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ワールドカップはサッカーだけではない! アイスホッケーのワールドカップが12年ぶりに開催<前編>

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
2004年のワールドカップで優勝したカナダ(写真:ロイター/アフロ)

2018年のワールドカップ出場を目指すサッカー日本代表が、今日からアジア最終予選に挑みます。

プレーオフを経ずにロシア行きのチケットをつかめるか !? 注目が集まりますが、海を越えて北米では、もうすぐ始まるワールドカップに注目が集まっています。

それは、アイスホッケーワールドカップです!

▼起源は1976年のカナダカップ

ワールドカップの歴史を振り返ると、1976年9月に大会の前身となった第1回「カナダカップ」が、オタワでの開幕戦を皮切りに開催されました。

そもそもカナダカップが誕生したのは、オリンピックや世界選手権ではプロ選手の参加が禁じられ、ソビエトを筆頭にヨーロッパの国々によるメダル争いが続いていたからです。

プロ選手の参加を禁じる国際アイスホッケー連盟(以下国際連盟)の方針に異を唱え、1970年からオリンピックや世界選手権などの国際大会への出場をボイコットしていたカナダのホッケー協会は、アメリカスウェーデンフィンランドチェコスロバキア、そしてソビエト(いずれも当時の国名)を招き、真の世界最強チーム決定戦として、「カナダカップ」を創設。

プロ選手も参加できるように、NHLのキャンプが始まる9月中旬までに決勝を行うスケジュールを組み、1976年を皮切りとして、1981年、1984年(この年だけフィンランドに代わり西ドイツが参加)、1987年、1991年と、合わせて5回開催。

1981年だけはソビエトに王座を奪われてしまったものの、カナダ協会の目ろみどおり(?)残る4回はカナダがチャンピオンに輝きました。

▼ワールドカップの誕生

カナダカップの成功に意を強くしたのは、カナダ協会だけに限らず、NHLも同じでした。

カナダカップが創設された1976年のNHLは「18チーム」で争われていましたが、その後、新たなチームの加盟によって、最後のカナダカップが開かれた1991年には「22チーム」に。

そんなリーグの拡大を追い風にして、NHLは新たな一歩を踏み出します。カナダカップを発展させる形で、1996年に初めての「ワールドカップ」を開催。

カナダカップに参加していたカナダアメリカスウェーデンフィンランドに、チェコスロバキア

そしてロシアドイツの8ヶ国が、ヨーロッパと北米を舞台に、初代チャンピオンを目指して戦い、アメリカの優勝で幕を閉じました。

▼そして日本へ

ワールドカップを皮切りに、NHLは北米以外のマーケット開拓に本腰を入れ始めましたが、視線の先にあったのは、日本でした !!

1998年の長野オリンピック開催が決まると、1997年に日本で最初の公式戦を実施。さらにオリンピック終了後も含め、NHLは3度(6試合)も日本で開幕シリーズを行いました。

この流れを汲んだ国際連盟はNHLとタッグを組み、長野オリンピックへの現役NHL選手参加を承認。

NHLのオリンピックブレイク(レギュラーシーズン中断期間)を、極力短くするため、カナダ、アメリカ、スウェーデン、フィンランド、チェコ、ロシアという、くしくもカナダカップに参加していた “6強” をシードして、決勝リーグから参戦させる異例のフォーマットを採用し、長野オリンピックの幕開けとなったのです。

「バスケットボールのドリームチームは、アメリカ1ヶ国だけで、ショーのようになってしまい、相手がいない状態でした。

アイスホッケーの場合は、NHLで活躍している選手が自分の国から出てきますから、NHLのプレーオフを見ているようになります」

日本アイスホッケー連盟の会長を務めていた堤義明氏が、このような期待を口にしていたとおり、「ドリームチーム vs ドリームチーム」の試合が相次ぎ、世界中のファンを魅了。

チェコが世界一に輝いて、大盛況のうちに幕を下ろしました。

チェコの守護神 ドミニク・ハシェク (Rights of Jiro Kato)
チェコの守護神 ドミニク・ハシェク (Rights of Jiro Kato)

続きはワールドカップはサッカーだけじゃない。アイスホッケーのワールドカップが12年ぶりに開催!<後編>でご覧ください。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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