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夫婦1000組に聞いた「自分たちの結婚を一言で表すと?」自由記述回答からわかる結婚の姿

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(写真:アフロ)

自分たちの結婚を一言で

11月22日は「いい夫婦の日」である。

この日を選んで結婚式をしたり、婚姻届を出すカップルも多いだろう。新婚だけではなく、長年連れ添った夫婦にとっても改めて結婚生活を振り返るきっかけの日でもあると思う。

そんな夫婦の日にちなんで、実際に結婚した夫婦が「自分たちの結婚を一言で言い表すとしたら?」どんな言葉になるだろうか、を調査してみた。

全国20-50代の夫婦約1000組に対して調査した結果を、ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析ツールを使用して、夫婦別にビジュアル化した。出現頻度の多いものが大きく表示されている。

なお、選択式ではなく完全自由記述回答で、夫婦それぞれ別に、もっとも言い表していると思う言葉ひとつだけに限って書いていただいている。

夫の方が「忍耐」がもっとも大きく、次いで「幸」「我慢」と続く。一方、妻は、「幸」がもっとも大きく、次いで「忍耐」「我慢」と続く。

「幸」はともかく、結婚というものはこれほど「忍耐」と「我慢」が必要なのだろうか。

年代別の言葉出現率

これだけだと抽象的すぎるので、同じような意味合いの言葉をまとめて、上位の4割程度を占める言葉を抽出し、年代別に構成比をグラフ化したものが以下である。

「幸・幸福」という言葉は、夫より妻の方が多く、夫婦とも20-30代の若い方が多くなっている。一方で、「忍耐」は妻より夫の方が多く、特に40-50代で最大化している。若い時にいくら「幸福」な結婚でも、中年以降になると「忍耐」と「我慢」の比重が高くなるようである。

言葉別幸福度の違い

では、書く言葉別に、夫婦それぞれの幸福度に違いはあるのだろうか。

それを夫婦別に比較したものが以下である。幸福度は夫より妻の方が絶対値が高いので、それぞれの平均差分という形で出している。

「忍耐」や「我慢」の幸福度が低くなるのは夫婦共通で、それは当然だなと納得するのだが、「妥協」という言葉では、夫の幸福度がもっとも低くなっている。「結婚とは妥協である」とはよく言われる言葉だが、「妥協した夫」または「妥協を余儀なくされた夫」はとても不幸なようだ。お小遣いの話だろうか。

また、平均差分が、どちらも幸福かつ夫>妻となっている言葉としては、「共同」「協力」「信頼」などがある。共働きなのか、家事育児のことなのかはわからないが、夫は「共同」や「協力」できていると思える結婚が幸福なようだ。

逆に、平均差分が、どちらも幸福かつ夫<妻となっている言葉は「安心・安定」のみである。これは多分に経済的安定を指すのであろう。

夫婦で幸福度が逆転する言葉

興味深いのは、幸福度が男女で逆転している言葉である。

まず「許」と書いた夫の幸福度は圧倒的に高いが、妻は逆に不幸度がかなり高い。結婚生活におけるいろいろな事柄や妻を「許す」ような寛容な夫が幸福度が高いのか、それとも互いに「許し合う」夫婦だからなのかは不明だが、そこそこの数の夫婦がこの言葉を書いているのが興味深い。

とはいえ、「許」と書いた妻の不幸度が高いのはなぜだろう。もしかしたら、妻の不幸度が高いのは「許せない」何かを夫がしたからではないか。

提供:イメージマート

続いて、「努力」も夫は幸福で、妻は不幸である。努力して結婚生活を運営していくことが夫にとっては幸福なことだが、妻にとって努力が必要な結婚生活は不幸なのだ。

最後に「子ども」も逆転している。そう書いた妻は幸福で夫はわずかながら不幸である。結婚して子ができると妻は子にかかりきりになり、育児が生きがいとなる場合もあるので幸福度もあがるのだろうが、夫はそういう状況で疎外感を感じてしまうのかもしれない。

いずれにせよ、それぞれの夫婦がなぜこの言葉を「自分たちの結婚を表す言葉」として書いたかの理由までわからないので、あくまで勝手な推測にとどまる。

ご夫婦であれば、それぞれ自分の思う「結婚を表す言葉」を書いて、見せ合うのもよいかもしれない。見せ合った結果、万が一もめたとしても当方は関知しないが。

おもしろい回答

本件質問は自由記述回答なので、他にも実に多種多様な回答があった。全部は紹介できないが、以下にピックアップして紹介しておく。

結婚とは牢獄である 46歳妻

→いったいどんな結婚生活なのだろうか?この人の幸福度も50点である。子どもが独り立ちするまでは別れられないという事情でもあるのかもしれない。早く牢獄から出られるといいと思う。

結婚とは宇宙である 28歳妻

→文学的表現なのか、哲学的表現なのか、凡人の私にはまったくわからないが、何かを超越している気がする。幸福度は98点なので、その宇宙結婚を続けてほしいと思う。

結婚とは肉である 32歳妻

→ご夫婦とも肉好きなのか、はたまた、夫または自分に「肉がつくのが結婚」という意味なのかわからないが、幸福度70点で妻としては平均より下なので、多分後者の方なんだろう。

結婚とは謎である 32歳夫

→謎といわれてもこっちの方が謎である。幸福度50点。いろいろ悩み多い夫なのだろうが、その謎が解明された方がいいのか、解明されないままの方がいいのかは謎である。

結婚とは銀行である 53歳夫

→幸福度わずか10点の夫。長年家族の単なるATM扱いされてきたのだろうか。ちなみにこの方の妻の幸福度も10点で、「結婚とは後悔」と書いている。妻からすれば、夫が思うほどの銀行にはなっていないのかもしれない。

結婚とは降伏である 50歳夫

→50歳という年齢を見ても、ある種の「悟り」に近いのかもしれない。妻には絶対敵わない、逆らえないと思わせる出来事があったのだろうか。しかし、幸福度80点とある。これは単純に「幸福」と打とうとした変換ミスなのではないか。

いろいろ書いてきたが、夫婦それぞれの事情があるにしろ、平均的には幸福度は夫73点、妻75点なので、全体的にはしあわせな結婚が多いのだろう、と締めておくことにする。

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独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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