多頭飼育崩壊で一軒家に238匹という衝撃! 繁殖学から考えるネコ算の仕組みとは?
札幌の一軒家で猫が238匹、保護されるという衝撃的なニュースが飛び込んできました。その家には、猫の骨(共食いで骨があったのでしょう)まであったということです。このような例はもちろん、特別なことです。でも、たったひとつのことを怠ると、猫を飼っている人なら誰の身に起こっても不思議ではないのです。そのことを猫の繁殖学を通して考えていきましょう。
なぜ、238匹まで猫が増えたか?
答えはシンプルで避妊・去勢手術をしていなかったからです。「猫の手避妊術をするのがかわいそうだから、どうしようかな」と考えているうちに、あっというまに、20匹ぐらいになります。この飼い主は家賃を滞納していたそうで、その時点で、多額の避妊・去勢手術の費用を払えなかったのでしょう。地域によって手術代は違いますが、20匹だと20万円以上は必要になります。
ネコ算
ネズミ算ならぬネコ算があることを説明します。
たとえば、生後2カ月の猫をオスとメスつがいで飼い始めます。可愛いと思っている間に、いまでは生後6カ月で発情がきます。妊娠期間が約2カ月で、平均で4匹ぐらい産みます。ここまで飼い始めてから、半年ぐらいです。これで合計2匹+4匹で、合計6匹ですね。
この6匹の中で3匹(母猫1匹+子猫2匹)がメスだとします。するとまた、母猫は、妊娠しまた、子猫を産みます。子猫は、生後6カ月ぐらいで発情が来ますので、その後、2カ月の妊娠期間をへて、またそれぞれ4匹子猫を産み、全部で8匹、母猫も産むので、それに4匹が加わります。2年もしないうちに、一気に18匹です。
こんな風に、避妊・去勢手術をしないでおいておくと、ネズミ算ならぬネコ算方式で増えていくのです。
猫の繁殖学
・猫の発情開始は生後6カ月からあります(早い子は生後4カ月から)。
・犬のように、半年に1度ではなく、日照時間によって変わってきます。照明が長い時間ある環境だと、年に2回から3回ぐらい出産します。
・猫の発情は人間にはわかりにくい。犬のように陰部から血のような分泌物が出ないからです。
・猫の交配時間は、数秒なのでいつ交配したか、わかりにくいです。
・猫は交尾排卵動物なので、交尾の刺激で排卵するため、交配したらかなりの高い確率で妊娠します。
・猫の妊娠期間は、約2カ月です。
・密封した空間で猫を飼うと近親交配をします(親子、兄妹、姉弟で交配を繰り返します)。
まとめ
もちろん、1軒家で283匹も猫を多頭飼育するというのは、まれなケースでしょう。
一方、避妊・去勢手術をしないで、ただ「可愛い」でつがいの猫を飼ってしまうと、このようなことが起きてもなんの不思議でもないのです。増えすぎて、避妊・去勢手術をしようと思ったら、多額の手術代になり、考えているうちに、また、子猫が増えるという状態に陥ってしまいます。
「可愛い」で飼い始めた猫が、やがて食事が足りずに共食いするまでの環境になってしまいます。猫を飼うことは、楽しいことですが、ひとりの人が飼える、世話を出来る数は、せいぜい3匹ぐらいまでです。一回、猫に出産させると、あっという間に数匹になります。そのことを覚えておいてくださいね。
猫の繁殖学について勉強することは、大切ですが、まずは、避妊・去勢手術をして飼いましょうね。