サイ・ヤング賞投手と契約を交わし、借金8からワイルドカードを狙う!?
7月25日、テキサス・レンジャーズは、ダラス・カイクルとマイナーリーグ契約を交わした。
カイクルは、メジャーリーグ11年目の34歳だ。2015年にア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞している。また、2020年は短縮シーズンながら、63.1イニングを投げて防御率1.99を記録し、ア・リーグのサイ・ヤング賞投票で5位に位置した。
ただ、昨シーズンは、ア・リーグ・ワーストの防御率5.28。今シーズンは、ここまで2チームで投げ、計50.2イニングで防御率8.53だ。5月30日にシカゴ・ホワイトソックスから解雇され、8日後にマイナーリーグ契約でアリゾナ・ダイヤモンドバックスに入団したものの、こちらも7月22日に解雇となった。
ダイヤモンドバックスに迎え入れられるまでの経緯については、「もうすぐ解雇されるサイ・ヤング賞投手は、新天地を見つけることができるのか」と「解雇されたサイ・ヤング賞投手は、受賞当時のコーチがいる球団で復活をめざすが…」で書いた。ダイヤモンドバックスでは、4登板の18.2イニングで防御率9.64だ。
レンジャーズとしても、カイクルに大きな期待を寄せているわけではないだろう。
7月24日の時点で、レンジャーズは43勝51敗。借金8を抱え、ワイルドカード・レース3位のシアトル・マリナーズには、7ゲーム差をつけられている(マリナーズとレンジャーズは、ア・リーグ西地区の2位と3位でもある)。白旗を掲げるのはまだ早いとはいえ、夏のトレードで積極的に補強を行うような位置にはいない。
カイクルが復活し、チームの浮上につながればいいし、そうならなくても、レンジャーズのリスクは皆無に近いということだ。年俸は安く、トレードによる補強と違い、獲得の見返りに選手を手放す必要もない。
レンジャーズのローテーションは、マーティン・ペレスとジョン・グレイに続く3番手以降が弱い。2人の防御率は2.59と3.48だが、彼らを除くと、最も防御率の低いデイン・ダニングでも4.42だ。他に、防御率5.00未満の先発投手はいない。カイクルからすると、レンジャーズなら、メジャーリーグで投げるチャンスはありそうだ。