「極秘文書」はシリア軍がロシアの侵攻に晒されるウクライナで対外任務にあたっていることを示す
シリア軍部隊がロシアでの対外任務、すなわちウクライナに対するロシア軍の特別軍事作戦(あるいはロシアのウクライナ侵攻)に参加していることを示す「極秘文書」を入手した――英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団が1月18日に発表した。
シリア人権監視団によると、ウクライナ侵攻に参加しているシリア軍の部隊は、第25特殊任務師団(ないしは単に第25師団)。同部隊は、「トラ」の愛称で知られ、シリア国内で高い人気を誇るスハイル・ハサン准将が司令官を務める特殊部隊で、ロシアの支援を受けている。
「極秘文書」は、第25特殊任務師団が、ロシアの支援のもと、シリア政府と和解した元反体制武装集団の司令官や戦闘員、親政権民兵を糾合するかたちで編成された第5軍団司令官に宛てたもの。その内容(全文)は以下の通り。
「極秘文書」の入手先、そして文書そのものの真偽は定かではない。だが、シリア人権監視団は、この文書により、シリア軍の部隊(あるいは「傭兵」)がロシア軍とともにウクライナでの戦闘に参加していること、同部隊の財務状況が外貨や予算不足によって逼迫していること、ロシア軍とシリア軍が合同作戦司令室を設置し、同部隊の指揮にあたっていることが示されていると主張している。
なお、シリア人権監視団は、2022年10月、ウクライナに派遣されていた第25特殊任務師団の兵士5人がヘルソン州北東部のドニプロ川右岸の、ウクライナ軍が反転攻勢で支配地を回復した地域での戦闘で死亡したことを確認したと発表している。
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同監視団によると、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアに派遣されたシリア軍将兵は2,000人あまりに達しているという。
なお、シリアからウクライナへの部隊派遣は、ロシア、シリア政府側に限られず、シリアのアル=カーイダとして知られる国際テロ組織のシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)が主導する反体制派も、トルコ経由でウクライナに戦闘員を派遣し、ウクライナ軍とともに戦闘に参加している。
最近では、ウクライナ国防省情報総局が1月17日にウクライナ東部ドネツィク州にあるバフムート市の最前線でウクライナ軍とともに戦う「コーカサスの兵(アジュナード・カウカーズ)」のアブドゥルハキーム・シーシャーニー(ルストゥム・アズィエフ)司令官らの映像を公開した。