思わず贈りたくなる夏の和菓子「満天」彩雲堂さんの上品でさらりとした甘さのこし餡は冷やして本領発揮
今年、2024年の梅雨入りは例年よりかなり遅いという報道を耳にしました。もうしばらく爽やかな初夏の青空を満喫できる喜びと、ただ先延ばしになっただけかという気持ちといったりきたり。
ともすれば、子供たちが楽しみにしているであろう七夕にも雨雲の影響がでてしまのではないかとはらはら。都心では天の川を眺めることはなかなかかないませんが、やはり雨模様の七夕というのは寂しいもの。けれども、それがもし甘いお菓子になったのなら…。
先日創業150年を迎えた島根県松江市に本店を構える「彩雲堂」さん。優れた技能を持つ職人さんへ与えられる称号を獲得なさった和菓子職人さんを多く輩出、また、現在も在籍なさっているという名実共に知れ渡るお店です。
今回は、七夕だけではなく時期的にお中元にもぴったりな棹菓子「満天」をご紹介。
言葉を呑んでしまうとはこのことでしょうか。手の平よりちょっぴり大き目のサイズではありますが、その大きさを遥かに上回るような壮大な景観が広がっているではありませんか。
錦玉羹(寒天を流した和菓子)は数あれど、不規則に揺蕩う雲が演出する瑠璃色の濃淡は見た目以上の奥行を感じさせてくれます。吸い込まれそうな夜空の下段は小豆羹。
冷蔵庫で冷やせば、ぶるんという弾力を帯びた二つの層が口の中でかろやかに踊り、その歯ごたえもまた心地よい刺激に。とはいえ、寒天の部分は上品な甘さかつ最後には天草の海藻の風味も漂う程あっさりとした味わい。また、小豆羹もお日保ちのする和菓子にありがちなしたたかなお砂糖の甘さはなく、さらりとしていてこし餡の味わいも存分に楽しむことができます。
華美な見た目とは裏腹に、じんわり汗ばむような夏の夜にしっかり冷やしていただきたくなるような逸品ですね。
尚、こちらは通常のサイズと半棹サイズ(今回は半棹サイズ)のご用意がございますので、用途に合わせてお選びいただけます。
松江の和菓子文化の祖、そしてその発展に大きく携わったとされる松江藩七代目藩主・松平出羽守治郷(まつだいらでわのかみはるさと)。茶の湯を深く愛し、後に松平不昧公(まつだいらふまいこう)と称された風流人もまた、当時の夜空を見上げては群青の空にかかる天の川を眺めたのでしょうか。
彼が存命していた約260年後の世界には、その天の川を美味しく頂ける日が来るということを知ったら、どんな顔をなさるのでしょうね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<彩雲堂・本店>
公式サイト(外部リンク)
島根県松江市天神町124
0852-21-2727
9時~18時
不定休