増え続ける宇宙ゴミ、人類が宇宙へ出られなくなる「ケスラー・シンドローム」とは?
2024年2月18日、日本企業「アストロスケール」は宇宙ゴミ除去の技術実証を目的とした衛星「ADRAS-J」を打ち上げました。近年、宇宙ゴミは増加の一途を辿っており、決して無視できる問題ではなくなってきているのです。
本記事では、宇宙ゴミ問題をはじめ、取り返しのつかない「ケスラー・シンドローム」まで詳しく解説していきます。
■地球を取り巻く宇宙ゴミ「スペースデブリ」
まずは、宇宙ゴミである「スペースデブリ」とは一体どんなものなのでしょうか。1900年代後半より激化してきた宇宙開発において、打ち上げて使用済みとなったロケットや、故障してしまった人工衛星などが大量に発生しています。これらが互いに宇宙でぶつかることによって大量の破片を発生させており、これをスペースデブリと呼んでいます。
アメリカの宇宙戦略群は数十cm以上の大きさのデブリを監視しており、約2万個の物体が浮遊している考えられています。ちなみに、1mmサイズのデブリも含めると、1億個を超えると推定されています。ごみ問題は地球だけでなく、宇宙にも広がっているんですね。
■デブリはライフルの弾丸以上のスピードで超危険?
宇宙にゴミが広がっているのは気持ち悪いが、まぁ地球ではないし良いのでは?と思う方もいるかもしれません。実は、このスペースデブリは非常に危険な物体なのです。地球を回る物体は、地球による引力と回転による遠心力がつりあっています。地球を回っているスピードは、なんと秒速8km。ライフルの弾丸の速度が秒速1kmですので、いかに高速かがわかるかと思います。
もし宇宙でデブリにぶつかってしまったことを考えると、想像しただけで恐怖ですね。過去には国際宇宙ステーションにも衝突したことがあり、その際にはロボットアームに穴が開くなどの損傷が見つかっています。もしこのデブリが気象衛星や通信衛星に衝突してしまったことを考えると、故障は避けられないでしょう。
■増え続けるデブリにより、人類は地球を出られなくなる?
過去にはデブリの危険性がしっかりと把握されていなかったけど、これからはデブリを発生させなければ大丈夫。と考えているそこのあなた。実はこのデブリの数、なんとどんどん増えていってるんです。なぜなら、発生したデブリは更にまた別のデブリと衝突することで、更に多くのデブリを発生し続けているのです。
この状態がこれからも続いた場合、「ケスラー・シンドローム」が現実となってしまいます。ケスラー・シンドロームとは、デブリが地球を覆ってしまった状態とのことです。この状態では人工衛星の運用はおろか、ロケットを宇宙へ打ち上げることもできません。もちろん、人類が宇宙へ飛び立つことはもってのほかです。
恐ろしいスペースデブリ問題。世界が足並みを揃えてデブリの発生を抑えていきたいですね。
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