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欧州サッカーは変わるのか。守備的&身体能力重視型の台頭とイタリア、スペインが示したキラリと光る存在感

杉山茂樹スポーツライター
ユーロ2020を制したイタリア代表が首都ローマを凱旋する(写真:ロイター/アフロ)

 イタリアが延長PK戦の末にイングランドを下し、優勝を飾ったユーロ2020。イングランドのガレス・サウスゲート監督は、準決勝のデンマーク戦までの6試合、4バック(4-2-3-1と4-3-3)と3バック(3-4-3)を使い分けてきた。厳密に言えば、3バックを使用したのは、決勝トーナメント1回戦のドイツ戦のみだが、強豪国イタリアとの決勝戦には、使用率が低かった3バックでの臨むのではないかと、注目されていた。

 そして決勝戦。サウスゲート監督は大方の予想通り、イタリア相手に、ドイツ戦の3-4-3よりさらに5バックになりやすい、守備的な3-4-2-1的な3バックで臨んだ。

 その昔、布陣の話を原稿に記すと、サッカーは布陣でするものではないとか、試合が始まれば、布陣は重要な要素ではなくなるとか、意見されることが多かったが、その数は以降、年々減少。最近ではほとんど耳に入らなくなっている。布陣が監督のこだわりを反映した重要な戦法であることを否定する人は減少した。要はバランスの問題だが、サッカーを語る時、布陣は欠かせない要素になっている。

 サウスゲート監督はなぜ、3バック(3-4-2-1)で臨んだのか。それは、1-0リードの状況から、同点に追いつかれた後に4-2-3-1、さらには4-3-3としたことと深い関係がある。

 リードしている間は3バック。同点にされると4バック。しかも、最後は同じ4バックの中でもより攻撃的とされる4-3-3で戦ったーーという布陣選択の流れから、3バックは4バックに比べて守備的だと同監督が認識していたことが分かる。3バックでスタートした2試合の相手はドイツとイタリア。相手が強いと3バックを採用する傾向からも、3バックは守備的で、4バックは攻撃的という、サウスゲート監督の布陣に対する認識のほどをうかがい知ることができる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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