【NHL】2020年「ワールドカップ」開催を断念! オリンピックに再びNHL選手が出場する伏線か!?
1996年秋に第1回大会が開かれたアイスホッケーの「ワールドカップ」は、現役NHL選手たちが祖国のジャージに袖を通して戦うビッグイベントとして、不定期ながら、これまでに3回開催(第2回大会=2004年秋。第3回大会=2016年秋)されました。
▼オリンピックに出場できないなら
ワールドカップの起源となったのは、1976年に始まった「カナダカップ」です。
2016年9月に筆者の当サイトで紹介しましたが、あらためて経緯を紹介すると、当時のオリンピックはプロ選手の参加が禁じられ、ソビエトを筆頭にヨーロッパの国々によるメダル争いが続いていました。
プロ選手の参加を禁じる国際アイスホッケー連盟の方針に異を唱え、1970年からオリンピックや世界選手権などの国際大会への出場を、ボイコットしていたホッケーカナダ(カナダアイスホッケー協会)が、アメリカ、スウェーデン、フィンランド、チェコスロバキア、そしてソビエト(いずれも当時の国名)といったアイスホッケーの強豪国を招いて、真の世界最強チーム決定戦だと銘打って「カナダカップ」を創設。
プロ選手も参加できるように、NHLのキャンプが始まる9月中旬までに決勝を行うスケジュールを組み、1976年を皮切りとして、1981年、1984年(この年だけフィンランドに代わり西ドイツが参加)、1987年、1991年と、合わせて5回開催。
1981年だけはソビエトに王座を奪われてしまったものの、残る4回は地元のカナダが世界一に輝きました。
▼長野オリンピックが大きな転機に!
この「カナダカップ」を発展解消する形で、NHLが「ワールドカップ」を創設。
さらに、1998年に開催された「長野オリンピック」では、現役NHL選手が出場できるように、史上初めて「オリンピックブレイク(レギュラーシーズン中断期間)」を設けたことから、各国がスター選手を揃え最強チームを結成。
「ドリームチームvsドリームチーム」と呼ぶべき対戦が数多く見られ、世界のホッケーファンを熱狂させました。
そのためNHLは、「ソルトレイク(2002年開催)」、「トリノ(2006年)」、「バンクーバー(2010年)」、そして「ソチ(2014年)」でもオリンピックブレイクを設けてきました。
▼次の転機はワールドカップ再開
ところが、2016年秋にNHLが「ワールドカップ」を12年ぶりに開催したことから、状況は一変。
レギュラーシーズンが佳境に差し掛かる時期に、およそ半月も試合が組まれない上、オリンピックでチームの看板選手が負傷して、戦列を離れてしまうリスクを問題視するオーナーやGMが、異を唱えたのを発端に、昨年の「ピョンチャン(平昌)オリンピック」では、NHLがオリンピックブレイクを設けず、「ドリームチームvsドリームチーム」の試合を観戦することができませんでした。
▼NHLが抱える「2022年問題」!
このままNHLは「オリンピック」ではなく、自らで開催する「ワールドカップ」だけへ注力していくものと思われました。
しかし、その前に立ちはだかったのが「2022年問題」です。
NHLとNHL選手会による現行の労使協定は、「2022年9月15日」をもって失効となります。
しかも、労使双方が失効期限を一年早める権利を保有。
それだけに、労使双方が早期の解決を図っているのは明らかですが、その視線の先にあるのは、2022年の「北京オリンピック」!
▼チャイナシフトは労使双方の思い
NHLは一昨季から、プレーシーズンゲームながら「チャイナゲームス」と銘打って、中国の主要都市で試合を開催。
しかも、4季の間に3回開催された日本での公式戦を上回る試合を中国で開催すると、ゲーリー・ベッドマン コミッショナーは、公言しています。
一方、NHLの各チームも、中国企業をスポンサーにしているチームが増えているため、今後も中国のマーケットを重視していくのは明らかです。
▼北京オリンピックにスター選手が勢揃い!?
このような背景から、NHLは2020年秋の目指していた「第4回・ワールドカップ」の開催時期を、先延ばしにする模様だと、現地のメディアが伝えています。
ワールドカップ開催時期の論議よりも、労使協定の早期解決を目指しているNHLとNHL選手会の姿勢を見ると、2022年にはNHLがオリンピックブレイクを設けて、北京オリンピックにスター選手が勢揃いする期待が高まりそうです。