群馬の空き家に50匹もの猫の遺体と糞尿の山...なぜ、多頭飼育崩壊が続くのか?
今年6月1日から多頭飼育やペットの虐待などの罰則引き上げなどを盛り込んだ改正動物愛護法が施行されました。そのため社会の中で、啓蒙活動も進み、警察が介入しやすくなり、動物虐待のニュースをよく見ます。最近になって唐突に動物虐待が増えたのではなく、これまで潜在化していたものが、この法律で、表面化しやすくなったのこともあるのでしょう。
今回明らかになった事件では、通報を受けて保護しに行ったところ、猫は空き家でみな、痛ましい状態で亡くなっていました。記事を読み通すことができないほど凄惨なケースです。なぜ、多頭飼育崩壊が続くのか? を考えてみましょう。
ざっくりまとめると、群馬県のみなかみ町にて起きた事件です。関係者からのSOSを受けて、動物愛護団体が、異常なネグレクトが行われていた空き家を発見し、警察に通報。空き家では猫が逃げられない密室の状態になっていて、50匹以上の猫の遺体があったという悲惨な状態だったのです。この飼い主には動物虐待とは何か? が理解できていないのでしょうか。このような行為は、当然ながら動物愛護法に触れます。動物虐待とは、どういうものか、考えてみましょう。
動物虐待とは?
動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいい、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。
「環境省 虐待や遺棄の禁止のサイト」より
動物虐待は、殴る、傷つけるなどの積極的な虐待に対しては、認識されています。その一方、以下のことは、虐待と思っていない人が多いのではないでしょうか?
・適切な世話をする。
・健康的な食事と新鮮で十分な水をいつも与える。
以上のことなどをしないと、それが過度になるとネグレクトになり、動物愛護法により、罪になるのです。筆者は、18歳の愛犬と暮らしています。たとえば、夏場に、新鮮な水を与えるために、1日に3、4回、水を交換します。1匹でもそれだけたいへんなのに、これが、多頭飼育で50匹だとすると、水飲みの世話だけでも、200回ぐらいしないといけなくなるのです。その上に、食事や糞尿の世話などを入れると、どう考えても現実的ではないため、飼育放棄、ネグレクトになりますね。個人的には、ひとりが世話できるのは、せいぜい3匹ぐらいだと考えています。大雑把に見ても10匹が限度ではないでしょうか。50匹の猫の世話を自宅以外のところでしていた、その時点で、もうネグレクトによる虐待になる可能性が高くなりますね。
以前、「多頭飼育崩壊で一軒家に238匹という衝撃! 繁殖学から考えるネコ算の仕組みとは?」という記事でも書きましたが、避妊をしなければ、猫はあっという間に繁殖していきます。
多頭飼育を法令で規制している地域
上記のように、山梨県、滋賀県、佐賀県は、法令で規制していますね。このようにやはり、多頭に対して、数値化することが、必要ではないでしょうか。
周りの人でも気がつく多頭飼育の兆候
多頭飼育崩壊は、一軒家などで起こることが多いですが、外にわかる兆候があります。以下です。
・強烈なアンモニア臭が混じった異臭がします。
・ハエやゴキブリなどが多くいます。
・ゴミ袋がたくさん積んであります。
・家の外も中も散らかっています。
・猫や犬が窓から逃げ出している場合もあります(群馬の多頭飼育崩壊は、外に出られないようになっていました)。
・犬や猫の複数の鳴き声が聞こえます。
こんなところがあれば、多頭飼育崩壊しているかもしれませんので、行政と相談してみましょう。
まとめ
多頭飼育がすぐにネグレクトによる動物虐待になるわけではありません。
ただ、どんな人でも1日24時間しかないので、ペットの世話ができる時間が限られてきます。つまり、ひとりでそう多くの犬猫の世話をできないのです。しかし、野良猫などをかわいそうと保護して、連れ帰り、オスとメスを飼い避妊・去勢手術をしていないと、1年で猫が20匹になるのは、簡単なことなのです。
初めは、猫がかわいそうで保護しても、多頭飼育になってしまうと、ネグレクトになります。このような状態になると、適切な衛生的な環境で飼えなくなるのです。飼い主は、どんなことが虐待になるか、しっかり理解して、ペットと暮らしてもらいたいです。
参考サイト