気候変動について、実感を持った危機感が醸成される
写真は2017年10月、ワインどころでも知られるソノマ・ナパで発生した大規模な山火事の煙が流れ込んできたカリフォルニア州バークレーで撮影しました。昼間は分厚い煙で日光が届かなくなり、肌寒く薄暗い曇天。5分も買い物に出かけたら、セーターには2時間バーベキューを楽しんだ後のような煙の匂いが染みつくほどの大気の状態でした。2018年にはさらに濃い煙がサンフランシスコに流れ込み、大気汚染がレッドフラッグ(Unhealthy, 健康を害する)から、パープルフラッグ(Very Unhealthy, 著しく健康を害する)レベルになりました。
そして今年も、カリフォルニア州では山火事に見舞われています。山火事の原因になったとして地元の電気・ガスを供給する企業は破産を申請し、今年は山火事の原因にならないようにするため、危険な天候時に事前に電気の供給を取りやめる措置を採るようになりました。筆者が住んでいたバークレーのアパートでも、今年は停電に見舞われたそうです。
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山火事が発生している地域はもちろんですが、その周辺の膨大な地域で大気汚染が激しくなり、また停電の可能性を受けて学校は休講となります。また電気が使えないのであれば仕事にならない業種も多く、あるテクノロジー企業は日米回線がストップするなど、すでにビジネスに支障が出ています。
カリフォルニア州はもともと環境意識の高い地域であることは知られていますが、実際に住んでみると、日本の方が資源を節約し、効率的な活用方法を選び、無駄のない購買をしている、と感じるばかりです。しかし、この投資が集まるサンフランシスコ・シリコンバレー地域が気候変動を「実感」するようになることは、人々の行動、企業の投資が同時に一挙に変革する可能性を秘めています。
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