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時計業界の常識を壊し続けて40年、国民的アイスとの親和性でガリッとコラボがSNSで話題に

シズリーナ荒井アイス研究家/リサーチャー

 カシオ計算機「G-SHOCK(Gショック)」は、年間150種類以上もの新商品を発売し続ける日本を代表する頑丈で壊れにくい腕時計。先日(4月12日)、40周年を迎えた「G-SHOCK」ブランドを盛り上げるべく、様々な40周年記念企画が展開され注目が集まっています。その中で筆者としては、1歳1ヶ月から「ガリガリ君ソーダ」を食べ続けているため「ガリガリ君×G-SHOCK」の企画がどのようにコラボレーションに発展したのか「ガリガリ君×G-SHOCK」の企画を考えた担当者へ取材をするためカシオ計算機の本社へ向かいました。

「ガリガリ君×G-SHOCK」で「GARI-SHOCK」誕生秘話

カシオ計算機 時計マーケティング部  草刈明美さん
カシオ計算機 時計マーケティング部 草刈明美さん

40周年記念の企画として、なぜ数あるアイスメーカーから「ガリガリ君」(赤城乳業)にオファーしたのか

 そもそも、私はアイスがとても好きで、一年の中でどんなアイスを一番食べているのか考えたら、「ガリガリ君」でした。

草刈さんがよく食べているアイスのパッケージをA4用紙にまとめて印刷してくれました。
草刈さんがよく食べているアイスのパッケージをA4用紙にまとめて印刷してくれました。

 もちろん定番の「ガリガリ君ソーダ」も食べるんですけど、期間限定の商品は常にチェックしていて発売されると飛びついちゃいます。ガリガリ君っていろんなフレーバーを次から次へと出されていて楽しませてくれるじゃないですか。そういうところが大好きなんですよね!

 “次はどんな味が出るんだろう?”と楽しみに待ってしまいませんか? 今でも語り継がれている「ガリガリ君リッチ」の衝撃シリーズ3部作(特に、ナポリタン味)…。これが発売されたときは本当にビックリして面白くてなんかこういうことをやってくれるといいますか…。挑戦(発想力やチャレンジ精神=遊び心)するところとかが赤城乳業さん流石だなと思いました。ハートを鷲掴みにされ赤城乳業最高! とその時から大好きだなーってなっていました!

そこで、今回の企画の立ち上げ以前に、自分の興味本位からガリガリ君っていつから発売しているのか? どんなフレーバーがあったか? 年間どのぐらい売れているのか? また、どんな購買層がガリガリ君にはついているのかなど興味がありまして調べた結果、やっぱりガリガリ君ってすごいなーって思いながら様々なデータを眺めていました。

 それから、G-SHOCKが40周年を迎えるにあたって、「驚きと感動のファンづくりマーケティング」ということで時計マーケティング部のメンバー全員が一人一つ以上の企画を出すというミッションが与えられている中で自信を持って「ガリガリ君×G-SHOCKだ!」とコラボレーションの企画を出しました。

4月11日(火)に発売された「大人なガリガリ君 お米ソーダ」をご試食された感想は

 新味は映像撮影時に試食させて頂きました。お米とソーダ、組み合わせ的に想像がつかなかったのですが、ほんのり鼻からお米と豆乳の香りが抜けて、優しい美味しさでした。とてもおいしいですし、これは絶対売れます!

赤城乳業とはもともと繋がりはあったんですか

 いえ、全くなかったんです。赤城乳業さんにアピールするために企画書を作成したんですが、赤城乳業さんに誰も知り合いがいなかったので、赤城乳業の広報担当宛に連絡を入れさせていただき、マーケティング部の担当者に繋げていただきました。「企画書を送ってください!」と言われ、お送りしたところ「面白い! ということになり、打ち合わせを何回か重ねて企画が形になりました。

図にすると「ガリガリ君とG-SHOCK」との親和性が結構ありすぎた!
図にすると「ガリガリ君とG-SHOCK」との親和性が結構ありすぎた!

どんな親和性がありましたか

 例えば「ガリガリ君白いサワー」は、弊社では「スケルトンデザインの時計」にイメージが似ていますし、ガリガリ君は今までに150種類以上ものフレーバーを発売されています!(※ガリガリ君大好き草刈さん調べ)それってやっぱりいろんな味を出すことで驚きと感動の与えたいというブランドの思いなんですよね。弊社のG-SHOCKは…。年間約150種類ぐらいのモデルを出していますので、こういったところでも似てますよね。

 つまり、ガリガリ君の豊富な味がありますし、弊社でも豊富なバリエーションの時計があります。

当時の資料を見ながら嬉しそうに語る草刈さん
当時の資料を見ながら嬉しそうに語る草刈さん

 あとは、ガリガリ君もいろんなモノやコトとコラボレーションをしているんですけど、弊社でも有名なアーティストさんですとか玩具ですとトランスフォーマーとかとコラボレーションをしています。そういったところも親和性があるよねということで、この資料を見ていただけたら必ず共感してくださると思って自信を持ってプレゼンをさせていただきました。ガリガリ君の担当の方も乗ってくれすぐにお話ししましょうということになりました。トントンと話は進みました。

