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もしもラグビーでドラフト会議をしたら2020【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
昨年度の大学選手権決勝。球を持つのは明治大学の箸本。追うのは早稲田大学の古賀。(写真:つのだよしお/アフロ)

 10月26日、プロ野球ドラフト会議があった。本欄も仮想の「ラグビーのドラフト」を実施。本欄でも過去2年実施の2021年1月からの国内トップリーグ加盟全16チームの「ドラフト1位」をシミュレーションした。

 現実的にラグビー界でドラフトがおこなわれない理由は初開催した「ラグビーがドラフト会議をやらないわけ。もしやったらどうなる?【ラグビー雑記帳】」にある通り。「仮の話なので無意味では」とのご指摘へは「もしもラグビーでドラフト会議をしたら2018。【ラグビー雑記帳】」で反応した。

 トップリーグは次のシーズンを最後に発展的解消。2022年1月から新リーグが発足する。2019年に立案されたプロリーグ構想は事実上の不成立となったが、新リーグも加盟するクラブに事業性や地域密着を求める。

 なお、2015年のワールドカップイングランド大会の日本代表に大学生が2人いたのに対し、昨秋の同日本大会の同代表での学生選手はゼロ。来年からニュージーランドのハイランダーズに挑戦する姫野和樹が代表デビューを飾ったのも、帝京大学を経てトヨタ自動車で活躍していた2017年秋になってからだ。

神戸製鋼=安田昂平 御所実業高校 ウイング/フルバック

 2018年王者は文句なしの選手層を誇るとあって、3年目のスタンドオフ/インサイドセンター日下太平(クライストチャーチボーイズ高校)、ともに新加入のアウトサイドセンター濱野隼大(ロトルアボーイズ高校)、スタンドオフ李承信(帝京大学中退)に続き10代戦士をリストアップ。狭いスペースを軽やかに射抜くランナーとして昨季は17歳以下日本代表に選出。

 なおチーム関係者によると、組閣に強い影響を持つウェイン・スミス総監督(元ニュージーランド代表アシスタントコーチ)はフォア・ザ・チームの精神と自軍入団への意欲の高さを重視する。某日、獲得を検討していた大学生選手の試合を担当者とともに観に行きながら途中で退席。当該の選手がトライを奪った後、手にしていたボールをゴールキッカーへ渡さず地面に放置したのがいけなかったとのことだ。

サントリー=箸本龍雅 明治大学 ナンバーエイト

 世代の筆頭格と国際舞台の大物を集め、攻撃的ラグビーを展開するサントリー。強さとフットワークで前に出られる大学ラグビーシーンの目玉を、競合覚悟で指名か。

ヤマハ=小村真也 ハミルトンボーイズ高校 スタンドオフ

 和製司令塔候補。中学時代から鋭く力強いキックとパスを披露。高校からニュージーランドに渡り、ニュージーランドの名門校で昨季から1軍入りしている。元日本代表で同部の独自スタイルを知り尽くした大田尾竜彦コーチングコーディネーター、日本代表入りが期待されるサム・グリーンとの出会いによる化学変化に期待。

トヨタ自動車=山沢京平 明治大学 スタンドオフ/フルバック

 人の見つけられぬスペースを見つけ、キック、パス、ランでえぐる。怪我さえ癒えれば世代最高クラスのプレーメーカーだ。トヨタ自動車は近年、2017年入部のフランカー姫野和樹、2018年入部の右プロップ木津悠輔ら有望な若手フォワードの獲得に成功している。インサイドバックスでプレーできる日本人選手が増えればより選手層に厚みが出そうだ。

NTTコム=箸本龍雅 明治大学 ナンバーエイト

 今季、スコットランド代表スクラムハーフのグレイグ・レイドローが加入。2年目となるオーストラリア代表スタンドオフ、クリスチャン・リアリーファノらとの共存が期待される。

 内山浩文ゼネラルマネージャーが採用担当だった頃は、「早慶明のリーダー格と新興校や無名校の大器」というリクルート戦略を敷いていた。明治大学現主将の箸本は、球をもらう際の加速力とフットワークが長所。同部の攻撃スタイルにもフィットしそう。日本代表のアマナキ・レレイ・マフィがナンバーエイトを務める際は、箸本がフランカーに回るか。

