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もうすぐ解雇されるサイ・ヤング賞投手は、新天地を見つけることができるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダラス・カイクル(シカゴ・ホワイトソックス)May 26, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月28日、シカゴ・ホワイトソックスは、ダラス・カイクルを40人ロースターから外した。7日間のウェーバー公示が終わり次第、あるいはそれよりも早く、カイクルは解雇されるだろう。投手と野手の違いはあるが、基本的には、昨シーズンのアルバート・プーホルス(現セントルイス・カーディナルス)や、今シーズンのジャスティン・アップトン(現シアトル・マリナーズ)とロビンソン・カノー(現サンディエゴ・パドレス)らと同じ流れだ。

 カイクルは、3年5550万ドルの契約3年目。年齢は34歳だ。今シーズンの防御率7.88(32.0イニング)は、30イニング以上の133人中、2番目に高い。昨シーズンの防御率5.28(162.0イニング)も、160イニング以上の39人のなかで2番目に高かった。前半戦の防御率4.25に対し、後半戦の防御率は6.82。不調が始まったのは今シーズンからではなく、昨夏から続いているということだ。

 ただ、2014~15年は、2シーズン続けて200イニング以上&防御率2点台を記録し、2015年はサイ・ヤング賞に選ばれた。また、短縮シーズンとはいえ、2020年は63.1イニングを投げて防御率1.99。サイ・ヤング賞の投票では、5位に位置した。

 もともと、カイクルは、球威で勝負する投手ではない。シンカーを主体とし、ゴロを打たせる投球を持ち味とする。今シーズンのゴロ率は、スタットキャストとファングラフスのどちらにおいても、例年より低いものの、それでも50%を上回る。与四球率が5.63と急上昇しているのは懸念材料だが、復活の可能性はあるように思える。

 ウェーバー公示中に獲得の名乗りを上げ、ホワイトソックスに代わって契約の残り分を支払う球団はないだろうが、解雇後であれば、話は違ってくる。球団は、最低年俸の70万ドルでカイクルを手に入れることができる。シーズンの約4分の1が終わっているので、実際の支払額は50万ドル強だ。

 先発投手の需要は、常に絶えない。カイクルを迎え入れる球団はあるはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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