木星衛星「エウロパ」で1000トンの酸素が毎日生成!?探査機ジュノーが観測
NASAの木星探査機「ジュノー」の観測データを分析したところ、木星の衛星「エウロパ」で1日に1000トンの酸素が生成されている可能性があると判明しました。
本日は、エウロパの生命存在可能性について解説します。
■木星と4つのガリレオ衛星
木星は地球に比べて、大きさがおよそ11倍、重さがおよそ320倍ある太陽系最大の惑星です。木星は巨大ゆえに隕石を引き寄せやすく、地球を隕石から守ってくれています。地球が生命を育むうえで非常に重要な役割を担っているんです。
そんな木星にはガリレオ衛星と呼ばれる代表的な衛星が4個あります。その中の「エウロパ」の表面は氷の地面に覆われていて、線のような地面の割れ目が見えます。木星からの潮汐力からの影響で、内部は暖かいと考えられているんですね。エウロパは地下に海水が広がっていると予想され、地球外生命体がいる可能性が高いと言われています。
■エウロパの表面で噴き出す水蒸気を観測!?
元々エウロパには内部に海が広がっているんじゃないかという説がありましたが、実は最近までは仮説の域を出ていませんでした。しかし、2013年にハッブル宇宙望遠鏡の観測により、エウロパ表面から水蒸気と思われる物質が噴き出していることを確認したんです。これは非常に重要な発見で、エウロパの内部に海が広がっていることがほぼ決定的になった瞬間でした。
ハッブル宇宙望遠鏡も良くそんな水蒸気を見つけられたなと思う方もいるんじゃないでしょうか。なんとその水蒸気は高度200kmの高さに達し、エウロパの表面に降り注いでいるということです。エベレストの標高が約9kmとすると、200kmの水蒸気って一体どんな眺めなんでしょうね。
■エウロパの生命存在可能性は?
しかし、太陽の届かないエウロパの海の中で、果たして生物は生息できるのでしょうか。生物は太陽からのエネルギーがなければ生きれないと思われがちですが、実は太陽がなくても生きていくことはできるのです。例えば、地球の海底の熱水噴出孔には地熱エネルギーがあふれていて、それを食料とするエビやカニ、チューブワームなどの生物が確認されています。
更にエウロパでは、生命にとって不可欠な炭素や塩も見つかっています。今までは隕石がエウロパに衝突することで炭素が持ち込まれたという説がありましたが、どうやらエウロパの内部に広がっている海からもたらされた可能性が高いとのことです。
そして今回、NASAの木星探査機「ジュノー」の観測データを分析したところ、木星の衛星「エウロパ」で1日に1000トンの酸素が生成されている可能性があると判明しました。地球では植物が光合成することにより酸素が生成されています。一方エウロパでは、宇宙から飛来した荷電粒子が表面の氷にぶつかることで、酸素と水素に分解されているとのことです。
しかし、今回推定された酸素の量は今までの予想を下回る量であったとのことです。ただ、この結果が必ずしもエウロパに生命が存在できないことを示す訳ではなく、今後も観測データの解析を進めていく予定です。
もしかすると、エウロパの海底にもリトルマーメイドのように色んな生き物が生息しているかもしれませんね。もし生物がいるなら、一体どんな形をしているのか、知能はあるのかなど、是非一目見てみたいですね。
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