パナソニック=山沢京平 明治大学 スタンドオフ/フルバック

 同部所属の山沢拓也の弟でもある。2人の地元は新リーグ参加に伴い移転する埼玉県熊谷市。元オーストラリア代表指揮官のロビー・ディーンズヘッドコーチは、個性派を有機的に束ねることで知られる。

クボタ=片倉康瑛 明治大学 ロック

 南アフリカ出身のフラン・ルディケヘッドコーチのもと、賢いチームマンを求める同部(象徴は日本代表のオープンサイドフランカーでもあるピーター“ラピース”ラブスカフニ)。近年は各ポジションにまんべんなく有力な新人を補強している。片倉は空中戦でのクレバーさと運動量が強みのロック。この人が主力格に入れば外国人枠の活用に幅が出そう。クラブ本拠地の近隣にある船橋ラグビースクール出身。

リコー=谷口祐一郎 天理大学 左プロップ

 同部は近年、明治大学前主将の武井日向ら次世代のリーダー候補を相次ぎ加入させている。運動量豊富でサイズも十分(身長180センチ、体重107キロ)な左プロップは天理大学でフォワードリーダーを務めている。

ホンダ=古賀由教 早稲田大学 ウイング

 日本代表のレメキ ロマノ ラヴァが宗像サニックスへ移籍。決定力があるうえキックチェイス、カバー防御も際立つウイングが重宝されそう。前向きな性格も高評価。

NEC=吉田大亮 東海大学 ナンバーエイト

 東海大主将で、スクラムサイドから駆け出す際の加速が際立つ。明るさを打ち出す近年のNECにあって、フランカーの亀井亮依主将とともにストイックな色を放ちそう。

東芝=奥村翔 帝京大学 フルバック

 主将経験もある元ニュージーランド代表センターのリチャード カフィが退団も、センター陣には東海大学元主将の眞野泰地ら即戦力が並ぶ。バックスリーにも大型ランナーがスタンバイするとあって、チャンスメイクのできるフルバックは即戦力となりそう。賢さと茶目っ気のバランスも素敵。

キヤノン=シオサイア・フィフィタ 天理大学 アウトサイドセンター

 今季サンウルブズ(国際ラグビーのスーパーラグビーへ日本から参加)でプレーしたパワフルランナー。サンウルブズでコーチングコーディネーターを務めた沢木敬介氏は今季キヤノンの監督に就任。

宗像サニックス=箸本龍雅 明治大学 ナンバーエイト

 大学ラグビー界屈指のペネトレイターは福岡・宗像市出身。宗像サニックスにとってはご当地選手でもある。

日野=松永拓郎 天理大学 スタンドオフ

スーパーラグビーのクルセイダーズと連携を取りプレースタイルをブラッシュアップ中。他のポジションが補強組で埋まるなか、好判断の光る若手司令塔候補を単独指名できればバックスラインの組み合わせに幅が出そう。 

NTTドコモ=箸本龍雅 明治大学 ナンバーエイト

 今季、ニュージーランド代表スクラムハーフのTJ・ペレナラ、南アフリカ代表ウイングのマカゾレ・マピンピといった大物を補強。限りある外国人枠をバックスに割きそうとあり、日本人フォワードの即戦力がいれば起用法に幅が出そう。

三菱重工相模原=根塚洸雅 法政大学 アウトサイドセンター/ウイング/フルバック

 同部では主力に移籍選手と海外出身者が並ぶ。クラブ文化の醸成にも関わりそうなリーダー候補兼フィニッシャーの存在は好影響をもたらしそう。

 上記選手のうち大学生がプレーするのは関東大学対抗戦A、同リーグ戦、関西大学Aリーグとなる。関東の2グループは10月4日にすでにスタートし、10月31日、11月1日から後半戦に突入。関西は11月7、8日に開幕する。

※ 当該選手の実際の進路先とは、一切関係ありません。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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