【平昌オリンピック】OAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)が金メダルを手にする3つの理由
「ピョンチャン(平昌)オリンピック」の開会式が、今夜行われます。
既にスキージャンプやリュージュ、さらにカーリングなど、一部の競技で熱戦の幕が切って落とされましたが、明日にはメダリストも誕生するなど、今夜の開会式を皮切りに、各競技会場で熱い戦いが繰り広げられていきます。
▼男子アイスホッケーは14日に開幕
冬季オリンピックでは、全ての競技の中で最後の金メダルを懸けて決勝戦が行われ、最も注目される花形競技に位置づけられてきたのが、「男子アイスホッケー」
ピョンチャンでは14日に男子アイスホッケーが開幕しますが、1998年の長野オリンピックから5大会続けて出場していたNHLの現役選手たちが出場できなくなり、魅力は半減・・・。
北米に目を転じると、NHLのレギュラーシーズンが終盤へ向かうにつれて、トレードによる戦力補強なども盛んになり注目度が高まって来るだけに、開幕が間近に迫ってきても、ホッケーファンの視線は韓国へ向いていない様子です。
▼ドーピング違反によってロシアではなく「OAR」
このように花形競技から一転して、男子アイスホッケーの注目度は大きくダウンしてしまっていますが、その中でも注目を集めているチームがあります。
それは、「オリンピック・アスリート・フロム・ロシア」
国家主導の組織的なドーピングにより、ピョンチャンには「OAR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)」の名前で参加しますが、有力選手が揃い屈指の実力を誇るチームであるのは明らかです。
そんな「OARがピョンチャンで金メダルを勝ち取る!」 と言える3つの理由を紹介しましょう!
▼<1>ダツック&コバルチャク
まず何より注目されるのは、ともにスカ サンクトペテルブルグでプレーしているパベル・ダツック(FW・39歳)と、イリヤ・コバルチャク(FW・34歳)の存在。
NHLでプレーをしていた際には、個人タイトルを手にした実績を誇る両選手は、祖国のロシアに戻ってからも、その力を如何なく発揮。(ダツックはケガで欠場した試合もありましたが)レギュラーシーズンから通じて、昨季のKHL優勝の大きな原動力となった二人です。
特にOARのキャプテンを務めるダツックは、司令塔としてプレーメイクに長けているのに加え、デトロイト レッドウィングス在籍時には、最も守備力の高いFWに与えられるセルキトロフィーを受賞。
それだけに、際立った得点力を誇るコバルチャクが、攻撃に軸足を置いてプレーすることができるのも見逃せません。
テストマッチでは「最強コンビ」と呼んでも過言ではない二人に、サンクトペテルブルグのチームメイトで卓越したスキルを有する ニキタ・グゼフ(FW・25歳)や、 通算最多ポイント記録保持者で「ミスターKHL」と呼ばれる セルゲイ・モジヤキン(FW・36歳/メタルーグ マグニトゴルスク)らを組ませて「最強ライン」の構築を模索する試合も。
OARを率いる オレグ・ザナロク(55歳)は、サンクトペテルブルグのヘッドコーチも務めているとあって、KHLの主力選手のプレーを知り尽くしているのも強みだと言えるでしょう。
▼<2>大きさ&若さ
OARの武器となりそうなのが、選手のサイズと平均年齢。
出場する12か国の今日時点での登録選手を比較すると、OARの選手の平均身長は「185.8センチ」で、12か国の中で最も大きい一方、平均年齢は「27.16歳」で、こちらは12か国の中で最も若いチームとなります。
NHLをはじめ、北米プロリーグの試合が行われている「北米サイズ」と呼ばれるリンクよりも、ピョンチャンオリンピックの試合会場となる「国際サイズ」のリンクの方が、チームベンチサイドのボードと、オフィシャルベンチサイドのボード(横長のアイスリンクの片方の長辺から反対側の長辺までの距離)が約4メートルほど長くなっています。
そのためオリンピックでは、北米のプロリーグよりも体の大きな選手や、若手選手のスピードあるプレーが生きてくるため、OARにとってアドバンテージになるはずです。
▼<3>再び逆境をバネに!
ロシアのメディアやファンの間では、国家主導の組織的なドーピングに端を発した騒動を受けてオリンピックに出場するOARを、26年前の「アルベールビルオリンピック」の時と重ねる声が聞かれるとのこと。
当時を振り返ると、オリンピック開幕まで1か月あまりに迫った1991年12月末に、当時のソビエト連邦が崩壊。
急きょロシア、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンなどのアスリートたちが集まり、「EUN」の名の合同チーム(Unified Team)を結成して出場。
満足な準備や調整もできない中での出場にもかかわらず、準決勝でアメリカに快勝(5-2)し、決勝ではカナダを3-1のスコアで下して金メダルを勝ち取りました!
経緯こそ異なるものの”国技”と言えるアイスホッケーで、26年ぶりの栄冠を期待するロシアのファンの心境も、うなづけるところ。
祖国のユニフォームを着れずに出場するOARは、再び逆境をバネにして金メダルを狙います。