VS.なりすまし詐欺師との攻防、ここから出て行け!といわれる。本物のYOSHIKIさんに思えて(続)
嘘に嘘を重ねて、墓穴を掘っていく、詐欺師の末路…。
前回は、Instagramで出会ったYOSHIKIさんになりすました人物とのメッセージのやりとりを通じて、詐欺の手口を明らかにしました。
やりとりをしてみると、ファン心理を狙う詐欺の実態がみえてきた!本物のYOSHIKIに思えて…
本当はここで検証を終わらせるつもりでしたが、相手は翌日も、その次の日もLINEで何度もメッセージを送ってきます。
「こんにちは、ファンの皆さん。お元気ですか?」
「お元気ですか」
「こんにちは、親愛なるファン。何が問題なのか連絡がありません」
ついには、疑心暗鬼な目をしたうさぎのスタンプまで送ってきます。
また最初につながったInstagramでも「???」が届けられます。
おそらく、こうした人物にかかわってしまったために、しつこくメッセージが届いて困っている人もいることでしょう。
詐欺師を許すことはできません。
そこで、このYOSHIKIさんになりすました人物をなんとか、電話先に引きずりだして、詐欺の実態を暴けないかと考えました。
電話をかけてみると…「あなたは頭が悪いですか?」
そこで単刀直入に「電話でお話できますか?」とメッセージを送りました。電話でなら、一発でなりすましを暴けるからです。
しかし相手は「セキュリティ上の理由でお互いに電話をかけたり、見たりすることはできません」などと逃げた答えをしてきます。
「電話ができないのであれば、残念ですが、これでやりとりを終わりにしたいと思います」と突き放すと、相手は「信じなければここから出て行ってもいいです」と返してきます。
そこで「(あなたを)信じるために、電話をしましょう」と問いかけました。
すると「ここで私と話す機会があるからですか。」との返事がきます。
こちらも「電話の機能がLINEにあるからです」と答えて、一方的に電話をかけてみました。
「タンタタタタ、タンタ」
しかし、ブチッと着信が1回で切れます。もう一回かけてみましたが、やはり応答はありません。
すぐに「もし君が私を信じなかったら、君はここから出てもいい」とのメッセージがきます。そこで「10秒だけでも、話してください」といって、再び電話をかけますが、やはり1回の着信で切れます。
「私はあなたと電話はできないと言いました。大丈夫ですか?」
しかしこの言葉を無視して、またかけます。やはり出ません。
ついに相手は、怒り出したようで「あなたは頭が悪いですか?」といってきます。
電話には出てくれないようなので、今度はメッセージで相手を追い込むことにしました。
「今、どちらにいますか?日本ですか?」
「私に電話するのをやめてくれる?」
「質問に答えて下さい」
「私はフランスにいます、今は日本にいません」
「先日、紹介してくれたマネージャーも一緒ですか?」
「はい、私の愛するファン。私たちは今フランスにいます」「マネージャーさんがフランスにいるって」
それは嘘です。調べたマネージャーと称する男の位置情報はアフリカのナイジェリアになっています。
相手はアフリカ系の詐欺組織のようですが、中国系の組織が絡んでいることも考えられるので、カマをかけてみました。
「あなたは中国人ですか?」
すると「なんでこんな質問をするんだ?」「あなたはもう私のことを全て知っているはずだ」と驚いたような返事をしてきます。
もしかすると、図星だったのかもしれません。
マネージャーになりすました人物は、ナイジェリアにいるようですが、YOSHIKIさんになりすましてInstagramから、LINEIDに誘導するまでのグループは、中国など、ナイジェリア以外の国との多国籍で組織されている可能性があるからです。
実際に昨年、国際ロマンス詐欺を仕掛けて逮捕された国内犯は、カメルーン人、ナイジェリア人、中国人、日本人などでした。このグループの口座には1億円以上振り込まれていたといいます。このことからもわかるように、国境を越えた形でタッグを組み、多国籍で日本人を狙って詐欺を行うケースがあるからです。
それを疑った理由に、このYOSHIKIさんになりすました人物は「マネージャーは、何といっていたか」をさかんに筆者に聞いてきたことがあります。それで「あなたに会うのに20万円が必要」だったと答えると「OK」という返事をしてきました。
もし同じ組織で、傍にいる人物であれば、そんなことをあえて尋ねてくる必要はありません。緊密に連絡が取れる状況ではないことからも、ネットでつながった多国籍詐欺グループの可能性がみえています。
「あなたは、ただ自分を欺いているだけだ」の名言が詐欺師自身から飛び出す