 「今回すごく面白いポイントは、40人以上(企画当時)のメンバーで構成される時計マーケティング部内で1人一つ企画を出すことになっていたのですが、部内管理業務(経費実績の管理業務・稟議案件の管理業務・テレビドラマへの時計貸出の業務・時計サンプルの管理業務等が主な仕事)をしている草刈の企画が記憶に残り面白かった!」(同社、時計マーケティング部 課長 岩元さん)

「ガリガリ君×G-SHOCK」の企画が新鮮に見えた理由とは

 「商品のマーケティングやPRに直接携わっていない草刈の企画が今まで出てきた企画の中で一番新鮮でした。ボツになったものは過去にもやったことがある企画が多かったのですが、アイスとコラボレーションする企画が我々からしてみると“時計と全く関係のない企画だった”ので非常に新しく映りました。今まで食品と掛け合わせた企画はゼロではないが、ここまでガッツリとコラボする企画はG-SHOCK史上初ですね。

 最初は、G-SHOCK味のガリガリ君を作ったらどうかな?と社内で盛り上がっており食感もG-SHOCKのタフネス!かじってもかじれないガリガリ君や、G-SHOCKのテーマカラーが黒なので、真っ黒なG-SHOCKカラーのアイスキャンディーを作りたい! ガリガリ君のパッケージを期間限定でG- SHOCK風にして販売したいなど…。そんなアイデアを持っていきましたが、スケジュールの問題で形にはならず…。しかし、赤城乳業さんからもG-SHOCKをモチーフにしたアイスキャンディーは難しいですが、何か一緒にやりたいんです! と嬉しいお話へと発展しました。昨年9月に初めて打合せをした際に、赤城乳業さんから4月11日に新味が出ると伺いG-SHOCKの誕生日も4月12日に迎えるということでタイミングが良いという話になりまして、今回のコラボレーションをやってみようか!となりました。」 (岩元さん)

 「普段、企画などの仕事には携わっていないのでメンバー全員が企画を出すというチャンスをいただけたことは本当にありがたかったです! G-SHOCKとガリガリ君はこれだけの親和性があるので、今回の企画は必ず実現できると信じていました!」(草刈さん)

G-SHOCKブランドは、時代の変化を捉えながら日々精査し、40年も続くロングセラーブランドを作ってきたと思いますが、G-SHOCKの強みは何でしょうか

 「やはり、G-SHOCKの代名詞は“タフネス”ですよね! 40年前に発売されてからずっと今日まで至っているわけですけど。やっぱり、誕生以降は耐衝撃性能や20気圧防水などのコアな機能に加え、タフソーラーやGPS、Bluetoothといった最先端技術が加わりながら時代とともに進化し、デザインやカラー、素材などのバリーエションを増やして時代の流れを捉えています。弊社社長の増田も「革新的な機能、性能や多彩なデザインでオリジナリティーを確立してその良さを届けるためのコミュニケーションを大切にすること。それによってG-SHOCKは世界中のファンに支持をされる時計ブランドに成長できた」と申しており、まさにその通りだと思っています。いま、マスターピース戦略といって5600系や2100系などファンから愛され続ける定番モデルがありますが、形は変わらないけれど素材や機能が進化し続けています。自分だけのカスタムG-SHOCKを作れる「MY G-SHOCK」や、G-SHOCKブランド初のライフスタイルグッズ「G-SHOCK PRODUCTS」などの新しい取り組みを行っています。それは、G-SHOCKのブランド強化のための情報発信であったり、ロイヤルファンたちへ新しい価値を提供することに繋がります。このように、時代に合わせてどんどん新しいものを創造し続けているので今日までロングセラーとして生き残っていけるのかなと私は思っています。」(草刈さん)

「実は、1990年代半ばにG-HOCKブームが起こり、1997年が絶頂でそれ以降は出荷本数が停滞します。そこから10数年低迷することになるのですが、そこで“G-SHOCK”ってなんだろうとみんなでもがき苦しんで考えてチャレンジしてきて現在のブランド価値を確立することができた。『不屈の精神』と言いますか、ずっとブランドを表す言葉として『Absolute Toughness』を言い続けているんです。

 考え続けた結果、変わらなければならないところと変えてはいけないことが低迷期に見えてきた。だからこそ失敗してもチャレンジし続けるみたいなものはG-SHOCKブランドが大事にしていることです。だからこそガリガリ君との企画は実績ベースの親和性だけではなく、ブランドストーリーとしての親和性がありますよね。失敗を恐れずチャレンジした方がいいんです。マーケティングをしていく上では大切にしていることですよね。逆に弊社ではチャレンジしないほうが評価されません。そういう風土ではあります。特にG-SHOCKに携わるメンバーには根付いているかなと思います。」(岩元さん)

なぜ、G-SHOCKは2000年代後半からさらなる成長を遂げているのか(※出荷個数)

