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最優秀監督のファイナリスト3人にリーグ最多勝&WS優勝のロバーツ監督が入っていないのはなぜ!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
デーブ・ロバーツ監督(ロサンゼルス・ドジャース)Nov 1,2024(写真:REX/アフロ)

 11月11日、MVP、サイ・ヤング賞、新人王、最優秀監督のファイナリストが発表された。ファイナリストは、すでに終わっている投票で得たポイントの上位3人だ。受賞者は、すでに決まっている。

 ナ・リーグ最優秀監督のファイナリストは、ニューヨーク・メッツのカルロス・メンドーザ監督、サンディエゴ・パドレスのマイク・シールト監督、ミルウォーキー・ブルワーズのパット・マーフィー監督だ。ワールドシリーズ優勝を飾ったロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、4位以下ということになる。

 ポストシーズンは、選考には影響しない。投票は、ポストシーズンが始まる前に締め切られる。投票権を持つ各記者が、1位と2位と3位の監督を挙げる。1位が5ポイント、2位が3ポイント、3位は1ポイントだ。合計ポイントの最も多い監督が選出となるので、1位票が最多でも受賞しないことはあり得る。

 ただ、2024年のドジャースは、ポストシーズンの前に、リーグ最多の98勝を挙げた。ファイナリストの監督3人が采配を振ったチームもポストシーズンに進んだが、ブルワーズとパドレスは93勝、メッツは89勝だ。パドレスとメッツは、地区優勝を逃し、ワイルドカードを手にした。

 ロバーツ監督だけでなく、ドジャースに次ぐ95勝を挙げたフィラデルフィア・フィリーズのロブ・トムソン監督も、ファイナリストには入っていない。ア・リーグ最多の94勝を挙げたニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ブーン監督も、この2人と同様だ。

 選手が揃っているチームを率いて、白星を積み上げても、最優秀監督には選ばれにくい。2024年のドジャースは、怪我人が少なくなかった。それでも、乗り切ることができたのは、選手層の厚さがあったからだろう。夏のトレードでジャック・フレアティ(現FA)やマイケル・コペックらを獲得した、フロントの手腕も見逃せない。

 また、監督歴の長さも、最優秀監督の選考に際しては、いくらかマイナスに働くような気がする。例えば、新人監督とベテラン監督を比べた場合だ。

 ロバーツ監督は、2016年からドジャースで采配を振っている。他のチームで監督を務めたことはない。2024年のナ・リーグには、さらに長いキャリアの監督もいたが、そのチームの監督歴に限ると、ロバーツ監督が最長となる。アトランタ・ブレーブスのブライアン・スニッカー監督は、ロバーツ監督と同じく2016年が1年目だが、スタートのタイミングは少し遅い。ブレーブス傘下のAAAの監督として開幕を迎え、5月中旬にブレーブスの暫定監督となった。

 ロバーツ監督が最優秀監督に選ばれたのは、就任1年目の2016年だけだ。その後、最優秀監督の投票で得たポイントの順位(2017~23年)は、2位、6位、4位、5位、5位、2位、5位と変遷してきた。ポイントが皆無の年はない。

 ちなみに、2016年にドジャースが挙げた91勝は、ナ・リーグ西地区の最多ながら、ア・リーグ東地区と中地区のトップより少なかった。また、1チーム60試合に短縮された2020年を除くと、2016年の白星は、ロバーツ監督が指揮を執った8シーズンのなかで最も少ない。

 もちろん、最優秀監督の受賞とワールドシリーズ優勝を比べた場合、どちらの価値が上なのかは、言うまでもない。

 なお、各賞のファイナリストについては、こちらで書いた。

「ポストシーズンに進みながら、どの賞のファイナリストもいないチームも。最多はヤンキースの4人」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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