【速報】2050年までの生涯未婚率推計発表「男3割、女2割」超えのその先
2050年の推計値
社人研の2024年推計「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」が4/12に発表され、2050年までの各種推計値が公開されている。この中には、年齢別配偶関係人口推計があり、ここから2050年までの男女生涯未婚率が計算できる。
取り急ぎ、速報値として2050年までの生涯未婚率推計を発表したい。
生涯未婚率とは、50歳時の未婚率のことで、45-49歳の未婚率と50-54歳の未婚率を平均したもので示される。直近の2020年国勢調査(不詳補完値)における生涯未婚率は、男28.3%、女17.8%であった。
2050年までの推計をグラフ化したものが以下である。
興味深いことに、生涯未婚率は男女ともに2040年で最高値となったのち、その後2050年まではゆるやかに下降している。
生涯未婚率推計
男 2040年30.4%→2050年28.4%
女 2040年22.2%→2050年20.1%
下がる理由は?
なぜ、2040年から2050年にかけて生涯未婚率が下がるのか、不思議に思うかもしれない。基本的に、社人研による計算式によるので、各年推計のコーホート未婚率の推移などで検証した記事を後日あげる予定とするが、多分に願望が含まれているものと推測する。少なくとも2025年以降、各5歳階級の未婚率が一定で、あがらないどころか若干下がる設定にされているからである。
各年齢帯の未婚率が下がるとする合理的な理由は私には今のところ見出せない。
というのも、2050年時点で50歳ということは、2000年生まれで、2024年時点で24歳である。あと数年でいわゆる「初婚ボリュームゾーン」である25-34歳のアラサーに達する世代である。メディアなどで「晩婚化」などと言われるものだから、多くが勘違いしているが、初婚の中央値は男女とも20代後半である。つまり、初婚する未婚男女の半数は20代のうちに結婚している。
2050年の生涯未婚率が下降するということは、今24歳の若者たちが数年以内に初婚をしていくということになるが、果たしてそんなことが現実として起きるだろうか。
2025年まで婚姻数は増えない
初婚数(再婚も含む総婚姻数ではない)は、2021年前年比▲9%、2022年も▲4%、2023年の確定値はまだ出ていないが、速報値から推測すれば▲5-6%程度だろう。要するに、この3年間マイナス続きなのである(3年に限らずもっと長期にマイナス続きだが)。
それも当然で、この3年間はコロナ禍であった。
仮に結婚しようと思っていた若いカップルもこの時期の婚姻を控えた場合も多いだろう。加えて、この3年間は、何度も繰り返しお伝えしているが、コロナ禍における若者への「恋愛ロックダウン」により、貴重な若い時分での出会いのきっかけが奪われている。その影響は、2025年までの婚姻数の減少となって表出する。なぜならば、「出会って結婚するまでの期間」は大体3年だからだ。
つまり、2021-2023年の婚姻数はすでに実績としてマイナス、2024年以降も「出会いがなければ結婚どころか恋愛もない」という状態になり、2025年までは間違いなく婚姻数が上向くことはないだろう。
加えて、一部大企業だけは「賃上げ」のニュースが話題になる一方で、実質賃金は相変わらずマイナス続き。子育て支援金などの導入などにより社会保険料が値上がりすることは必定。東京23区などでタワマンを購入できるような一部の裕福なカップルは別にして、いわゆる人口ボリューム層である中間層の若者は、結婚どころではない。
さらに、若者の「選択的非婚」や「選択的無子」割合も増えている。
少なくとも2025年までは「若者の婚姻数が増える」といえるようなポジティブな理由はどこにもないのである。
2050年の未婚化のはじまり
2040年に、生涯未婚率は男3割、女2割を突破するのは間違いないだろう。しかし、その後、減少基調に転じるとは、現状からはとても思えない。むしろ、今の20代の若者を今前向きな気持ちにさせる動きがないかぎり、2050年の生涯未婚率はさらに上昇する恐れすらある。
「結婚したい・子どもがほしい」と前向きな未来を描いていた20代未婚男女も、30代までに結婚に至らない「不本意未婚」のままで居続けると、40歳を過ぎて「もう結婚はしなくていいや」という認知的不協和からの「選択的非婚」になる。
2050年の生涯未婚率を決定づけるのは、実は「まさに今」なのである。
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