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重罪犯となったトランプ氏、「オムツはパンパン」で「ポルノ女優よりも激しく陪審員に尻を叩かれた」

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
有罪評決について「法の上に立つ者はいない」とバイデン氏も述べた。(写真:REX/アフロ)

 トランプ氏が、不倫相手のポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏に支払った口止め料を不正に会計処理したとされる事件で有罪評決を受けて重罪犯となったことに対し、アメリカでは様々な声が上がっている。

トランプ氏のオムツはパンパン!

 米国の著名なトークショー・ホスト、ジミー・キンメル氏は「長い7週間を経て、法廷は空だが、トランプのオムツはパンパンだ」と言って有罪評決を受けたトランプ氏を揶揄した。

 トランプ氏については、その政治的未熟さから、2018年にトランプ氏をオムツを着けた赤ん坊に見立てた「トランプ・ベイビー」と呼ばれる巨大バルーンが作られ、それは世界各地を巡回していた。トランプ氏としては、長い裁判期間だったにもかかわらず、自身に有利な進展を見ることができず、オムツがパンパンになったような不快感を覚えていることだろう。

 キンメル氏はまた、トランプ氏の息子エリック・トランプ氏がトランプ氏が有罪評決を受けた後、“X”にした「2024年5月30日は、ドナルド・トランプが2024年の大統領選で勝利した日として記憶されるかもしれない」という投稿に対し、「ニューヨークの陪審員が君のお父さんを、ストーミーがフォーブス誌でトランプ氏の尻を叩いたより激しく尻を叩いた日として記憶されるだろう」と言って皮肉った。ストーミー・ダニエルズ氏は、カリフォルニア州レイク・タホのホテルで、傲慢なトランプ氏に罰を与える遊びとして、雑誌でトランプ氏の尻を叩いたと証言していた。

刑務所行きになるのか?

 トランプ氏は7月11日に量刑を言い渡されるが、量刑について、エキスパートは様々な見方をしている。トランプ氏は、業務記録を改ざんした罪に科される禁錮4年という最高刑を言い渡されるのか、罰金で済むのか、保護観察処分になるのか、はたまた、思いもよらず道路脇のゴミ拾いといったコミュニティー・サービスをすることになるのか。

 元連邦検事でNBCニュースのアナリストであるチャック・ローゼンバーグ氏は「トランプ氏の77歳という年齢と初犯で非暴力的であることを考えると、マーチャン判事がトランプ氏に実刑判決を下す可能性は低い」との見方を示している。

 ブルックリン地区検察局の元検事で弁護士のアーサー・アイダラ氏は「判事が下す刑罰が何であれ、刑務所に収監されない処分になるだろう」と予想している。

 一方、ニューヨークのベテラン刑事弁護士ロン・クビー氏は「マーチャン判事は富と特権と権力を持つ人々が犯したホワイトカラー犯罪に対して厳しい判決を下すことで知られている。マーチャン判事がトランプ氏に禁固刑か懲役刑を言い渡す可能性はかなり高い」との見解を示している。

 もっとも、トランプ氏は31日、控訴する意向を示したが、控訴して敗訴を重ねた場合、最終的には連邦最高裁所に事件の審理を持ち込む可能性がある。また、クビー氏は「トランプ氏が大統領になった場合、在任中は同氏を州刑務所に収監することはできない。同氏が憲法上の義務を果たせなくなる可能性があるからだ」と述べており、トランプ氏が大統領になった場合は、収監されるとしても退任後になると思われる。

大統領選への影響は?

 ところで、トランプ氏は「本当の判決は、11月5日に、人々が下す」と息巻いているが、重罪犯となったことは、大統領選にどのような影響を与える可能性があるのか? これについても、エキスパートの見解は分かれている。バイデン氏と支持率が拮抗していることから、有罪評決によるトランプ氏の支持率の低下は、僅かであったとしても大統領選にインパクトを与えるという見方もあれば、米国の有権者は8年前に起きた口止め料事件よりもインフレや国境問題を重視しているので大統領選への影響はあまりないという見方もある。いずれにしても、バイデン陣営はトランプ氏を重罪犯と呼んで叩くという新たな批判材料を得て、トランプ陣営は“民主党の陰謀”というこれまでしてきた訴えをいっそう声高に訴えることで、共和党支持者の結束を強めるだろう。有罪評決により、両氏の今後の支持率がどのような数字となって表れるのか注目される。

(参考記事)

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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