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白手亡豆がたっぷり!豆好きさんも満足な「黒糖外郎」ふんわり黒糖漂うオフィス街の老舗和菓屋さんのおやつ

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

和菓子の世界は季節を先取り。間もなく迎えるであろう、大半の方にとってはちょっぴり憂鬱な梅雨がやってきますね。けれども、梅雨の和菓子は鬱屈な気持ちを晴れやかにしてくれたり、はたまたどんよりとした空模様の下ならではの美しい日本の風景を表現した和菓子が沢山。

硝子のお皿が似合いますね
硝子のお皿が似合いますね

毎年6月30日に一年の邪気や罪をそぎ落とすという夏越の祓にていただく「水無月」という和菓子。京都発祥の和菓子でして、外郎や葛餅に小豆を散らし三角形に切り出したもの。味わいや見た目のバリエーションも時代と共に増えてきました。

東京都中央区京橋に佇む創業明治2年の老舗「桃六」さんでも、5月下旬から徐々に姿を現し始める水無月。今回は「黒糖外郎」をご紹介。

黒糖外郎
黒糖外郎

黒糖の外郎に白手亡豆…と、先ほど触れた外郎とはある意味真逆の配色。カフェラテのような淡い駱駝色にたっぷりと敷き詰められた白手亡豆の蜜煮。小豆よりもかなり大きな豆なので、艶出しの寒天液もやや厚め。

錦玉を厚めに流しているので、白手亡豆が大ぶりでもしっかり固定されています

プルンとした寒天の下に佇む白手亡豆はしゃきしゃきとした歯応えを残しているので食べ応え抜群!お弁当の片隅に添えられた甘い煮豆がお好きな方にはきっとお気に召していただけることかと。あっさりとした余韻が特徴の白手亡豆に加わるのが、とろりと、それでいてもっちりとした滑らかな黒糖外郎。ポイントなのは黒糖が効きすぎていないところ。

豆の粒が立派…!カットされても潰れず形を保っています
豆の粒が立派…!カットされても潰れず形を保っています

白手亡豆の穏やかな甘味やフレッシュな噛み応えを楽しみつつ、外郎特有のお米らしいほっこりとした甘味と旨味がじわじわと口の中に広がり、三段階目に黒糖がふんわりと漂い始めます。初夏の心地よいそよ風のようですね。ほのかな粘り気を伴う弾力は、冷蔵庫で冷やして頂けるとそのひんやり感と共により引き締まり、より一層めりはりのついた食感になります。黒糖らしさ全開のものが欲しい!というとちょっと物足りないかと思いますが、穏やかで少しおめかしをした外郎も穏やかなおやつの時間を運んできてくれるのではないでしょうか。

お餅とはまた違う外郎ならではのもっちり感もまた良き
お餅とはまた違う外郎ならではのもっちり感もまた良き

芸能界御用達…というと格式ばったような言い方になりますが、桃六さんはオフィス街に佇む和のオアシスのようなお店。せわしない毎日の中、日本ならではの美味しい四季の移ろいで働く人たちを癒してくれる存在です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<桃六>
公式instagramアカウント(外部リンク)
東京都中央区京橋2-9-1
03-3561-1746
9時30分~17時
定休日 土曜・日曜・祝日

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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