目に遭いたくない」「留置場なんて、もうまっぴらだ」「もう2度と、親兄弟や配偶者を悲しませるようなことはしたくない」なんてことを言います。

けれど、上記の理由で「もう、やらない」等というのは、非常に危ういです。何故かと言うと、上記の理由では、「警察にさえ捕まらなかったら、絶対にバレさえしなければ、いいだろう」という考えに陥りやすいからです。

私は言います。「警察に捕まらなければいいってもんじゃないですよ。いつかは絶対に警察に捕まりますよ。犯行がバレていないと思うのはあなただけで、盗撮されている女性でも、盗撮されていることに気付いても、恐怖のあまり身動きできず、気付かない振りをし続ける人だって、たくさんいるのですよ」と…。

私は、私のところに通っているクライアントが、「これ以上、女性を傷つけたくない。これ以上、女性に、怖い思いや不愉快な思いをさせたくない」という言葉を口にするようになったら、いよいよ寛解は近いなと思います。でも、上記のセリフを言うクライアントは、限りなく少ない…というのが実情です。

「性嗜好障害の人の多くは、被害者の気持ちを思いやることが出来ないのかな?」「共感能力に欠けているのかな?」と、私は思う次第です。

いつになく熱く語ってしまいました。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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