Yahoo!ニュース

中間管理職に向かない人3つの特徴

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて著者作成)

「Aさんを課長にしたが、失敗だった」

今年の4月に任命したA課長がうまく組織をまとめられないと、ある物流会社の社長が嘆いていた。

「わが社の問題は、管理職に適した人財がいないことだ」

これは多くの経営者が抱く悩みだ。

日本企業における中間管理職は、組織において不可欠なリーダーである。組織目標を達成させるうえで重大な責任を担っている。

ただ、年功序列の日本企業においては、適性がないのに中間管理職になっている人も多く見かける。

だからこそ、経営陣は頭を抱えるのだ。

「社歴で判断できないのなら、どうすればいいのか?」

と――。

そこで今回は中間管理職に向かない人3つの特徴を解説する。新たな中間管理職を任命する人はもちろんのこと、次世代の方々も、中間管理職候補にはどんなスキルが必要か正しく理解できるだろう。

ぜひ最後まで読んでいただきたい。

■そもそも中間管理職とは何をする人?

そもそも中間管理職とは、何なのか?

管理職は組織内でリーダーシップを発揮し、目標を達成するためのリソースを効果効率的に配分する役割を果たすポジションだ。

だから中間管理職が意識すべきポイントは以下の3つ。

(1)組織の目標を達成させること

(2)そのためのリソースを効果効率的に配分すること

(3)そのためのリーダーシップを発揮すること

(1)(2)(3)の順番で、機能しなければならない。

目標達成に焦点を合わせてもいないのに、リソース配分をしてはならないし、効果的にリソース配分ができないのにリーダーシップを発揮してはならないのだ。

このことに気づいていない、もしくは忘れてしまった管理職が多いのも事実だ。私は何度も現場で見てきた。

■「情報管理」は仕事ではない

おそらく組織が小さなころは、中間管理職の方々は本来の仕事を果たすことができたであろう。

しかし組織が大きくなると、いつの間にか、それができなくなる。

組織の規模に伴って、階層が深くなるからだ。本部長がいて、部長がいて、課長がいる。経営陣の下に、3階層も中間管理職がいると、上からの情報を下へ伝達すること、下からの情報を吸い上げて上に伝達することが管理職の仕事だと思うようになる。

つまり、いつの間にか中間管理職の仕事が「目標管理」から「情報管理」に変わってしまう。

(1)組織の目標を達成させること

(2)そのためのリソースを効果効率的に配分すること

この2つが抜け落ちるのである。

とくに(2)のリソースの効果効率的な配分ができない方は、管理職に向かない。では、どんな特徴があるのか? 3つ紹介しよう。

■①MECE的な発想ができない

まず中間管理職に向いていない人は「MECE」がわかっていない。

MECE(ミーシー)とは、問題をきちんと整理するための概念・考え方だ。「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で、これは「相互に排他的で、全体として網羅的」という意味である。

つまり、MECEで考えるときは、すべての情報を重なりなく(ダブりなく)、かつ忘れ物なく(抜け漏れなく)ピックアップする。

たとえば、部下が新しいプロジェクトに取り組もうとしている場合、その計画に抜け漏れがないか、全体を俯瞰してチェックできなければならない。

リソースを効果効率的に配分するためには、必須のスキルである。

■②ロジックツリー的な発想ができない

MECEはリソースを効果効率的に配分できているかをチェックするときに必要なスキル。ロジックツリーは、みずからが目標達成させるために必要なリソースを見つけるために活用できる道具だ。

中間管理職に向いていない人は、この「ロジックツリー」をうまく使いこなせない。

ロジックツリーを使えば、大きな問題を小さく分けて考えることができる。

まるで大きな木が根っこから枝分かれしていくように、大問題を小さな部分に「分岐」させていくことで、問題をクリアに理解できるようになる。

野球で例えるなら、チームが勝つための戦略を考えるとき「打撃」「守備」「ピッチング」などの部分に分けてみる。

次に「打撃」をさらに「ホームラン」「安打」「バント」などに細分化する。これをロジックツリーで描くと、一つの大きな目標から多くの小さな行動や要因が枝のように分かれていくのが見える。

このようなツリー構造のイメージを使えば、どの部分を改善すればチームの成績が上がるのかを明確にできるだろう。

■③マトリクス的な発想ができない

最後の特徴は、マトリクス的な発想ができないことだ。マトリクス的な発想は、複数の要因や要素を同時に考慮し、組み合わせて最適な解決策を見つけるスキルだ。

物事を大ざっぱに分類するときに、とても役立つ。

・SWOT分析

・アンゾフの成長マトリクス

・PPM分析

など、マトリクス的な発想を使ったフレームワークは数えきれないほどある。

『7つの習慣』で有名になった「重要-緊急マトリクス」などは、日常的に使えるフレームワークだ。

縦軸と横軸に何を配置するか。自らそれを選び、状況に応じてマトリクス図を作ることができる。

このようなマトリクス的な発想があれば頭が整理できるし、複雑な状況に対処する能力も制限されないのだ。

■まとめ

中間管理職は組織内で重要なポジションであり、目標達成に向けてリーダーシップを発揮する役割を果たす。

しかし、これら3つの発想が不得意な人は、管理職のポジションに向かない可能性が高い。中間管理職を任命する人は、これらのスキルがあるかどうかを日ごろからチェックしていこう。

(任命する経営陣に、これらのスキルが十分に備わっていることが条件だが)

<参考記事>

■【初公開】部下の強み・弱みが一発でわかる!驚きの成長を実現させる2つのポイント

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

横山塾~「絶対達成」の思考と戦略レポ~

税込330円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

横山信弘の最近の記事