筆者が「本当のことを教えて下さい」というと、急にYOSHIKIさんになりすました人物は、弱気になります。
「芸能人として私を信じなければ、ストレスを感じたくないです。ここでストレスを感じたくないです」
相変わらず、翻訳がおかしいですが、「ストレス」を連発するので、筆者は厳しくいいました。
「本当のYOSHIKIさんは、逃げません。しっかりとこちらに向き合って話すはずです」「芸能人とは、人に夢や希望をみせるものです。決して、弱音を吐いてはいけません」
すると今度は「私が本物ではないと思うなら、あなたは私を信じなければならない。あなたは、ただ自分を欺いているだけだ」と、よくわからない反論をしてきます。
かなり動揺しているのか、支離滅裂な内容です。
しかし考えてみれば、これは詐欺撃退のための名言ともいえます。
そこで、筆者も「『あなたは、ただ自分を欺いているだけだ』その言葉をそのまま(あなたに)お返しします」となりすました人物にブーメランで返しました。
すると相手は「返信しなければならないファンがたくさんいます」「私は忙しい人だ」と逃げ始めます。
私は逃がしません。
「本当のことをいいましょう」
これには答えませんので、再度「『あなたは、ただ自分を欺いているだけだ』良い言葉ですね。あなたは、どうですか?」
なかなかの名言なのでブーメランで、なりすました詐欺師をやりこめると、ついに、切れ始めます。
「僕じゃないと思ったら出て行けって言ったじゃん。やることがたくさんあるんだ」
急に、人が変わったような流暢な日本語になりました。
「じゃん」これは翻訳ソフトを使って返答してきていないことがわかります。
しかもこれまでと違い、タイムラグはほぼゼロです。こうした詐欺は組織的に行っていることから考えて、日本語に堪能な人物に変わったと見てよいでしょう。
「私を信じないと分かれば、行っていいよ」
「すでに自分でおっしゃっているように、YOSHIKIではないですよね。認めてください」
すると、話をずらし始めます。
「写真や動画をアップしたら、気に入ってもらえたりコメントしたりできるから、元気でいてね」
「逃げない!」と筆者は返します。
すると、ハートマークのスタンプを送り、「YOSHIKIです」さらに、「私はヨシキだと言った」「YOSHIKIです」
もはや「本物だ!」を連呼するしか術がなくなったようです。
「あくまでも、YOSHIKIさんなんですね」
「なかなか日本語、上手ですね。もしかして、過去に日本に住んでいましたか?」
「お金を払うの?払わないの?」と、この期に及んでまだお金を取ろうとするのですから、呆れます。
「電話で話さないような方には、払えませんね」ときっぱりと断ると「出て行く」といいます。
そこで筆者が「どちらへ?」と聞き返すと、いきなり「ここから出て行け!」といいます。
すかさず「本当のYOSHIKIさんはそんな言葉をファンには言いません」と返事をすると、
間髪入れず「出て行ってもいいですよ」と言葉を変えます。
「ほんと、日本語上手ですね。すぐに、言葉をかえられるんだから」
最後まで、本物のYOSHIKIさんであるとの主張をしてきました。
ここから見えてくるのは、組織性です。
後半の人物は明らかに人が変わっていましたので、いざという時にトラブル対応する上層部の人間でしょう。
それにしても、これだけの臨機応変な言葉で返せるということは、もしかすると日本語に堪能な外国人ではなく、日本人自身が関与している状況も考えられます。振り込め詐欺の電話も、日本人が海外の国からかけてくる状況がいまだに考えられるからです。
その後、メッセージはこなくなりました。
筆者に連絡すれば、しつようにまた電話をかけられることを、恐れているのかもしれません。なりすました相手が嫌がるのは、電話をかけられて、詐欺師の正体がバレてしまうことです。
どうしても、相手が本物に思えて仕方ないという方がいれば、電話をかけてみてください。100回のメッセージで確かめるよりも、1回の電話です。
もし相手が電話に出ることを拒み、対応しないようであれば、偽物と判断して構いません。そして、ブロック、通報してください。
詐欺師は往々にして面倒な人を嫌うものです。これは海外の詐欺師とて同じことです。それは、こちらのメッセージに既読はつくものの、連絡をしてこなくなったことからもわかります。
そして「あなたは、ただ自分を欺いているだけだ」の言葉のように、相手の言った言葉を利用してブーメランで返す。これも撃退方法のひとつといえます。
この夏、本物のYOSHIKIさんはディナーショーを行いますが、そのイベントに便乗するように、なりすました人物が、今もネット上に、たくさん出現していますので、ご注意下さい。