日本最低気温-41.2度を記録した「日本極寒の地」幌加内町は、どんなところ? 鉄道廃止から30年
1995年9月3日限りでJR深名線が廃止となり、まもなく30年を迎える。深名線は函館本線の深川駅と宗谷本線の名寄駅を幌加内・朱鞠内経由で結ぶ121.8kmの長大路線で、沿線の幌加内町は日本一の蕎麦の産地であるほか、町内の母子里地区では1978年2月に日本最低気温とされる摂氏-41.2度を記録した日本極寒の地である。幌加内町は深名線が廃止された1995年には人口が2500人余りであったが、鉄道の廃止から30年近くが経過し、現在の町の人口は1200人余りと半減してしまった。
JR深名線の廃止後、鉄道代替路線としてジェイ・アール北海道バスが運行されているが、幌加内町では町内利用者と町外からの来訪者を対象として2022年から特定日に路線バス「無料DAY」を実施している。筆者は2024年11月3日に、この取り組みを利用して幌加内町を訪問したことは、記事(路線バスが無料で乗り放題! JR北海道、旧深名線「深川ー名寄間」廃止代替バス 特典で温泉割引き券も)と(路線バス無料デーで訪れた「日本極寒の地」北海道・朱鞠内 鉄道廃止から約30年、人は減りお店も消えた)でも詳しく触れているが、2024年度の「無料DAY」は、11月23日(土祝)、1月13日(月祝)、2月11日(火祝)、2月23日(日祝)のあと4回実施される。なお、運賃が無料となるのは幌加内町内のバス停を利用する場合のみで、例えば深川市内の深川―多度志間や、名寄市内の名寄―天塩弥生間のみでバスを利用してしまうと、降車の際に運賃が請求されるため注意が必要だ。
ところで、そもそも幌加内町の「ホロカナイ」とはいったいどのような意味なのであろうか。北海道内の地名はアイヌ語に由来するものが多いが、幌加内もアイヌ語の「ホロカ・ナイ(逆戻りする・川)」に由来する。幌加内町の市街地は、石狩平野北端部の深川市の北部に開けた小さな盆地に形成されているが、この盆地の南部を流れる幌加内川が、北部を流れる本流の雨竜川に対して逆方向に流れていることが「ホロカ・ナイ」の由来だという。なお、JR深名線があった時代に運行上の拠点駅であった朱鞠内駅が置かれていた「シュマリナイ」は、アイヌ語の「シュマリ・ナイ(狐のいる・川)」に、日本最低気温を記録した母子里地区の「モシリ」は、「モシリ・ウン・ナイ(島の・ある・川)」に由来している。いずれも近くを流れている川が地名の由来となっているようだ。
JR深名線の鉄道代替バスは、廃止直後は旧幌加内駅前を拠点に深川方面と名寄方面を結び、旧幌加内駅舎がバス待合所として使用されていた。しかし、2000年に火災により焼失してしまい、現在は駅跡地に石碑が残されるのみとなっている。現在の路線バスは、旧幌加内駅から少し離れた国道275号線沿いの幌加内交流プラザを拠点に運行されている。この交流プラザには、バス待合所のほか幌加内町商工会と幌加内観光協会が入居しており、さらに地元産の蕎麦が食べられる蕎麦屋さんも営業している。施設の2階にはJR深名線資料展示室もある。
(了)