【平昌オリンピック】男子アイスホッケーは明日からメダルを争う戦いが始まる!
「ピョンチャン(平昌)オリンピック」のアイスホッケーは、オリンピック初勝利を手にしたスマイルジャパン(女子日本代表)の話題が連日報じられています。
その一方で、日本のメディアでは、あまり報じられていない男子のアイスホッケーは、明日からプレーオフラウンドがスタート。
”メダルを争う戦い”に先駆けて、注目チームのこれまでの戦いを振り返ります。
▼OAR:得点記録を塗り替えたコバルチャク
国家主導の組織的なドーピングにより、国名の「ロシア」ではなく「OAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)」の名前で参加しているものの、屈指のタレントとサイズの大きな選手が揃うことから、金メダルの筆頭候補と紹介しました。
そのOARは初戦こそスロバキアに競り負けてしまったものの、続くスロベニアとの試合に 8-2 のスコアで快勝。
さらに、アメリカ戦は完封勝利(4-0)と力の差を見せつけ、グループBの1位で準々決勝進出を決めました。
1次リーグの3試合を終えた時点での総得点「14」。得失点差「プラス9」は全チームの中でトップの成績ですが、その原動力となっているのは、イリヤ・コバルチャク(FW・34歳/スカ サンクトペテルブルグ)
チームメイトの キリル・カプリゾフ(FW・20歳/チェスカ モスクワ)と並んで、得点ランキングトップ(4ゴール)に立っています。
これでコバルチャクは、オリンピックでの通算得点を「13」に伸ばし、長野オリンピックで銀メダルを手にした パベル・ブレ(元ニューヨーク レンジャーズFW・46歳)を抜いて、ロシアになってからオリンピックに出場した選手の得点王となりました。
また、旧ソビエト時代も含めた記録(アナトリー・ファーソフ/元チェスカ モスクワFW・故人)にも、あと「7ゴール」と迫っているだけに、今大会中の記録更新の可能性も!
もし、コバルチャクが記録を更新するほどのゴールを量産すれば、OARの金メダル獲得の可能性は一気に高まるでしょう。
▼フィンランド:ナッシュビルからのラブコール
コバルチャクを上回り、1次リーグで最も多いポイント(ゴールとアシストの合計)をマークしたのが、エリ・トルバネン(FW・18歳/ヨケリト ヘルシンキ)
初めてプレーするオリンピックのステージにも臆することなく、3試合で3ゴール3アシスト。そのうちゲームウイニングゴール(決勝点)が2点と勝負強さが光っています。
もっとも、このような活躍にもいきなり今季のKHLの開幕戦で3得点を記録して、”ハットトリック デビュー”を飾った選手だけに、フィンランドのファンは驚いてはいないかも !?
対して、昨季のNHLドラフトで1巡目指名したナッシュビル プレデターズのファンからは、トルバネンの大活躍に、「一日でも早くナッシュビルの一員になって!」とのラブコールが、ソーシャルメディアなどを通じて送られているそうです。
▼スウェーデン:17歳のディフェンスマンは秘密兵器のまま!?
12か国の中で、ただ一つ1次リーグでポイント(勝点)を落とさずに(オーバータイム以降の勝利は、レギュレーションタイムのポイントより1つ少ない2ポイント)無傷の3連勝を飾ったのが、スウェーデン。
フィンランド戦で1失点したものの、ノルウェー戦とドイツ戦では完封勝利と、ディフェンス力が際立っています。
しかし、その陰で苦い思いをしているのが、ラスムス・ダリン(DF・17歳/フロルンダ)
卓越したスピードとスキルを有する逸材と評価され、今年のNHLドラフトの全体1位指名筆頭候補との呼び声が高い選手ですが、それもそのはず、筆者の当サイトでも紹介した、こちらのプレー ↓ を見れば納得!
ところが、これまでの3試合でダリンが出場したのは、わずかに1試合(ドイツ戦)のみ。
しかも、アイスタイム(出場時間)は4分36秒だけ(試合時間は60分。最も多く出場したDFのアイスタイムは21分38秒)に終わりました。
現地メディアの報道では、華麗な個人技も裏を返せば相手にパックを奪われるリスクが大きいとあって、出場機会が限られている模様。
プレーオフラウンドに入ると、強敵との試合が続くだけに、出場機会はさらに限られてしまう可能性が・・・。
「12年ぶりの金メダルを狙うスウェーデンの秘密兵器は17歳のディフェンスマン」とのタイトルで、1月に筆者の当サイトで紹介しましたが、ダリンはベールを脱ぐことなく、秘密兵器のままで終わってしまうのでしょうか?
▼韓国:白星を手にできるか
メダル争いに絡むのは難しそうながら、気になるのは地元・韓国の戦い。
自国でのオリンピック開催への経緯については、13日に配信した記事に掲載しましたが、1次リーグは3連敗に終わりました。
ジム・ペクヘッドコーチ(50歳・前AHLグランドラピッツ アシスタントコーチ)は、戦前からオリンピックでの戦いについて問われると、「パワープレー」(相手チームのペナルティによって氷上のプレーヤーの数が多くなる状況)と、「ペナルティキリング」(自チームがペナルティをしてプレーヤーの数が少なくなる状況)での攻防を、「勝敗のキーポイント」だと、ことあるごとに話していました。
しかし、ここまでの数字を見ると、ペナルティキリングこそ12チーム中、7位(80.0%)と、まずまずの成績ながら、パワープレーに至っては、3試合で11回ものチャンスがありながら無得点。
20年前の「長野オリンピック」で、日本は最後の試合でオーストリアを下して白星を手にしましたが、韓国は今大会で白星を手にできるでしょうか?
明日のフィンランド戦に敗れてしまうと、最後の試合となってしまうだけに、韓国の奮起が期待されます。