 「マーケティング活動が大きかったですね。グローバルのマーケットに対して成長させなければいけないという会社の方針もありました。どうやって海外に向けて、G-SHOCKブランドを認知させ関心を抱かせてファンになってもらう方法を低迷している間に日本で模索していました。時計を買ってもらうのではなく、G-SHOCKという世界観を体験し好きになってもらってから買ってもらうということをずっと日本でやり続け成功したものを海外でも同じようなことをやりました。そこから海外でも成功して一気にマーケットが拡大し、世界中にG-SHOCKファンを作ることができました。ただ、世界中でたくさん失敗しているんですけどね(笑)だからこそ、一個一個の失敗からの学びを積み重ねて今があると思っています。」(岩元さん)

時計業界の常識を教えてください

 「G-SHOCK初号機の開発者である伊部が親から貰った時計を落として壊してしまったところからG-SHOCKの物語は始まりました。このエピソードから落としても壊れない丈夫な腕時計の開発がスタートしました。G-SHOCK発売当初の時計業界では薄くてエレガントなデザインのアナログ時計が主流でした。しかし、G-SHOCKはそれとは真逆。黒くて、ゴツくてデジタル表示で売れる時計のセオリーを何一つとして盛り込まれていなかったからか発売当時は全く売れませんでした。時代と逆行しているし常識から逸脱している…。元々は建設作業の現場で働く方につけてもらいたいという発想から生まれました。ただ、なぜ売れ始めたのかというと1980年代後半にアメリカでタフな時計としてストリートスポーツをやっている人から「ヘビーデューティー」だということで支持され始めたのがきっかけです。日本のメディアがその現象を切り取って報じたことが話題になりました。ある意味逆輸入のような形でブームとなりました。これでG-SHOCKブーム(1990年代半ば)に火がつき始めた。」(岩元さん)

G-SHOCKブランドをどんな方に着用していただきたいですか

 「お気づきかもしれませんが、最近は若者の腕時計離れが目立ち、弊社としても課題の一つとして捉えています。

 時間を気にする年代になるときにスマートフォンを所持しているため腕時計の必要性が薄れてしまっているようです。だからこそ、スマートフォン世代の若者にこそ着用して欲しいです。そのためには、腕時計の魅力に気づいていない方や着用する習慣がない方に一度手首に巻いていただき便利さを伝えたいです。

 G-SHOCKは豊富なバリエーションを取り揃えているのでファッションアイテムの一つとしてまずはつけていただきたいです。また、素材やデザイン、機能などの違いで価格は1万円〜50万円ぐらいまで価格幅はありますが、きっと自分好みのG-SHOCKが見つかると思いますよ」(草刈さん)

新味「お米ソーダ」発売記念ガリガリ君×G-SHOCKのキャンペーン詳細

 赤城乳業は「大人なガリガリ君お米ソーダ」の発売を記念したキャンペーンを企業公式Twitterで実施中、G-SHOCKとのコラボレーションモデルを抽選で40名にプレゼントする。

 4月10日(月)~16日(日)までの間、新商品の発売を記念したキャンペーン「オリジナルガリガリ君G-SHOCKが40名様に当たる」フォロー&リツイートキャンペーンが実施中。 

 プレゼントの景品「オリジナルガリガリ君G-SHOCK」は、アナログ針で時刻を表示する薄型の人気モデル「GA-2100」がベース。バンド部分にガリガリ君の顔や文字、アイスのイラストが印字された特別仕様で、パッケージの外箱にもガリガリ君が描かれている。

「G-SHOCK」なのに「GARI-SHOCK」は遊び心があります!
「G-SHOCK」なのに「GARI-SHOCK」は遊び心があります!

ガリガリ君もイラストまでベルトにプリントされています!
ガリガリ君もイラストまでベルトにプリントされています!

 GA-2100は耐衝撃構造で20気圧防水。ストップウォッチやアラームの機能を備え、電池駆動のモデルとなっている。

4月16日(日)まで、新商品の発売を記念したキャンペーン「オリジナルガリガリ君G-SHOCKが40名様に当たる」フォロー&リツイートキャンペーンが実施中。まだ間に合います! 
4月16日(日)まで、新商品の発売を記念したキャンペーン「オリジナルガリガリ君G-SHOCKが40名様に当たる」フォロー&リツイートキャンペーンが実施中。まだ間に合います! 

 ガリガリ君ファンとしてはプレゼントの景品「オリジナルガリガリ君G-SHOCK」欲しいですよね! ぜひ、参加してみてくださいね。

取材協力:カシオ計算機

アイス研究家/リサーチャー

1歳1ヶ月からこれまでに食べたアイスの数は、およそ6万個以上。(初めて食べたアイスは「ガリガリ君 ソーダ味」)「アイスは単なるデザートではなく冷凍食品」であることに気がつき東京藝術大学へ進学、年間4,000種類ものアイスの食べ方を研究しイートデザイナーとして「魔法のアイスレシピ」(KADOKAWA)を出版し話題に。様々なメディアを通じて独自の視点でアイスの魅力を発信し続けるアイス評論家としても活動中。

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