日本代表、フランス代表戦大敗で見えた「習慣」作りの難しさ。【ラグビー旬な一問一答】
ラグビー日本代表は現地時間11月9日、敵地スタッド・ド・フランスでフランス代表に12―52と完敗した。
世界ランクで10つ上回る4位の相手に前半からフィジカリティ、エリアゲームで圧倒され、大外のスペースを首尾よく突かれた。対するスクラムハーフのアントワーヌ・デュポンは水を得た魚だった。
勝負の傾いた後半こそ攻め続けた日本代表だったが、及ばなかった。フッカーとして鋭いランとスクラムで気を吐いた原田衛は、潔かった。
「よかった点は、後半のアタック。フランス代表相手でもジャパンらしいアタックはできた。課題としては——ずっとこれからの課題になると思うんですけど——フィジカルと、80分間やるフィットネスは課題かなと」
スコッドを大きく若返らせ、コンセプトと攻め方を昨年から大きく変えた日本代表。「フィジカル」をはじめ、競技力の根幹を支える領域が発展途上にある。
約9年ぶりに就任のエディー・ジョーンズヘッドコーチはどう見るか。会場での記者会見がオンラインで繋がった。
以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
「結果に関しては残念。フランス代表に完璧にフィジカル面でやられた。対応できなかった。オフロードを何度も繋がれたし、デュポンのような素晴らしい選手が前のめりにプレーしていて、相手にチャンスを与えた。サポートの緊急性に欠けて、被ターンオーバーも多かった。我々のような若いチームが前半を終えて0-31ではどうしても諦めがちになる、ただ、後半はいいラグビーができた。若いとあり、フィジカリティを上げるのは長期間においてチャレンジすべきこと。選手のエフォートは讃えたい」
——これまでは試合序盤にいいプレーをすることがあったが、今回はそうならなかった。
「相手のサイズ、パワーに対応できなかった。相手に下げられては、経験値の浅いチームで対応するのが難しい」
——スクラムハーフの齋藤直人選手、ナンバーエイトのテビタ・タタフ選手といったフランスで合流したメンバーについて。
「スクラムハーフの齋藤に関しては、フォワードが勝てていない、バックフットな状況でのパフォーマンスを評価するのは難しい。タタフは今年7月と比べるとコンディションはよかった」
——就任時、「トップ4が目標」と掲げた。今晩トップ4のチームに完敗した。目標を下方修正するつもりはないか。
「長期間の目標。4カ月で達成できるとは思っていない。今後もチャレンジする。トップ4を目指さない理由はない」
——10月26日に大敗のオールブラックス戦では、テレビ・ジョン・マッチ・オフィシャル(TMO)でのトライキャンセルが痛手になったと話していました。今回もトライキャンセルがありましたが…。
「やり続ける、集中し続けることは、テストラグビーを経験していないチームにとっては苦戦する部分です。テストラグビーでは一貫性、フィジカル面、戦術的にエフォートし続けるのが重要。ニュージーランド代表戦では立ち上がりこそいい形でしたが、TMOでのトライキャンセルがあり、メンタルが落ちてしまい、それがパフォーマンスに繋がった面があります。今回は前半の出来がパフォーマンスに影響した。そこで頭が下がりがちにメンタルが落ちがちになったが、ハーフタイムからやり直し、持ち直すことはできた。いいサインではあるが、完全に脱出したとは言い難い」
——後半10分、立川理道主将がトライを決めると同時に怪我で退きました(交代は11分)。
「立川は筋肉系の怪我。明日のメディカルチェック次第だが、来週の試合へ(出場する)見込みは薄い」
この後、右プロップの竹内柊平と長田智希がオンラインで国内記者へ対応した。
竹内はフィジカルバトルについて、タフな状況でもコンタクト時の低い姿勢とスピード感を高めるべきだとした。
「いままで他の国ならゲインできたところも返された。(身体接触時の)一貫した身体の低さは課題で、いい学びになりました」
「抽象的になりますが、(改善すべきは)小さいところのスピードだと思っています。ボールをもらう前にいいスピードで走り込むこと。もっとスピードを持って走り込む」
上位国を相手にこれを実現するには…。竹内は続ける。
「火曜はテストマッチみたいな練習を行っています。この強度の練習で『低く』『速く』を研ぎ澄ませていけば、自分たちの望むような結果が出るんじゃないかと。いい習慣を付けることが今後の自分の掴みたいものに繋がってきます」
長田も、ラインブレイクした選手へのサポートについてこう述べた。
「予測と加速。その意識の部分を(高めたい)。習慣的なところだと思うのですぐによくなるかはわからないですが、長い期間意識することで改善しなければならないです」
いい「習慣」を作るのには時間がかかる。